第24話 からだとこころ

「やはり、悩みますよね…。私の中身は男性ですから……」


 俺が余りにも悩み過ぎているから、桜坂さんは諦め口調で言い始める!

 俺との関係を余程求めているらしい。


「そっ、そんな事無いよ!///」

「俺はさくらさんと交流を深めたいけど、かなりの遠距離関係に成るから、その辺の問題をどうしようかと思っているのであって!///」


 俺は焦りながら桜坂さんに言うと、桜坂さんも何かに気付いた表情に変わる!


「あっ……その辺りの問題も有りますね!」

「私が大学生に成るまで待って貰えましたら、私からも颯太さんの元へ行く事が出来ますが……」


 桜坂さんも此処で遠距離恋愛に気付き、元気なさげな声で答える。


(このままの流れだと、本当に一期一会で終わってしまう!)

(俺との関係が終わっても、さくらさんの問題は解決は出来ないし……)


 俺は今までの小説執筆経験から、良い言葉を作り出そうとしているが、それが中々出来上がらない。

 すると、桜坂さんは完全諦め口調で言い始める!


「……良いのですよ。颯太さん。無理に関係を保とうしなくても…」

「私はこの姿形です…。颯太さんいえ鳥海さんのように、私を求めて来る人はたくさんいます」


「現に告白された事も有るのですよ…。学園の男子数人に……」

「私が男だとも知らずに……。上手に断りましたが…」


 桜坂さんは自暴自棄に成りかけていた。

 そんなに俺の事を気に入ってしまったの。坊主頭なのに!?


「あっ、あの、さくらさん…」

「俺の事、そんなに気に入りました…?」


 俺がそう聞くと、桜坂さんは顔を少し下に向けて、恥ずかしそうに話し始める。


「はい…。今まで出会った男性の中では、颯太さんが一番真面目です//////」

「清潔感も感じて、思いやりも有りそうだと感じています!///」


「私は今まで、何人かの男性と出会いましたが、私が出会った直後にする事は、自らの性別を言う事です。お互い傷、浅い方が良いですから…」


(やっぱりと感じていたが、俺が初めての男性では無かったか…)

(けど、どうして男性を求める?)

(心が女性だから、自然と男性を求めるのか??)


「今まで出会った男性達は私の正体を知ると、一人で後悔したり、私に暴言を吐いたりして、直ぐに立ち去って行きました」

「中には『訴えてやる!』とか言う、30代の人も居ました…」


(それが、30代以上は駄目な理由か!)

(30代の人も、婚期に焦っているのだろうな)←知ったかぶり


「出会った以上、渋々お茶に付き合ってくれた人も勿論居ましたが、本当にお茶一杯を飲んで、会話も弾まず終わっていました」


「けど、颯太さんはお茶に付き合ってくれたどころか、私の話しを真剣に聞いてくれて、好意まで感じてくれました!!」

「私の事を全てお話したのは、朱里さんと颯太さんだけです…///」


 恥ずかしながらでも、少し嬉しそうに話す桜坂さん。


「私の体は男性ですが、心は女性です///」

「そう思うように成った影響か、女性より男性を求めるように成りました……」

「少し年上の男性を好むようですが、颯太さんはどうですか///」


 上目遣いで、俺に話しかける桜坂さん……

 これが女性だったら、直ぐに『付き合いましょう!』と言えるのに!


(体は男性でも外見は美少女だ!)

(それに、これだけ完璧な女装をしていれば、誰もが見ても女性だ)

(普段の生活で大きな問題は無い…。有るのは子孫をどうするのか位だ)


「さくらさん…。俺もさくらさんは好みの人だと感じています」

「当面は遠距離関係に成るでしょうし、性別は男性でも、さくらさんは学生です」

「お互い、リスクが有る事を承知で良ければ、今後も交流を深めたいのですが」


「はい!」

「私はそれで、よろしいです!!」

「私も学生身分は重く受け止めていますので、颯太さんにご迷惑を掛ける事は致しません!!」

「私も颯太さんと交流を深めたいです!!」


 顔を真っ赤にして、俺に訴えかける桜坂さん!

 拳も握りしめて、胸元付近まで、その拳を持って来ている。


(これだけの展開に成ってしまったら、もう後には引けん)

(男の娘の桜坂さんと仲を深めて……後はおわりだよな!?)


 俺の中で、桜坂さんと身体を交わる事は考えていない。

 桜坂さんも性に関しては抵抗が有るから、交わる事を求めないだろう。恐らく……


「じゃあ、もう一歩進んだ関係に成りましょう♪」

「さくらさん!」


「はい!♪」


 満面な笑顔で答える桜坂さん!!

 小説投稿サイト上からの交流から、こんな発展が起きるなんて予想もしなかった。

 彼女が男の娘での意味も含めて……


『コツ、コツ、……』


 和やかな表情で朱里さんが、俺達の座っているテーブルに近付いて来た。

 ベルも鳴らしていないのに、どうしたのだろう?


「……そろそろ、ラストオーダーにしたいのだけど、注文有るかな?」

「本当はもっと楽しんで貰いたいのだけど、私も色々有るからね!」


 朱里さんから笑顔でラストオーダーと聞かれて、俺はスマートフォンをポケットから取り出し、時刻を確認すると……16時を結構過ぎていた。

 桜坂さんとの進展が進むように、オフ会の時間も進んでいた……

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