第96話 さくらの心情Ⅱ その1

 ……


(颯太さんを完全に、私の者にする事が出来た!♪)


 颯太さんと別れてから、私は駅の改札口に向けて歩きながらそう思う!

 私の目から見ても、颯太さんが嫌々付き合ってくれているのは知っていたけど、最後の最後で颯太さんを完全に振り向かせる事が出来た!!


(やっぱり……あのセーラー服の影響が、大きいのかな♪)

(あの時の颯太さんは、本当に私を異性の目としてみていた!!)

(嬉しい~~♪❤)


 私は朱里さんのお店でお手伝いをしているけど、私だけはセーラー服がお店の制服で有った。

 朱里さんから新規顧客の開拓及び地域振興を兼ねて、更に颯太さんを驚かすことも含めて、私の喫茶店制服は期間限定で有るが、夏服セーラー服で有った。

 来月からは朱里さん達が着ている、同じ制服を着るように成ると思っている。


(でも、期間限定が終ったら、あのセーラー服はどうするのだろう?)

(やっぱり、喫茶店の備品に成るから、朱里さんが管理するのかな??)

(……でも、私専用サイズだし、まさか買い取りとかは無いよね……)


 私はそんな事を思いながら、駅の改札を交通系ICカードで通り、ホームに行くと電車が始発待ちで停まって居るのでその電車に乗る。

 この宇野あざの駅は宇野線の終着駅で有る。


 一時間に四本前後は電車が出ているので、便利とは言い切れないが不便でもない!?

 ホームに設置して有る電光表示板を見ると、今停まって居る電車は21時25分に出発するらしい。


(今日はギリギリだけど、この時間なら門限に間に合いそうだね!)


 前回の時は、宇野駅まで母親に迎えに来て貰ったが、その時母親に嫌みを言われた(汗)

 でも、今回は22時までに自宅に着けるので大丈夫だ!!

 電車が出発するまでの間、私は颯太さんと楽しんだ事を思い出しながら目を瞑る……


 ……


 電車は定刻通りに出発して、時刻表通りに私の家の最寄り駅(十浜とおはま)に到着する。駅からは10分前後で私の家に着く。

 防犯灯なども問題なく整備されているので、私は男性だけど襲われることな少ないだろう……


 問題なく家に到着して、私は何時も通り家に入りリビングに顔を出す。

 リビングにはお母さんと妹が居て、二人共テレビドラマを見ていた。


「ただいま。お母さん!」


 私は元気な声で、お母さんに挨拶をする。

 妹もリビングに居るけど、妹には声を掛けない。

 どうせ言っても、返事をしないからだ。


「……」


「お帰り…。今日も遅かったのね……」


 お母さんは不満そうな口調で言う。

 今の時刻は、21時50分前で有り門限内なのに……

 妹は毎度のことながら、私は無視してくれる……もう慣れたけど///


「あっ、うん…」

「今日も、朱里さんと会話が弾んちゃって…!//////」


 私は両親に今回も嘘を付いて、颯太さんと出会っている。

 いずれは、本当のことを言う日が来るのかな??


『朱里さんのお店でアルバイトと、アルバイト後は朱里さんと女子会をしてきます♪』


 と、朱里さんを出汁にして颯太さんと出会っている。

 幸い、両親に朱里さんの連絡先を教えていないし、万が一の事を考えて朱里さんには口裏を合わせて貰っている。

 私と颯太さん関係を、朱里さんは積極的に応援してくれて居るからだ!!


「……さくらの親友だから余り言いたくないけど、その朱里さんもギリギリまでさくらを引き留めすぎだよ…!」


 お母さんは困った表情と口調で言う。

 お母さんの中では、朱里さんが私を連れ回しているのだと、思っているのだろう……

 実際は、私が颯太さんを連れ回しているのに……


「あっ、うん…」

「朱里さんも積極的だからね!//////」


 私は空笑いをしながら言う。

 ごめんね、朱里さん……


「ふぅ……。まぁ、良いわ!」

「ギリギリだけど門限内だし、でも今度からは……何でもないわ」


 お母さんは諦めた表情で言う。

 門限ギリギリがよろしくないのだろうけど、お母さんも朱里さんとは一度会っている。


 私が朱里さんのお店でアルバイトを始める時に、朱里さんが私のお母さんを喫茶店に招待した。

 お母さんの中でも、朱里さんをきちんとした人物と見ているから、これ以上は言って来ないのだろうか?


「……」


 私がお母さんと会話をしている間、妹はその会話に一切交わることなく、静かにテレビを見ていた。

 これが私の家族、現在状況(一部)で有る。

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