第38話 妥協点!?

「……当面の間、俺は桜坂さんとは親友関係を、維持したいと思っています!」


「んっ…!?」


 俺は今、最善だと思う言葉を朱里さんに話すが、朱里さんは顔をしかめていた!?


「えっと、颯太さんは……道路関連企業にでも務めているの?」

「当面や維持なんて言葉、日常生活では使わないわよ……」


「それに……言葉の感じからして、凄くお役所言葉を感じた!」

「あなたは、さくらちゃんをどんな風に思いながら、今日此処まで態々わざわざ来たの?」


 俺の言葉が、朱里さんをますます不機嫌にさせてしまった!!

 朱里さんの肩が、少し震えている気がするが、薄暗くてはっきりとは分からない。


「朱里さん!」

「弁解では有りませんが、俺もさくらさんに逢うまでは、女性だとずっと思っていました!」

「さくらさんの書いていた小説の文面や仕草、プロフィールから100%女性だと認識していました!!」


「!!///」


 此処で、朱里さんも何かに気付いた表情をする。


「あっ……そう言えば、そうね……///」

「さくらちゃんは、あの世界(小説投稿サイト)だけで見れば、女性だもんね…」


 朱里さんは慌てふためいた表情の後、少し真面目な表情に変わる。


「……颯太さんには説明する感じに成るけど……私のお店で、さくらちゃんと異性のセッティングを最近するように成ったのよ」

「颯太さんを入れて、今回が二回目に成るかな?」


(朱里さんが、さくらさんと男性との、出会いの場を提供していた!?)

(何で、そんな事しているの!?)


「あっ、あの……朱里さん」

「全く、話が見えなく成りましたけど……」

「何で、朱里さんがそんな事するのですか!?」


「朱里さんは此処の店長さんですから、店をそう言った場で、提供をするのは勝手ですが、一個人としてはやり過ぎでは無いですか!!」


「うっ……やっぱり、そうなるよね…///」


 今まで、優勢だった朱里さんが急激に失速する!

 これはチャンスだと言いたいが、俺の目的は朱里さんを倒す事では無い。


「朱里さん…。俺から聞いても良いですか?」

「どうして、桜坂さんは男性を求めて居るのですか?」


 俺は少し強気の発言を朱里さんにするが、朱里さんも体勢を立て直した!?


「颯太さん…。その質問は答えるけど、先に私の質問に答えて!」

「あなたは……さくらちゃんが本当に嫌いなの?」


 朱里さんは再度、目を細め真剣な表情に成るが、同時に見えない気に押される!?

 これは怒っているの? それとも、何かのオーラ!?


(親友目線で見れば、さくらさんとはもちろん関係は作りたいよ!)

(けど、さくらさんが急接近しすぎた…。只、それだけなんだよ)


 俺は思った事を、そのまま口にだそうかと思ったが、朱里さんのほぼ真横に桜坂さんも居る。

 桜坂さんが俺との関係を持ちたがっている以上、思った事を口にしては行けない。


「……俺もさくらさんの事は好きですが、近場の関係でも無いし、それにまだ少し同性に抵抗が有ります」


「……それが、颯太さんの本音?」


 朱里さんは冷静な口調で聞く。


「……はい」


 すると、朱里さんは穏やかな表情に変わる!?


「なら、颯太さん!」

「あなたは、さくらちゃんと付き合いなさい!!」


「えっ!?」


(どうして、そうなる!!)


「あなたの質問に戻るけど、さくらちゃんは見ての通り、外見は女性だけど中身が男性!」

「それが災いして、性の多様性を認めている学園を選んでも、虐めや嫌がらせは完全に無く成る訳ではない!!」


「その時に、一番頼りや心の支えに成るのは、何か知っているよね。颯太さん!!」

「もし、アニソンや異世界アニメとか言ったら、直ぐに『親友が男性に強姦ごうかんされたと警察に通報するからね♪』」


 朱里さんは笑顔で俺を脅迫してきた!?

 この人……意外に面倒くさい人!?


(そんなの、一つしか無いだろ)

(青春時代で一番心の支えに成るのは、彼氏・彼女を作る事だ!!)


(……そうすると、さくらさんは心の拠り所を求めて、この場合は彼氏を作ろうとした?)


(それだと……今までの筋が通りそうだが)

(それだったら……性別らしく女性にするべきだが、女性が嫌がるか!?)


 俺は分かりきっている解答を、朱里さんに言おうとした。

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