第86話 公園デート その3
「……それにしても、綺麗な景色だね。さくら!」
「空も綺麗だし、自然の中に居ると心が凄く落ち着いてくるよ!!」
俺は周りの景色を見ながら、さくらに笑顔で言う。
「はい♪」
「ここは本当に綺麗な場所です!!」
「私のお気に入りです♪」
嬉しそうな表情で言うさくら。
お互いが景色を見て和んでいる。
(でも、さくらのことだから、ここで何かを求めて来るのだよな……)
(お気に入りと言うぐらいだから、下調べはして有るはずだ……)
人気の少ない公園奥地……
まだ、周りの景色もはっきりとは見えるが、ここから駐車場に戻るまで約30分掛かるから、日暮れの事とかを考えると、そんなに長居はしていられない。
「……颯太さん!///」
「颯太さんに寄り添っても良いですか!//////」
さくらは恥ずかしそうな表情と口調で言う。
寄り添うぐらいなら何も問題は無いので、俺は素直にそれを返事をする。
「んっ……あっ、いいよ。さくら…!」
「では……お言葉に甘えまして…❤」
さくらは”はにかんだ”表情で言い終えた後、俺の左肩を目掛けてさくらの体を傾かせてくる。
俺とさくらの距離が一気に縮まる。
「颯太さんは……結構、肩幅広いですね!///」
「……そうかな?///」
さくらの上目遣いの表情と口調で、二人の世界が出来はじめる。
俺はさくらが男性なのは知っているのに、胸の鼓動が早くなり始める!?
「はい…。大きいです❤」
さくらは優しい口調で言う。
俺は側に居るさくらを左腕を使って、さくらの体を抱き込む。
「あっ……颯太さん!」
「……今日は、積極的ですね❤」
「……恋人同士だからな!」
さくらは嬉しそうに言い、俺は言葉短く言う。
俺も少しは、イケメンを演じなくては!?
(さくらも女性に成りきって居るのだから、これ位のサービスはして上げないとな!)
(でも……肩幅は、俺と同じ様にしっかりしているな……)
「……///」
「……///」
寄り添っている状態だが、俺もさくらもお互い声を掛けようとはしない。
無言で……俺はさくらを見ているし、さくらも無言で微笑みながら見ている。
そんな時間をしばらく続けているが……俺は考える。
(良いムードだけど……大分、日が暮れてきた気がするな)
(この公園は自然公園に近いから、遊歩道は整備されていても、照明の数は少ない……)
まだ、駐車場に戻る時間は早い気がするが、薄暗くなり始めてから行動をするのは不味いし、それにまだデートはこれで終わりでは無い。
さくらは俺に寄り添って満足している内に、次への行動に動くべきだろう。
「……さくら。日が暮れる前に戻ろうか?」
「その方が安心だし……それとヤブ蚊も寄って来たから(汗)」
目の前が水辺で有るし、二人とも『ジッ』としているから、ヤブ蚊が俺とさくらに襲って来ていた!!
ヤブ蚊は針が太いのかどうか分からないが、ヤブ蚊に刺された瞬間が直ぐに分かってしまう……
「そうですね……私も、足をヤブ蚊に刺されました!///」
「夕方の水辺の有る公園は、蚊に刺されますね!//////」
「もう少し……居たかったですけど!//////」
さくらも困った笑顔をしながら、足下を手で掻いていた。
俺の耳元に、ヤブ蚊が飛んでいる音も聞こえてくる!!
これ以上、此処に留まっていてもヤブ蚊の餌食に成るだけだ!!
「まだ、次のデートが有るし、駐車場に戻ろう。さくら!」
俺はさくらを抱いていた左腕を戻しながら言う。
さくらも寄せていた体を戻し、お互いがベンチから立ち上がる。
「颯太さん!」
「帰りも手を繋いで戻りましょ♪」
笑顔で右手を差し出す、さくら。
親水広場から駐車場に戻る時も、俺とさくらは手を繋いで、雑談をしながら戻った……
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