第85話 公園デート その2
……
さくらと雑談をしながら、さくらが目的地に設定した親水広場に到着する。
其処は芝生の広場から池の景色を見る事が出来て、きとんベンチも設置されて有り、休憩が出来る様に成って居る。
景観も池の端部分では有るが、周りの森林と池が上手に融合している。
少し奥地の部分なので人影は少ないが、その代わり好きなベンチを選べるし、デートスポットと言えるだろう。
お互い、此処に来るまで多少は汗を掻いたが、二人共ハンドタオルは持って来ていたので、汗ダラダラでは無い。
夏の時期に公園デートをするのは分かり切っていたから、お互い用意していた。
「颯太さん!」
「あそこのベンチに座りましょう♪」
親水広場に設置して有る幾多のベンチの中で、一番景観が良さそうな場所に設置して有るベンチに指をさす、さくら。流石、地元民だ!!
俺とさくらはそのベンチに座るが、さくらは俺の体に密着させるように座る!
まだ、日が暮れてないのに“さくら”はもう、大人モードに入り始めているのか!?
でも、此処で日が暮れてしまうと、暗闇の中で戻るのが大変だ!!
お互い、少し水分補給をした後、今までのような雑談では無く、お互いの話しをすると思うのだが……俺は何を聞こうかな?
蝉やヒグラシの鳴き声も、まだ元気に聞こえてくる。
そして、俺が声を掛ける前にさくらが声を掛けてくる。
「颯太さん…。楽しいデートも、もう折り返し地点ですね!」
さくらは、少し寂しそうな表情で言う。
「でも……デートは、これからが本番だろ?」
「さくら!」
俺はさくらを落ち込ませないように、微笑みながら返事をする。
「はい……そうですけど、やっぱり月に1回は寂しいですね…」
「私はまだ、公然と夜遊びが出来る年齢では有りませんし……」
「う~ん……まぁな!」
俺はさくらの問いに対して、そう返事をするしか無い。
月1回、さくらに逢うだけでも、交通費は半端ではない!!
これが遠距離恋愛、最大の短所と言えるだろう!!
これを『2週間に1回は会いましょう❤』とさくらに言われたら、俺のお金や体力が持たない。
長距離ドライブも結構疲れるので有る。
「なぁ……さくら!」
「前回と今回は、午後からの時間で逢っていたが、来月は午前中の早い時間から逢おうか!!」
「あっ……でも、さくらは朱里さんの店を手伝っているのだな……」
俺は其処まで言った時に気付く!
さくらは土曜日に、朱里さんの店でアルバイトをしていることを……
けど、さくらは『何で、そんな簡単な事を気付かなかったの!』の、表情をしながら話し始める!?
「あっ、その手が有りましたか♪」
「颯太さん!!」
「ですよね、ですよね!」
「午後の遅い時間から出会うので、デートの時間が短くなるのです!!」
「今度は、午前中の早い時間に会いましょう。颯太さん♪」
「そうしましょう♪♪」
さっきまでの寂しかった表情は何処かに飛んで行って、満面な笑顔で喋るさくら。
(それは良いのだけど……朱里さんの店は、大丈夫なのか?)
「……さくら。俺は構わないけど、土曜日は朱里さんの店でアルバイトをしているのだろ?」
「そんなの、全然大丈夫ですよ。颯太さん!!」
「私がお手伝いをする前は、朱里さんとパートさんの2人でお店をしていましたので、朱里さんに理由をちゃんと言えば休めるはずです!!」
笑顔と強気の口調で言うさくら。
『この日は颯太さんとデートですから、お休みします♪』と、さくらが言えば朱里さんのことだ……笑顔で許すだろう。
「じゃあ、次回は早い時間に会いましょう♪」
「約束ですからね、颯太さん!!」
「あっ、あぁ……!」
笑顔で言われてしまったら、俺は頷くしか無い。
けど……これで、さくらが元気を取り戻したのだから、良いのだ!!
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