第44話 三人でのお食事会 その1

「さくら!」

「絶対、途中で足がしびれるから、崩して座った方が良いよ!!」

「その方が、ご飯も美味しく食べられるし!!」


 俺は和やかな表情で、さくらに声を掛ける。


「……颯太さんがそう、おっしゃってくださるなら、崩します//////」


 さくらは恥ずかし嬉しい表情をしながら、正座から崩した!

 朱里さんの言葉を中々、聞かなかったさくらだが、俺の言葉を直ぐに聞き入れた。

 それを見ていた朱里さんは……


「さっきまで、別れる雰囲気満々だったカップルが、今ではバカップル化しているね♪」

「あなた達、本当に良いカップルに成れるわよ♪」


 そう、笑顔で言ってくれる朱里さん!

 俺の中でも……さくらを見る、形が少しずつ変わり始めていた……


「はい。朱里ちゃん!」

「お茶とおしぼりね!!」


 先ほどのおばちゃんが座敷にやって来て、冷たい麦茶とおしぼりを配膳をする。

 その時に、俺の方を『チラリ』とおばちゃんは見るが、特に何も言わずに朱里さんの方に顔を向ける。


「決まったら、呼んでね。朱里ちゃん!」


 おばちゃんは穏やか表情で朱里さんに言い、店の厨房に戻っていった。


「さて、話をする前に、注文をしましょうか♪」


「私はもう決めて有るから、二人仲良く食べたいのを選んでね♪」

「約束通りご馳走するから、好きな物を頼んでね♪」


 朱里さんは笑顔で、俺達に向けて話しながらメニュー表を手に取って、俺達が見やすいようにメニューを更に広げてくれる!

 お食事処だけ有って、和食メニューが中心で有った。


 うどん・そばから始まり、カレーライス、カツ丼などの丼物。

 洋食は一部だが、エビフライ定食なども有る。これは悩みそうだ……


「俺は何しようかな?」


 俺はメニューを見ながら呟くと、さくらが声を掛けてくる。


「颯太さん!」

「ほなみさんは、カツ丼が美味しいですよ!!」

「ほなみさんのカツ丼は卵がトロトロですし、大盛りも出来ますよ♪」


 さくらは、和やかな表情でカツ丼を勧めてきた。

 俺もカツ丼は好きで有るが、どうしようかな?


「ちなみにさくらは、何を食べるの?」


 俺はさくらが食べる物が、気に成ったので聞いてみる。


「私ですか!」

「私は、このページに有る、ミックスフライ定食にしようかなと思います!」


 和やかな表情で言う、さくら。

 このお食事処は、エビフライ定食の他に、ミックスフライ定食もメニューに有るそうだ。

 残念ながら、ミックスフライ定食の写真掲載が無いから、どんなミックスフライ定食かは分からない……


「ミックスフライ定食も良いけど、写真が無いから分からないね……」


 俺がそう呟くと、朱里さんがそれに気付き、俺の方に顔を向けて話し始める。


「颯太さん!」

「此処のミックスフライ定食は、定番のエビフライ・白身のフライ・メンチカツよ!」

「私も、さくらちゃんと同じミックスフライ定食よ♪」


 朱里さんは和やかな表情で、ミックスフライの内容を教えてくれた。

 調理の関係上、みんなで同じ物を頼むのも一つの手だが……


「あっ、ありがとうございます。朱里さん!」


「いえ、いえ♪」


 微笑みながら、言葉を返す朱里さん。

 ミックスフライ定食とカツ丼。どちらにしようかと迷ってしまう!


(ミックスフライ定食も捨てがたいが……やっぱり、さくらが勧めてきたカツ丼にするべきか!)

(その方が、さくらは好印象に受け止めるよな!!)


「じゃあ、俺はカツ丼大盛りにしようかな!!」

「さくらが勧めてくれたし!!」


「わっ!♪」

「私のお勧めを聞いてくれて、嬉しいです。颯太さん!♪」


 俺の予想通り、眩しい笑顔を見せるさくら!!

 性別を無視すれば、本当に胸がときめく美少女笑顔だ!!


「じゃあ、それで、注文するね!」

「すいませーん!」


 朱里さんは店のおばちゃんを呼んで、料理の注文をする。

 朱里さんとさくらは、ミックスフライ定食。

 俺はカツ丼大盛りで有る。


 それをおばちゃんは、昔ながらの伝票に注文を書き込んでいく。


「ミックスフライ定食二つに、カツ丼大盛り一つね!」

「……朱里ちゃん! 飲み物はどうする?」


「あ~~、飲み物ね~~♪」


 そう言うと朱里さんは、ドリンクメニューを手に取って見始めた!

 朱里さんは何か、飲みたい飲み物でも有るのだろうか……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る