第7話 話が纏まる!

「俺……一度、桜坂さんと逢ってみたい!」

「近いうちに逢わない?」


 俺は1歩踏み込んだ、メッセージを桜坂さんに送る。

 けど、桜坂さんの反応は予想通りだ。


『えっ!?』

『会いたいです!?』

『そんなの急に言われても困ります(汗)』


(そう来るよね……)

(ここは、今までの小説執筆の経験を生かして!)


「俺、初めて桜坂さんにメッセージを送ってから、俺と桜坂さんは似た様な部分が有ると思うんだ!」

「俺も苛めに近い行為を受けた事が有るし、母親の前では良い子ちゃんを演じていた時も有る」

「今でも、こうやって、桜坂さんとは仲良く話が出来ているから、相性は良いと思うんだ!」


(少し攻めすぎたか……)

(けど、これ位の熱い気持ちを伝えないと、桜坂さんの心は動かないと思う…)


 根拠は無いが、俺はそう信じ込み、桜坂さんにメッセージを送る。

 直ぐには返事が来なかったが、数分後に桜坂さんからの返信が来る。


『私も、少しですが……鳥海さんが気に成っています///』

『私に兄が居ますが、兄は私の事を異端児の目線で見ています。妹も必要な事以外は口を開いてくれません……』

『私の事を心配してくれて、更に励ましてくれるのは、投稿サイトで出来た親友さんと鳥海さんだけです』


『鳥海さんの書いている小説からして、私と同じ様な学生や大学生では無く、大人の人何ですよね?』

『鳥海さんは、おいくつなんですか?』

『もちろん、独身ですよね(汗)』

『30代とかでは無いですよね……(泣)』


(桜坂さん、最後に“(泣)”を入れて来た…!)

(30代だったら、完全にアウトだった訳か!!)

(……誰もが見ても、30代の男性と10代後半の女性とは関係を作れないに決まっている!)


「桜坂さん!」

「俺の年齢は、2x歳。独身だよ!」

「まだ、若いよ!!♪」


『鳥海さんは、2x歳ですか!』

『2x歳なら、多分大丈夫ですね……』

『そうすると、会社員などの生活をしながら、小説を書いているのですか?』


(これは多分、正社員の意味で聞いているな!)

(俺は会社に働いていても、身分はアルバイトだからな…)

(正直に言うべきか、それとも……)


 俺は少し迷う。

 桜坂さんの今までの感じからして、優しい女性で有ると思われるが、真面目な性格だと桜坂さん自身の小説に記していた。


(アルバイトと書いて、それで桜坂さんに幻滅されて交流が途絶える位なら、嘘をついてでも、会社員と言い切った方が良いよな!)


 俺は少し罪悪感を感じるが、俺の今の環境で、女性との出会いは非常に少ない。

 自分自身でもモテる要素は無いし、服装にお金を掛けている訳でも無い。

 それに今回は、桜坂さん自らが切っ掛けを作ってくれた。

 こんな千載一遇を、下らん自己正義で見逃しては成らない!


「そう! 日中は働いて、夜や週末に小説活動をしている」

「やっぱり、働きながら書くのは大変だよ(汗)」


(嘘の文章は書いてないから問題無い)


『私はまだ、アルバイトをした事が無いので分かりませんが、働きながら小説を書くのも大変そうですね』

『私は学業を重点に置いていますから、小説は本当に愚痴を書いている様な者です///』


「桜坂さん!」

「愚痴では無いよ!!」

「桜坂さんの辛さを知る事が出来るし、俺も桜坂さんを助けたい気持ちに成れたから、桜坂さんのはですよ!」


『鳥海さん//////』

『鳥海さんの気持ち、凄く嬉しいです//////』


『お互いが会うのは、まだ早いとは感じていましたが、本当に近いうちに会いましょうか!』


(よし、来た!)


 俺は思わず、ガッツポーズをしてしまう。

 こんなに簡単に行くとは!!


(今は5月の中旬だし、出来れば梅雨が入る前に逢いたいな!)


 チャンスに成る黄金週間ゴールデンウィークは過ぎてしまったが、まだ学生で有る桜坂さんと泊まりがけの事なんて絶対に出来ないし、それに桜坂さんが嫌がるだろう。

 俺は本当に此処が機会と捉えて、具体的な日取りだけでも、今晩中に決めようと思った!

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