第5話 次の展開に進んで良いのか?

 翌日……


 俺は何時も通りの時間にノートパソコンを開く。

 昨日のメッセージはどうなったかと思いながら、小説投稿サイト『エレガントファイト』を開く。


「あっ、通知アイコンに通知マークが点灯している!」

「きっと、桜坂さんからだ!!」


 俺は通知アイコンをクリックすると、やはり桜坂さんから返信が来ていた。


『こんにちは』

『お読みいただき、ありがとうございます』

鳥海ちょうかいさん(俺のペンネーム)も、大変な人生を歩んできたのですね(汗)』


『同じ様な悩みを持つ方と出会えて、私は嬉しいです』

『これからも、よろしくお願いします<(_ _)>』


 と、まずまずの感触が良い返信が桜坂さんから来た。


「このサイトは返信の返信機能が無いからな」

「俺も他の人では無いが、これからは桜坂さんが日記形式の小説を更新する度にメッセージを送るか…」


 半分、ストーカー行為の感じもするが、桜坂さんと仲を深めようとしたら、これしか無い。

 俺は自分の作品を宣伝する為に『緑の鳥』(※)と言う、SNSのアカウントを持っているが、この小説投稿サイトのマイページにリンクは張っていない。

 別に張っても良いのだが、自分の作品ばかり宣伝している“緑の鳥”に来る人も居ないだろうし、それに俺の“緑の鳥”は過疎っている。


(※)青い鳥がイラストで居る、SNSサイトの様な所


「俺が下手に誘導する訳には行かないし、それに桜坂さんも、他の小説投稿サイトやSNSを使っている感じがしないのだよな」

「時間を掛けて、仲を深めて行くしか無いからな……」


 俺はこの時、桜坂さくらさんが、学生だと言うのを殆ど忘れていた。

 成人男性が絶対に、未成年とは親友でも関係を持てない事を知らずに……


 ……


 しばらく時が過ぎて……


 俺は細々と小説投稿も続けていたが、同時に桜坂さんの更新チェックやメッセージを送るのも続けていた。

 俺も積極的にメッセージを送るし、桜坂さんも俺の事が慣れて来たのか、形式的な文章から、日常会話に近いメッセージに代わりつつ有った。


「順調、順調!」

「文章からして、桜坂さんはきっと優しい人に違いない!」

「クラスで浮いてしまうのも、真面目を演技しなくては行けないも、それだけ真面目な性格なんだろう」


「苛めに近い行為を受けているのだから……きっと、美少女なんだろうな!」

「オープンのメッセージでは無く、2人だけのメッセージのやり取りをしたいし、それに会ってみたいな!」

「どんな人なんだろう! 桜坂さん!!」


 俺は日増しに、桜坂さんを想う様に成っていった。

 顔も姿も分からない人を、自分好みに勝手にカスタマイズして、理想の桜坂さくらさんを作っていた……


「でも、叶う事は無いだろうな」

「向こうが乗り気になれば、別だけど……」


 そんな風に呟いた俺だが、ある日行き成り転機がやってきた。

 緑の鳥に、ダイレクトメッセージが届いたのだ。


「誰だろ……」

「また、エロ系か……」


 俺はそう思いながら、緑の鳥のダイレクトメッセージを開くと、何と相手は桜坂さんからだった!?


『こんにちは♪』

『鳥海さん、緑の鳥を利用していたのですね!』


『私もアカウント作りました!』

『こちらの方も、よろしくお願いします<(_ _)>』


「えっ、本当マジ♪」


 俺は思わず、声を出してしまう。

 何と、桜坂さん自らが、緑の鳥アカウントを作って、更にダイレクトメッセージを送って来てくれた!


「まさか……こんな展開が起きるなんて!」

「良かった。ダイレクトメッセージ通知機能を、停止しておかなくて!!」


「これはいよいよ、次の展開に進展か!!」

「『小説投稿サイトで知り合った美少女とイチャイチャラブ物語』に発展か!!」


 俺は意味不明な事を言いながら、この時の俺は凄く浮かれていた。

 俺は桜坂さんが学生だと知っているが、桜坂さんは俺の本当の正体を知らない。

 そんな事を知らずに……

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