第4話 俺が妄想する彼女の姿

 その日は夜も遅かった事から、其処で小説投稿サイトを閉じて、俺は眠りにつく。

 その時は『桜坂さんから返信が来たら良いな!』程度だった。


 ……


 翌日……


 俺はその日のアルバイトを終えて、晩ご飯の食材を買ってから家に戻る。

 普段の家事を済ませ、少し早い晩ご飯を取って、後片付けをしてからノートパソコンを開く。


「桜坂さんから、返信は来ているかな?」


 俺は今日も1人喋りをしながら、小説投稿サイト『エレガントファイト』を開く。

 すると、返信が来て居るのかどうかは分からないが、通知アイコンに通知マークが点灯していた。


「おっ、返信来ているか!」


 俺は早速、通知アイコンをクリックする。

 やっぱり、桜坂さんから返信は来ていた。

 俺は返信内容を読む。


『こんにちは』

『返信、ありがとうございます』


『そうですね……』

『私も、より所を探してみます』


 返信内容は一般的な内容と言えば良いだろう。

 桜坂さんは、俺が成人男性とは知らない筈だ。


「まぁ、こんなもんだよな!」


 何かを期待していた訳では無いが、普通の返信内容だったので、安心したような、がっかりした内容でも有った。


「今日は特にアィディアも沸いて来ないし、良い機会だから、桜坂さんの続きを全て読んでしまうか」


 俺は今日の執筆は止めて、桜坂さんが執筆した、日記形式小説の続きを読む事にした。


 ……

 …

 ・


 桜坂さんが、投稿した所までを全部読み終える。

 読み終えた直後の感想は……


「クラスや親の前では、真面目を振るう少女か……」

「兄妹も居るらしいが、兄妹関係も良いとは言えなさそうだな」


「……どうしましょうね?」


 桜坂さんの日記形式小説には、俺以外にも数人が興味を示しており、物語事にメッセージを送っている人も居る。

 俺は気に成って、その人を見てみると同じ女子学生同士の様だが、文面からして小説投稿サイトで知り合った感じだ。

 ライバルとは言っては行けないが、男子学生も桜坂さんを気にしている感じだ。


「桜坂さんの中では、同じ学生同士のコミュニティが出来上がりつつ有る」

「大の大人が、これ以上関わっては行けないに決まっているが、もう少し桜坂さんの事が知りたいと思ってしまう…」


 俺は悩んでいた。

 メッセージは以前の1回しか送っては居ないが、心の中ではメッセージを送りたがっていた。


「俺も楽しい学校生活とは言えなかったし、兄妹の関係も良好では無い」

「俺も桜坂さんの様に、仮面を被って生活をしていた時が有る」


 そう言った事を加味すると……自然と俺は桜坂さんを求め始めていた。


「思い切って、送ってみるか!」

「前回は表面上のメッセージだったが、今度は少し入り込んだメッセージを……」


 俺はそう思うが、この小説投稿サイトのメッセージはオープン化されているので、誰でも見る事が出来てしまう。

 それに言うまでも無いが、好意のメッセージや、相手を誘い出すメッセージは勿論禁止で有る。

 そんな事をしたら直ぐでは無いが、警告も無しにある日行き成り、俺のアカウントを消されるだろう。


「これは考えて、書かないと行けないな」


 俺はメッセージを、慎重に考えながら打ち込む。


「こんにちは!」

「投稿時点まで、読ませて貰いました」


「私と桜坂さんは、何か似ているような感じがします」

「これからも、読ませて貰います!」


「心に負担を掛けずに、生きていけると良いですね♪」


(こんな感じで良いかな)

(桜坂さんから、どんな返事が来るだろう……)

(良い返事が来ると良いけど……それは、それで良くないか……)


 俺は桜坂さんが学生だと言うのを忘れかけながら、メッセージを送っていた。

 人間、恋は盲目に成る……

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