幕間 3rd

第 5 章のストーリーの要約 ~ 読めば最新話に追いつけます ~



― ツバサプリンセス ―


美月は『ツバサプリンセス』の仕事で芸能活動を始めた。

  仕事は東京、池袋駅近くのショッピングモールにある遊園地『ツバサタウン』のアイドルだった。オーディションの応募者は女の子が800人以上いて美月が合格した。

  一カ月に2~3回、『ツバサタウン』の鳥のマスコット『すんすんくん』と『みらくちゃん』と一緒に歌の演技があるので、高1でまだ島根に住んでいる美月はたまに東京に通うことができる。まだ芸能界の道に迷う美月は、彼女を大切にしている『ラグーン』事務所が相応しい仕事を斡旋してくれ、美月の『ツバサプリンセス』オーディションに力も使ったのかと思われた。

  美月のマネージャーの三十代男性『工藤楽之』は、数人担当している子がいるが、美月の演技がある度できるようになるまで彼女の面倒を見に来た。美月の母もついているので、実は彰が心配することはないはずだが、恋人だし遊びにも行きたいので、たまに彰は美月の演技を応援するために東京に来た。



― 美人バイオリニスト『宇都宮楓』との出会い ―


彰の父方の祖父母の家は東京にあるので、当然彼は訪ねた。彼の祖父はもともとビジネス界の大物でお金持ちだ。数年前、彰を東京の『林ヶ坂』の学費が高い学校に進学することを誘ったことがあった。祖父母の家もあまり東京で見ない西洋スタイルの影響があって、彰は来る度に楽しいと感じた。

  ある日、祖父母の家で彰はおばさんと従姉の『舞』と会った。彼女はギャルだが気さくで親しくなり色んなやり取りをした。その中で彼女は美人バイオリニスト『宇都宮楓』のことをメッセージで教えた。


――『あのお姉さんの教師はめっちゃ美人だよ、やってみない?』

  『え?』

(第35話『東京で従姉とデート……?』より)


  『宇都宮楓』は週末、従弟の『英斗』にバイオリンを教えて、祖父母の家で習っているのは広くて音が迷惑にならないためだった。

  普通に祖父母を訪ねているだけなのか…ちょうどレッスンの時に来る彰は彼女に興味もあった。レッスンが行われる書斎に入る瞬間、逆光の影響か温かい光は宇都宮楓を少し照らして、彼女は天使のように見えた。

  その後、彰は東京ではなく島根に住んでいるとわかると名刺を渡した。お礼を口実に連絡すると、それは彰と彼女の長く複雑な関係の始まりだった。


――「松島彰さんね……彰と呼んでもいい?」

  「大丈夫です」

  「よろしくね!」

(第36章『バイオリニスト宇都宮楓』より)



― 美月は本格的な女優になる ―


三重県出身、音楽制作会社で働く彰より9つ上のお姉さんだが、深くやり取りすると特に宇都宮が酔っぱらった時に奇妙なメッセージを送ったことがあった。彼女は他の人に見せない遊び、子どもっぽい側面があると彼は気づいた。

  その側面に触れる権利がある彰は、宇都宮とどんな関係かと考えた。

  高校2年生になると、芸能活動のため美月は母親と東京に引っ越した。(彼女の兄『直弥』も東京の大学に進学し一緒に住んでいる)『ツバサプリンセス』として美月の人気が上がり、彼女の動画(たまにうっかり露出があるのは)が広まって何十万の視聴回数を募りながら、熱心なオタクのファンができた。だがもともと人が苦手なので、美月はオタクへの恐怖に勝てないらしい……。

  東京の新しい学校で美月は『板垣希』と『渚』という双子の友達ができた。事務所の支持で色んなオーディションを受けると美月は深夜ドラマの主役として選ばれ、本格的に女優になった。



― 宇都宮と離れる ―


だんだんと美月が有名になり自分から離れていくんじゃないか、毎晩彰は女優は売れた後に高校の彼氏とまだ付き合う人は何人いるかと思考えながら、怖くなっていた。しばらくその心配と悲しみを忘れられるのが宇都宮楓に付き合っているときだった。

  浮気したいというより、東京に通ってカフェなどで宇都宮と会う度に、もし美月が自分から離れても、まだ宇都宮はこういう風に友達としているなら自分は完全に心が壊れないじゃないかと思った。

  だがある日、宇都宮は彰と離れたいと曖昧に言った。


――「彰と会って私は嬉しいけど、今からちょっと会えなくなるけど、大丈夫?」

  「どういうことですか?」

  宇都宮さんは少し考えた。「うん、多分最近私はよく彰に連絡をとったね。もし私と電話しなければ……もっと勉強する時間があるかな」――


  多分彼氏もいる宇都宮は、関係があまり相応しくないと感じて、そう言った。

  しかし、実は宇都宮はまだ彰と会いたいと思っていた。


――「いつも彰は『宇都宮さん』って言って、私は教師か、仕事をしてるみたいって感じね。休みの日なのにさ。だから、私を『楓』と呼んでもいい?」

  「……楓さん?」

(第42話『宇都宮さんは離れたい』より)


  だから、友達か彼氏以外、誰がそう呼ぶ?と楓さんはヒントを出したかった。



― 宇都宮は彰の心がわかる ―


美月が主役の深夜ドラマ『白いままに走る』の監督『矢野哲平』と主役俳優の『墨田義道』とのブランチに行った時、彰も一緒に行って彼らを観察した。彰は美月の事務所の仲良しの先輩女優『米沢広子』と一緒に食事をしたこともあった。

  色んな人と会うと、美月は彰が『人を読む』力で彼らを見るよう頼んだ。(今まで彰は曖昧に読めない人が美月だけで)彰はそれを嬉しく思って、美月との関係性はあまり変わらなさそうだが、学校で有名になったしもっとかわいくなった美月は本当に自分のものかと疑った。

  また彰は宇都宮と会う機会があって、彼女のアパートまで行った。

  前みたいにあまりバイオリニストお姉さんと青年の立場ではなく、彰はしばらく付き合うと彼女がわかり、話したいことがあると思うのであまり違和感がなかった。

  その日暗いことを話した彼女は病気と見え、でも彰もその病気を抱いていると気付いた。生きるのは成功や何かのためというより、無駄な人生はただ死ぬ、自分が消える日を待つのではないだろうか……

  多分彼女に対しての気持ちは『恋』でも肉体関係を求めるような『恋』ではない特別な気持ちだった。それは他の人が理解していない彰を宇都宮は同じ人生の『病気』の目で見返して、彼の本性がわかったようだ。

  宇都宮は彰に言った。


――「もう一度、私の頭をポンポンしてもいい?」

  「はい?」

  「電車のときみたいに」

  「……なんでですか」

  「いい感じだから」


  手を伸ばして彼女の頭にさわると、宇都宮さんは言った。


  「彰」

  「はい」

  「……ハグしてもいい?」

  「え」

  「彰のハグが、温かいかなと思うの」

(第45話『宇都宮さんの家に行く』より)



― ちはる ―


美月は事務所の先輩『米沢広子』がテレビ局で収録がある日にスタジオに行って、『ちはる』という人気女優に会った。

  そしてちはるは米沢が美月に『危ない』プロデューサーに紹介するつもりか聞くと、無礼な挨拶をした。


―― 「女優だと思ったのに、今は女を斡旋するエージェントなのか?」

(第47話『ちはる』より)


  米沢とちはるは知り合いで、会話が喧嘩に発展し、二人は非常階段で口論した。ついていった美月はちはるが芸能界に対して米沢が現状維持、改善するより円満で済ませようとする態度を激しく批判しビンタしたところを目撃する。

  ちはるは笑うと、米沢に言った。


――「いいよ、怒って。芸能界に私みたいな人はまだたくさんいるよ。山崎とほかのバカな人たちと会ったらこれくらい怒ってちょうだい、この業界は弱虫のいるところじゃないから……どう?なんでそんな顔してるの?私をビンタしてもいいよ」

(第48話『月の野獣*との出会い』より)


  ちはるは米沢に仕返しするよう挑発したが、何もしなかったため、その後追いついた美月は、色々配慮してボトルの水をちはるに少しかけた。美月を気に入ったちはるは、彼女に聞いた。


――「ねえ、あなたは、女優?新人って言ったよね?」

  「はい、そうです」

  「名前は?」

  「美月です……あ、あさい」

  「ミヅキって、月を観る?」

  「いえいえ!美しい月です。浅井美月」――


  そしてちはるは言った。


――「似合うね。日本の名前のなかで私は好きだけど」

  「なぜですか」

  「えっと、月は夜の明かりだけど、日中の眩しい空でもたまに薄っすらと見ることがあるね。いろんなこともそうだと思う、芸能界自体もそんな存在だから……美月ちゃんか、そう呼んでいい?」

  「はい」

  「あなたは面白いね。私たちはまたどこかで会えるかも、じゃあ」

(第48話『月の野獣*との出会い』より)


  ちはるはサングラスをかけると行ってしまった。



―――――――――――――――

*月光の下に現れる「野獣」は、ちはるの周りしか知らない彼女の通称です。


次は第6章(上)、そして(下)の要約です。

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