第12話 びっくり仰天!

「鳥海さん…。もう一度言います」

「私は女性では有りません!」


 桜坂さくらさんは、俺を見据えながら言う。

 言われてみれば、女性の割には眼力が鋭い感じもした!


「えっと、えっと、またご冗談を……」

「その綺麗なロングヘアーに少し幼い顔つき…。誰から見ても女性に見えますよ!」


「証拠……お見せしましょうか?」

「鳥海さん……」


 すると、桜坂さんは低い声で言い、ワンピースを捲り上げようとしていた!


(この人、一体何を考えているのだ!?)

(それに此処は喫茶店の駐車場だぞ!!)

(やっぱり、スカートの下には“アレ”が付いているのか!!)


(けど、これだけの声を出しているのに、店員さん達は出て来る気配は無い)

(一体、どうなっているのだ!?)


「桜坂さん!」

「美人と言った事は、再度謝ります!」


「俺は桜坂さんと喧嘩をする為に、遠路はるばる岡○県南部に来た訳では有りません!」

「俺は、桜坂さくらさんと交流を深める為に来たのです」

「本当に申し訳ありませんでした!」


 俺は仕事でミスをして、怒られた時のように頭を深々と下げる。

 これで、桜坂さんが許してくれれば良いが、そうで無ければ、時間とお金と桜坂さんを失ってしまう……


「……」


 まだ、怒っている感じのする桜坂さんだが、先ほど比べれば、少し怒りが収まってきている感じがした。


「……そうですね!」

「私も喧嘩をする為に、鳥海さんと会った訳では有りません!!」

「私の事を二度と、美人と言わない事を誓いますか…」


(桜坂さんが本当に男性だったら、美人と言われても嬉しくは無いだろう…)

(けど、俺の頭の中では、桜坂さんは美人にしか見えないのだがな??)


「はい…。今後は言葉に気をつけます」

「ごめんなさい…」


「……分かりました」

「じゃあ、許して上げます」


(こりゃあ、全然楽しいオフ会では無いな!)

(出会った早々、こんな喧嘩をしていたら、今後どうすれば良いのだ!!)


(桜坂さんが男性だったら……俺は今後、桜坂さんと付き合うメリットは全く無いよな)

(このまま、じゃあねと言って帰るか…)


(美人だけど、男性ではどうしようも無い)

(親友として付き合うのも悪くは無いけど、気軽に会える距離関係では無いし…)


「……鳥海さんも気分を悪くなされたでしょうが、私も良い気分では有りません…」

「ですけど、こちらに以上、おもてなしをする必要が有ります!」


「こちらの喫茶店で、オフ会を始めましょうか」

「……二人ですけど」


 桜坂さんは真面目な表情で言う。

 桜坂さんも内心は帰りたい気分なんだろう……


(しかし、男性と言うなら、男性の格好をすれば良いのだよ!)

(そうすれば、こっちだって間違えない!!)


(でも、敢えてその様な格好をしていると言う事は、何か理由でも有るのだろうな!)

(それを、今日聞く事は難しいだろうな……)

(けど、女装が好きなら……美人と言われて嬉しくないのか!?)


 俺は心の中でそう思うが、桜坂さんの考えが良く分からなかった。


「えっと……雨降って地固まるでは無いですが、よいオフ会にしましょうね」


「……それは、鳥海さん次第です…」


 低い口調で言う桜坂さん。

 出足は最悪の出会いと、オフ会の始まりで有った。


 桜坂さんは本当に男性かどうかは分からないが、女性では無い事は事実らしい。

 少し前に男のの言葉が流行はやったが、桜坂さんは正に男の娘だ!


 美少女の顔つきに、胸の膨らみもワンピース上から感じた。

 そして、お股には切れ目が無くて、ゾウさんが付いているのか!


(今の時代は多様化の時代だから、男の娘が居ても不思議では無いが、それを目の当たりにしてしまうとは……)

(最初で最後の関係に成るか、それとも今後も続くのか、若しくは長い付き合いになるのか!?)


「では、行きましょうか!」


「あっ、はい……」


 桜坂さんの方が年下なのに、主導権まで取られてしまった。

 此処まで来ると、踏んだり蹴ったりで有った。


(……時間的に、ここでお茶や軽食を楽しんで、終わりのパターンかな)

(まさか、桜坂さんが女性では無かったとは……。良い経験と言えばそれまでだが、もっと近場で有ったらな!)


 俺はそんな事を思いながら、桜坂さんの後を付いて行った……

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