第21話 オフ会も後半に入る

 今後の桜坂さんとの付き合い方を悩み始めた直後、朱里さんがテーブルにやって来て、アイスティーとケーキをテーブルに配膳する。


「さくらちゃん。注文は以上で良いね」


「はい。注文は以上です♪」


「はい。分かりました!」

「鳥海さん! さくらちゃんはどうですか!」


 桜坂さんの会話後、笑顔で俺に話を急に振る朱里さん!


「えっ、なにがどうですか!?」


(人間性、それとも異性では無く同性として!?)


「それは勿論、さくらちゃんの感触について決まっているじゃん♪」


 大人の女性なのに、子どもの様に無邪気の表情で話す朱里さん。


「えっと……まだ、学生なのに苦労していて、良い子なのに大変だなと」


「ふう~ん。鳥海さんはそう捉えているんだ!」

「さくらちゃん……事情を話したんだ!」


「……」


 何かを理解した様に言う朱里さん?

 それに対して、何も言わない桜坂さん??


「でっ、どうするの?」

「鳥海さんは、今後さくらちゃんとの付き合い方を……」


「えっ…!///」

「朱里さん!///」

「それは、さくらさんの目の前では流石に言えませんよ!//////」


「ほぉ~~」

「言えないという事は、かなり好意的な目線で見ているんだね。鳥海さん♪」


(朱里さんには関係が無いとは言えんが、余り深入りしないでくれ)

(俺だって、今後の行方をまだ決めてないのだから……)


「さて、からかうのはここまでにして、ごゆっくりどうぞ♪」

「お・ふ・た・り・さ・ん♪」


 朱里さんはそう言い、店の奥に戻って行った!

 朱里さんの所為で、俺と桜坂さんに変な空気が生まれてしまった!!

 同性同士なのに!!

 此処は一度、雑談でこの空気を変えるしかない。


「えっと、美味しそうなケーキだね。さくらさん…///」


「はっ、はい。此処のは美味しいですよ///」


 俺も桜坂さんも、俯き加減で会話をしている。

 何で、お互いこんなに意識をしているのだ!!


「颯太さん……」

「美味しそうなケーキですし、お話は中断して、ケーキを食べましょうか///」

「話しながら食べるのは、勿体ないケーキです///」


 桜坂さんは、ぎこちなさそうに言う。


「うっ、うん…。話しながらだと、ケーキを味わえないからね!」


 俺はそう言って、フォークを持ってイチゴのショートケーキを食べ始める。

 桜坂さんも同じ様に、生チョコレートショートケーキを食べ始める。


(うん!)

(ミルク感を感じる生クリームだ!!)

(コクが有るのに後味もクドくない!!)


 本当だったら、口に出すべきだが、桜坂さんも生返事しかしないと思い、心の中で感想を言う。

 今までの桜坂さんだったら、絶対に感想を聞いてくるのに聞いてこない。

 恥ずかしさの表情は消えていたが、何かを考えるように桜坂さんはケーキを食べている。


(まだまだ、聞きたい事も有るけど、後は何を聞こうかな?)


 桜坂さんの個人的な情報は知る事が出来たが、小説を書き始めた切っ掛けや、朱里さんと桜坂さんの関係も深くは聞けてない。


(桜坂さんも、俺の事をまだ知りたいだろうし、この時間だけで全てを聞く事は出来ないな)

(あっ、大事な事を忘れていた!!)

(桜坂さんは、岡○県のどの辺りに住んで居るのだろう)


(俺の予想だが、学生で有るさくらさんが、朱里さんの喫茶店に気軽に来られるのだから、王乃おうの市か古倉ふるくら市だと思うがな…)


(よし、今度はさくらさんの住んでいる場所を聞いてみよう)


 俺が次の質問を決めるように、桜坂さんも俺と同じ様にケーキを食べながら、時々頭を上に上げていた。

 桜坂さんは、俺に何を聞いてくるのだろうか?


 夕方が刻一刻と近付いて来ているが、先ほど思い付いた事だけは今日、桜坂さんに質問出来たら良いなと思いつつ、イチゴのショートケーキを食べた。

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