第30話 さくらさんの暴走!?

「頭の中では、さくらさんを男性と思っていても、身体が女性と認識してしまうのだよね……///」

「でも、不思議とさくらさんを求めてしまう……」

「何でだろうね、あはは……」


 自ら発言した言葉をごまかす為、俺は空笑いをしていると……桜坂さんが急に身を寄せてきた!!


(えっ、急にどうしたの!)

(さくらさん!!)


「颯太さん……!」

「私、もう我慢出来ません!///」


 俺の耳元で、そう言い終えた後、さくらさんは俺の口元に一気に近付き……


「んっ……」


(わっ、油断していた!!)


「!!」


 俺がさっき、桜坂さんの胸を触った時以来、二人の距離を離していなかったから、呆気なく桜坂さんに襲われてしまう!?

 俺の中で『あっ!』と感じた時は、桜坂さんの唇と俺の唇がくっついていた!!


 口紅は付けていなかったはずの桜坂さんだが、桜坂さんの唇からは油分を感じた。

 リップクリームか、先ほど食べたサンドイッチなどの油分かは分からないが、キスの感触は悪くない……


「はぁ……///」

「うっ、ううん、……」


 桜坂さんは本当に俺を求めて居るようで、舌で俺の唇を舐めている。

 もう一歩先へのキスを、桜坂さんは求めていた……


(これは、困ったな……)

(嬉しいような、俺はホモかと感じてしまうが……)

(けど、誘ったのは俺だしな……)


 俺は無理に突き放す事はせず、桜坂さんの思いのままにさせる。

 でも、俺は唇を貝のように閉じている。

 まだ、桜坂さんが男性と言う、抵抗が有るからだ……


「口を開けてください……」

「……少しだけで良いですから///」


 桜坂さんが、性を求める表情で言う。

 キス状態だから、はっきりとは喋れなかったが、桜坂さんはやはり、もう一歩を求めていた……


(幾ら何でも、展開が急すぎるだろ!!)

(こんな場面、朱里さんにでも見られたら、どうするのだよ(汗))


 キス状態なので、俺の顔は動かせないが、目線は動かせるので、見られる範囲で目線を動かす。


(まだ、朱里さんは店内の感じだな…)

(えい! もう良い。先に行っちゃえ!!)


 俺は少し口を開くとやっぱり、桜坂さんは直ぐに舌を、俺の口内に滑り込ませてきた!!


「んっ……はっ//////」


 桜坂さんは俺の舌の先端を舐めている……

 けど、俺から桜坂さんの舌を求めようとはしなかった……


(これって、確か……ディープキスだっけ?)

(本当は凄く嬉しいはずなのに……複雑だ…)


 悲しい事に、桜坂さんに此処までのキスをされてしまったから、俺の“ぞうさん”は完全に反応していた!


 男の娘で、完全反応してしまった俺。

 桜坂さんが美少女過ぎるから、やむを得ない状態だよね。男性諸君!!


 そんな状態なので、本来は嬉しいキスなのに、嬉しさも味も特に感じない。

 いて言うなら、喫茶店で飲んでいたアイスティーの香りが、ほのかにするぐらいだ。


「……ふぅ//////」


 俺がこれ以上求めないで、桜坂さんは諦めたのか、俺の中で長く感じたキスの時間が終わる……

 見かけは美少女なのに、同性同士でキスをしてしまった!!

 俺の自我が芽生えてからの、ファーストキスは男の娘だった!!


 キスを終えた桜坂さんは、頬を染めて申し訳なさそうに謝ってきた。


「すいません!/// 颯太さん!!//////」

「私の中で、急に我慢が出来なくなって、求めてしまいました!!//////」


 狭い車内なのに、大きな声で謝る桜坂さん。


(一応、理由を聞いておくか)


 俺は冷静を装って、桜坂さんに話し掛ける。


「まぁ……お互いが、親友関係の一歩先を望んでいたから良いけど、そんなに俺の事気に入ってくれたの?」


「……はい!///」

「今まで、色々な男性に出会って来ましたが、颯太さんが一番良いと感じるか、波長が合う感じがしまして……」


 桜坂さんは頬を染めたままだが、落ち着いた口調で言う。

 この人は本当に、男性を求めていると感じ取って良いのだろう。

 まさか、こんなに事が急に進むなんて、全く予想をしていなかった……

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