81 ちはるが舞台と日本を批判!? (発言注意) (イ付)



ちはるは三つの舞台に出演したことがあって、一つは主役のジュリエットの役までだった。ちはるは答えた。

  「全然違うよ、自分は演技力があるとアピールしたくてたまに舞台に出演する有名な俳優たち、とテレビドラマに来れないから舞台に淀んでいる人たちはさ。舞台の役者になりたいと言う人がいても、大体ただテレビの役者になるのは絶望したんだ……君たちも舞台をやったことあるからわかるでしょ?カメラの前の演技は数テイクやるのは一番いいテイクのためだけど、舞台で十、二十回の公演に同じくらい感情を出して、役者というよりただどこかのいつも笑顔をする受付嬢みたいと思うけど」


  舞台の話をしばらく話すと、結城さんも七月に『レ・ミゼラブル』のミュージカルに出演するとわかって、するとちはるはさっきの話に戻った。

  「舞台って上の存在と妄想している人が多いね。前に私は『ジャンヌ・ダルク』に出演したでしょ、共演者は飲みに行ったからついていって、お酒をちょっと飲むとテレビドラマとかの演技を批判するのが趣味だったよね。演技が硬い、気持ちが全然伝わらない、先輩の演技の方がうまいですね、日本の映画界は先輩みたいな実力者を使わないから今こんなに低下していったみたいに言って……バカじゃない?演技ってなんだと思う?大袈裟にして嬉しくなるときに跳ばないとだれもわからないとパラノイアのあるあんたらの演技?舞台ってそういう気持ちを伝えられるまでは方法的な身体の練習があるね、でも気持ちは見れないことなんだ。見れたらただ人の殻なんじゃない?」

  米沢宏子さんは言わなかったが、ネットでチェックしてみると彼女はちはると二年前同じ舞台に共演して、多分そこで知り合った。

 

  米沢さんから舞台の経験を語ったことがあって、そう働くみんなは努力して精彩な世界を作るそうで惹かれた私は、ある日何百人の視聴者の前に立って、自分の台詞は劇場に響くほど言う機会があるかとたまに想像した……「舞台ってすぐに視聴者の反応を見れるってさ、浅井は知ってる?」

  「え、そうなの?」

  この前演技レッスンのあと、米沢さんと私は一緒に近くのファミレスにすわっていた。私たちはオーダーすると米沢さんは答えた。「それは役者に気持ちいいことね。もし浅井は舞台に立ったらさ、ちょっと暗いけど結構人の表情を見れるの、もしコンタクトを付けたら……感嘆とか、面白い、幸せ、何十人、あとは後ろの見られない何百人の眼差しが自分に向いていて、それを感じるよ」

  「すごい……!」

  米沢さんは笑顔でうなずいた。「昔から役者って観客の前に出る仕事ね。舞台って様々な制限があるけど、自分の演技はだれかのためってはっきりと感じて、役者はそういうもんじゃないの?私に対してこれは素晴らしいの」

  舞台をしていた時から米沢さんはまだ付き合っている友だちだと言える人が数人いるそうだけど。


  ちはるさんのマンションでのランチで、ネッティーさんは最近見に行ったブロードウェイ劇場のことを話すと、ちはるは言った。「まあ、劇場って多分雑魚の集まりなだけだ」


  え?


  テーブルのみんなはちはるの方に振り向くと、丸山さんはため息をついた。「君が嫌な人と会ったのはわかるけどさ、日本はこんな感じじゃない?」

  「普通の人でも一旦舞台を関わったら変になるけどさ。そういう芝居はハイアートと言うし、ドラマや映画はより低いと見て、自分たちの存在は芸能界の柱だと思って、撮影とかもアートなんて彼らは気づかないね……君たちは考えたことある?成功した役者さんって個人的に豪邸を買って自由に人生を使うけど、こんな舞台人間を見て、学校の部活みたいに先輩後輩仲良しが集まって、しかも部活みたいに厳しいってさ、理由は知ってる?雑魚だから。個人でなにもないから、厳しいルールを作って群れで強いとアピールするの」


  彼女は水を飲むと続けた。


  「厳しい人って、ただ不安じゃない?実力者なんてカジュアルに話せる人も多いよ、逆にいろんなルールや形式を作る人なんて中身がないという意味ね、紛らわしてだれにも気づかせないために厳しかったんだ。芸能界や舞台だけじゃなくて、日本のいろんなところを見てみて、なんとかの見習い、そとから見ても仕事はとくに複雑じゃないけど複雑にしようとして、あなたはそとの人だから繊細さがわからないよと言って、十年間も見習いして、でも同じ時間くらい大学で過ごせばもう博士になったって気づくでしょ?会社と部活も、同じくらい偉いルールを作って自分たちの力を振りまわすためだけに。ひどいね、これは美しい文化と言うなんてなんなの……伝統などを継いで偉い、群れにいるから強い、それは一旦一人になってそういうシェルターがなかったらクズの存在?……え、冗談じゃないよ!ちゃんと見て。形式を作って何重にもカッコつけた人たちはさ、芯まで開けると空っぽなのは彼らだけじゃない、彼らが『利用』している国も。世界中にその『空っぽ』がバレるのは時間の問題だと思うけどね」

  

  初めてのメキシコ料理だけど意外とおいしかった。ちはるといると奢ってもらえるだけでなく、よく彼女といるといろんな馴染みのないレストランに行って新しい経験となった。このランチみたいに高くないお店もあって、今度メキシコ料理をオーダーしてお母さんと食べようかなと考えて、東京での生活はもう少し楽しそうに見えるんじゃないかな。

  そしてネッティーさんは言った。「浅井さん、撮っていい?」

  「あ、はい」

  そのときネッティーさんはお笑い芸人の友だちの熊谷マドカさんとメッセージをやり取りして、ここには数人が集まったとわかると私たちを見たいそうでビデオコールをしはじめた。

  熊谷さんは三十歳近くもともとお笑いだったが、今彼女はタレントとして複数のバラエティ番組に出演した。彼女の顔、太い体系、あとは服装が特徴的で知名度も高く、もし街を歩いたら若者だけでなく年配の方までも彼女に気づきそうだ。

  ネッティーさんの携帯カメラで彼女に見られたら、だれ?と聞かれるかと心配したが、彼女は普通にネッティーさんとしゃべっていて安心した。

  『今日だれも私を助けに来ないの?』

  「午後に用事があるけど、明日まだ準備してますか」

  ネッティーは答えると、ビデオコールから熊谷さんの声が聞こえた。『空いてないならいいよ。しゃべりたいこといっぱいあってさ。えっとね、今日はまだ二百着くらい残ってるけど』

  「すごい売れてますね!」

  『そうそう。こんなに注文が多いと思わないから、今度もっとスタッフを頼まないとね』





―――――――――――――――――

『レ・ミゼラブル』と『ジャンヌ・ダルク』は、次の展開のヒント?


ちはると米沢広子(美月の事務所の先輩女優)は過去に舞台で共演?!

米沢は日本の価値観を持つが、ちはるの批判の通りに悪いのだろうかと美月は思っているようだ。


テンションが下がる次の話で、先輩タレントの熊谷マドカとの会話から集まりはどのような風景になるでしょうか。


丸山沙耶華のイラスト。

https://kakuyomu.jp/users/kamakurayuuki/news/16817330655012563421

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