第25話 オフ会もお開き

 俺と桜坂さんはお互いの探り合いで夢中に成っていたのか、ケーキは完食していたが、サンドイッチやフライドポテトは、まだ半分近く残っていた。

 飲み物も二杯目なので、お互いまだ半分以上アイスティーが残っていた。


「朱里さん!」

「俺は特に大丈夫ですね…。さくらさんはどうですか?」


「私も大丈夫です。お気遣いありがとうございます。颯太さん!」


 にっこりと微笑む桜坂さん。

 それを“にやけた”表情で見ている朱里さん!?


「……追加注文は無しね♪」

「後、1時間位でお店を閉めたいから、それまでにはキリを付けてね♪」


 朱里さんは笑顔でそう言って、店の奥に戻って行った。

 にやけた表情で見ていた朱里さんだが、俺と桜坂さんを“からかって”は来なかった?


(あっ、後…、さくらさんと朱里さんの関係も聞きたいな!)


「さくらさん!」

「さくらさんと朱里さんの関係は、どうやって深めたのですか?」


 俺は桜坂さんに質問をすると、桜坂さんは笑顔で答えてくれる!


「朱里さんとの関係ですか?」

「話すと長く成りますから、簡単に言いますと、私がお客さんとして訪れたのが始まりです!」

「女性に成る決意をして、学園に通っていましたが、それでも不安が有りました!」


「有る週末。気分転換に普段乗らないバス路線に乗って、一人で景観を眺めていた時に、この喫茶店を見付けました!」

「都合良くバス停が目に入りましたので、私は急いで降車ボタンを押し、其処で降りてこの喫茶店に入りました」


「丁度入った時が今日の曜日で『Close』にするのを朱里さんが忘れていた店に、私が入ってしまいましたが、朱里さんはそれを追い返す事無く、お客さんとして招き入れてくれました♪」


 嬉しそうに話す桜坂さん。

 朱里さんと桜坂さんの関係は、本当に仲が深い証拠だ!


「私が一人でお茶をしている時に、私が悩みを持っているのに朱里さんは気付いてくれて、私は心の悩みを朱里さんに話し、朱里さんはそれを受け入れてくれて、其処から今の関係まで続きます!」


 桜坂さんは朱里さんのとの関係を、和やかな表情で話してくれた。

 朱里さんが作ってくれた料理を残す訳には行かないので、俺はサンドイッチを食べながら聞いていた。


「それが、さくらさんと朱里さんの関係か!」

「世の中面白いね!!」


「ですね。颯太さん!!」

「私も颯太さんと此処まで、交流が深められるとは思ってもいませんでした♪」


 本当に嬉しそうに言う桜坂さん。


「颯太さん!」

「先にお料理だけでも、片付けてしまいましょうか♪」

「少しでも、朱里さんの手が掛からないように!」


 桜坂さんはそう言いながら、最後のサンドイッチを手で摘まむ。

 俺もフライドポテトを数本摘まんで、残り時間の短くなったオフ会を、桜坂さんと話しながら楽しんだ……


 ……


 時刻は17時前……


 波瀾万丈で有った(!?)、オフ会も終わりを告げる。

 オフ会の料金(喫茶店飲食代)は、桜坂さんの優しさで割り勘に成った。

 店舗は貸し切りで有ったが、朱里さんはそれを請求しなかった。

 人数も二人だし、たくさんの料理も注文しなかったので、一人当たり2,000円も掛からなかった。


「鳥海さん!」

「このお店が気に入ったら、また来てね♪」

「遠い所に住んで居るから、偶にで良いからね♪」


 お会計後。朱里さんは笑顔で俺に言葉を述べてくれる。

 朱里さんを改めて、良く見てみると、朱里さんはお団子頭をしている可愛い姿だ!


「はい!」

「こちらに来た時は、是非寄らせて貰います。朱里さん!」


(この人はきっと……女性に違いないだろう!!)

(けど、ここで朱里さんに、好意の有る声を掛ける訳には……)


 俺がそんな事をしたら、桜坂さんの性格上、”やきもち”でも焼きそうだ!

 ここは、グッと我慢する……


『鳥海さん!』

『来る時は、さくらちゃんと一緒に来てね♪』


 とでも、朱里さんは言うかと思ったが、朱里さんは言わなかった?

 この関係を一時いっときの関係と、朱里さんは見ているのだろうし、普通に考えればそう考えるだろう。

 男性同士では結婚は出来ないし、俺も桜坂さんを幸せにする自信が無い。


「颯太さん!」

「手を…、繋いでもよろしいですか♪」


 俺と桜坂さんで店を出ようとした直後、桜坂さんが笑顔で俺を求めてきた!

 関係を進展出来たのは嬉しいが、まさかこんなに早く、次の展開が進むとは、俺は思ってもいなかった。

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