第45話 三人でのお食事会 その2

「颯太さんとさくらちゃんの恋人成立記念だから、みんなビールで乾杯もしたいけど、颯太さんは車だし、さくらちゃんは高校生だから、もちろんダメだけど……」


 朱里さんは独り言を言いながら、ドリンクメニューを見ている。

 しばらく、ドリンクメニューとにらめっこをしていたが朱里さんだが、ドリンクメニューから、俺の方を見ながら顔を上げる。


「颯太さんは、お酒飲める方?♪」


 俺が車でここに来た事を朱里さんは知っているのに、俺が酒を飲める事を聞いていた!?

 今の時代……流石に、飲酒運転は絶対に不味い!!


「あっ、朱里さん!(汗)」

「俺は今日……車で来ていますので、お酒は不味いです//////」


 俺は朱里さんからの誘いをもちろん断るが、朱里さんは和やかな表情を崩さず、話を続ける。


「颯太さん!」

「流石に、運転者にお酒は勧めないわよ!!」


「けど、颯太さんがお酒が飲めるなら、ノンアルコールビールで乾杯をしようと思ったのよ!!」

「……私は、本物飲むけど///!」


 笑顔で言い、最後は舌を『ペロッ』と出す、朱里さん!!

 その笑顔もまた可愛い!!

 さくらが居なければ、その舌を吸い付きたいぐらいの衝動に駆られた!!


「あっ、ノンアルコールビールですか!//////」

「俺はそれで大丈夫ですか……朱里さん不味く有りませんか!?」


 不味いとは、飲酒運転の意味で有る。

 幾ら近所とはいえ、飲酒運転は絶対駄目の時代で有る。


「あ~~、大丈夫よ。颯太さん!!」

「今晩、車はここに停めさせて貰うから♪」


「おじさん~~、今晩停めるね~~」

「明日の昼間に取りに来るから~~♪」


 朱里さんは厨房に居る、男性に大声を掛けている。


「おう、構わんぜ! 朱里ちゃん!!」

「その方が、売上上がるからな!!」


 すると、野太い声が朱里さんに向けて却ってきた!

 朱里さん。この“ほなみ”の人とやけに親しい関係なんだな!


「じゃあ、おばちゃん!」

「生ビール中一つ、ノンアルコールビールは一本!」

「さくらちゃんは、ノンアルコールビールでも一応ダメだから何にする?」


「私は……コーラでは無く……、ジンジャーエールって有りましたっけ?」


 朱里さん元気な問いに対し、さくらは穏やか表情で返事をしている。


「ジンジャーエールは……うん、有るよ!」

「じゃあ、ジンジャーエールで良いね。さくらちゃん!」


「はい。それで、お願いします!!」


 普通のお食事処の割には、ソフトドリンクも充実しているようだ。

 ジンジャーエールの言葉なんて久しぶりに聞いた……


「じゃあ、おばちゃん!」

「さくらちゃんは、ジンジャーエールで!!」


「はい、はい……じゃあ、ドリンク類は直ぐに用意するね!!」

「朱里ちゃん!!」


 店のおばちゃんは伝票に書き込んで、厨房の方に一旦戻って行った。

 朱里さんは俺の方に顔を向けて、微笑みながら話し始める。


「本当は……颯太さんとお酒をわしたかったけど、そうすると家に泊めるしか無くなるし、そう成ると、さくらちゃんが怒るからね♪」


 朱里さんは冗談だと思うが、“さらり”とびっくり発言をする!!

 俺は思わずさくらの方を見ると、さくらは苦笑いをしていた。


「そっ、それは……どうもです//////」


 俺は恥ずかしそうに返事をした。


(……朱里さんも、俺に気が有るのか…///)

(年も近いはずだし、朱里さんは正真正銘の女性だろう!?)

(俺も将来性を考えるなら……朱里さんを意識するべきだが……)


『グィ!』


 俺はそう思いながら、朱里さんを見ていると……さくらが、俺の服を急に引っ張ってきた!!

 言うまでも無いが、俺の真横はさくらが座っており、向かいの真ん中部分に朱里さんが座っている。

 俺の耳元に近付き、さくらは耳打ちをしてきた。


「……朱里さんは、私の大切な親友です!」

「朱里さんは大らかな性格ですが、朱里さんの言葉をに受けないでください……」


 さくらは眉をひそめながら、俺に言って来た!

 さくら目線にも、俺が朱里さんに興味が有ると感じたのだろう……


 そして、問題発言した朱里さんは頬杖をつきながら、面白そうに俺とさくらを見ている!?

 俺は朱里さんにもてあそばれて、さくらには嫉妬心を持たれていた!!

 俺はどう対応するべきか……

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