第84話 公園デート その1

 ……


 特に大きな渋滞などに巻き込まれること無く、無事に公園駐車場に到着する。

 さくらは公園と言っていたが、その公園には『道の駅』が併設されていた。

 自然豊かな公園で有る感じだが、きちんと遊具施設も有り、食堂や洋風庭園、ミニゴルフ所などが有る。

 比較的レジャー施設の要素も出ているが、本日の営業は終了や終了間近で有った……


 道の駅の方も直売所やお土産売り場、食べ物なども売っているが……営業時間は17時までのようだ……

 今のお腹状況では、俺もさくらも何も食べる気は起きないだろうが……

 車から降りた俺とさくらは、早速公園の散策でも始めるのかなと思いながら、俺はさくらに声を掛ける。


「さくら!」

「早速、公園の方に向かう?」


「はい、そうですねよと言いたいですが、この季節ですから、飲み物だけは持って行きましょうか!」


 さくらは和やかな表情で言う。

 夕方に近いとは言え、夏真っ盛りだ!!

 施設ゾーン(道の駅)には自動販売機が有るが、公園ゾーンに入ると自動販売機類は普通無い。


「あぁ、確かに飲み物は有った方が良いね!!」

「流石さくら、気が回る!!」


 俺はさくらを褒めながら言う。


「えへへ!//////」

「地元民ですからね!!」


 さくらは照れながら言う!

 仕草や言葉遣いだけを見れば、普通の女性と何ら変わらない!!

 俺とさくらは、道の駅に設置して有る自動販売機でお茶を買ってから、公園奥の方に向かう。


「ありがとうございます。颯太さん❤」

「初めてのプレゼントです!♪」


 さくらのお茶(ペットボトル)料金は俺が出した。

 150円のペットボトルお茶だが、初めて彼氏が彼女に物(お茶)を渡した瞬間で有った!?

 それを凄く喜ぶから……却って、こっちが恥ずかしかった!//////

 親友でも、こんなに喜ぶ人は居ないだろう……何せ、ペットボトルのお茶だから。


 公園のゲートと言うほどでは無いが、道の駅から公園の敷地内に入る。

 さくらの話しでは公園中央に有る、池の奥地を目指して歩くと言っていた。


 池の奥地に親水広場が有るらしく、其処から見える景色が綺麗だそうだ。

 時間的は、徒歩で30分ぐらい掛かるらしい。

 夕方の自然の景色を見ながら、さくらとの公園デートが始まった!!


 週末の夕方で有るが夏の時期だし、少し涼しく成った時間帯を狙ってかは分からないが、結構な人が遊歩道を歩いている。

 中心と成るのは、初老の方達や家族連れが中心で有るが、ちゃんとカップルも居る!

 俺とさくらも分類上ではカップルだ!?


 蝉の鳴き声とヒグラシの鳴き声を聞きながら、親水広場に向かって2人並んで歩いていると、さくらが笑顔で声を掛けてくる。


「颯太さん♪」

「手を繋ぎましょうか!♪」


 さくらはそう言いながら、右手を俺に差し出してきた。


「うん!」

「良いよ。さくら!!」


 俺はそれを笑顔で返し、俺の左手でさくらの右手を掴む。


「❤❤❤」


 俺が掴んだ瞬間から、満面な笑顔をするさくら!!

 見ている方も嬉しくなる笑顔だ!!

 けど……さくらは男性で有る。


「今日の颯太さんは素直です❤」

「制服効果のパワーはてきめんでした❤♪」


 さくらが嬉しいのは分かるが……余り余計な事は言わないで欲しい。

 セーラー服と言わなかっただけマシで有るが、喫茶店の時と違い、此処は公共の場で有る。


「ははっ……」


 俺は空笑いをするしか無い。

 実際、それを求めているのは事実だし、その姿を見てから俺の中でのさくらの見方が変わってしまったからだ!?


「少し涼しく成って来ましたし、公園デートにはぴったりな時間ですね!」

「颯太さん♪」


 和やかな表情で言うさくら。

 今日のさくらはまだ怒ったり、怒らせてはいない。

 このまま……笑顔のさくらのままで、無事にデートが終れば良いよなと感じながら、二人で公園奥地に向かった……

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