第37話 膠着状態

「車内での確認の後は、―――」


「……」


 朱里さんは俺が話してる中、途中で割って入ってくる事は無かった。

 けど、その話に共感や頷く事もしなかった……

 本当に黙って聞いていた……


「……」


 桜坂さんも無言で有るが、朱里さんに期待する眼差しで見ていた!

 朱里さんを仲介役にして、俺との関係を正式な関係にさせるつもりだろうか!?


 ……


「―――、そんな感じです」

「朱里さん……」


 俺は長い説明を終える……

 説明を終えた後、俺は朱里さんの表情を覗う。


「……」


 やはりと言っては行けないが、朱里さんは小難しそうな表情をしていた。

 朱里さんの中でも、俺と桜坂さんとの行動及び行為が、早すぎたのだと感じたのだろう……


「……さくらちゃん」


 朱里さんは俺に話し掛けずに、桜坂さんに顔の向きを変えて話し掛ける。


「はい……」


 それを桜坂さんは、静かに返事をする。


「さくらちゃんは本当に鳥海さんいえ、颯太さんに好意を持ってしまったの……」


 朱里さんは強い口調で聞くのでは無く、尋ねるように聞く。


「はい…。持ってしまいました!///」

「颯太さんから優しさも感じますし、また女性慣れしていないのも……」


「それに私と颯太さんは、一線を既に越えています!」

「あれだけの事をしておきながら……親友関係では可笑おかしすぎます……」


「そっ、そう……///」


 朱里さんは対応に困った返事をする。

 俺と桜坂さんの関係を否定する発言はしなかった……


(女性慣れしていないか……)

(中々、痛い所を突いてくれるね!)


 俺が今、勤めている企業は男性ばかりだし、今まで、恋人関係までに発展した女性は居ない……。大親友までの異性親友はいた!

 朱里さんは本当に困った表情をして、俺の方に向きを変える。


「颯太さん……」

「ちょっと、こちらに来て…!」


 朱里さんは手招きをしながら、俺に声を掛ける。

 俺を説得するつもりだろうか?

 桜坂さんの表情は、相変わらず落ち込んだままだ……


 俺は朱里さんに近付くが、桜坂さんは朱里さんを信用しているのだろう。

 やきもちを焼くような表情・仕草は見せなかった。


「颯太さんも……興味でしたでは済まないわよ…」


 朱里さんの開口一番は、俺の行為を否定する物だった。


「さくらちゃんが、紛れもない男性確認をしたかった気持ちも分かるけど、生殖器の確認だけは同性だけでもやり過ぎよ…///」


「朱里さん…」

「先ほども説明しましたけど、実物までは見ていません。ショーツ越しまでです…」


「それでもやり過ぎよ。颯太さん!」

「あなたは、さくらちゃんの胸を触ったまでで、止めておけば良かったの!!」

「そうすれば……同性同士だから、“おふざけ”で済んだかも知れない……」


 朱里さんはかなり怒った口調で言う……

 けど、桜坂さんがあれだけの美少女顔で、男性と言うのが、俺の中では最後まで納得出来なかった……


「朱里さん……。俺はどうすれば良いですか?」


 今、俺が持っている思考や判断では、桜坂さん悲しませる行動しかほぼ出来ない……

 朱里さんは桜坂さんを大事にしているし、桜坂さんも朱里さんを信用している。

 俺は朱里さんに頼ってみる……


「それは……私にゆだねても良いって訳?」

「私は思う事は一つだけだよ……」

「けど、その前に、さくらちゃんに対する、颯太さんの気持ちを聞かせて……」


 朱里さんは真剣の表情に成って言う。


「俺の気持ちですか……」


「そう!」

「今、あなたが、さくらちゃんにしたい事を、さくらちゃんに言う前に私に言って!」


「……」


 俺は言葉一つ間違えば二人を失うどころか、このまま警察沙汰にされる事も、頭の片隅に置きながら、朱里さんに話し始めた……

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