第51話 連絡先交換

(あっ、でも、連絡先だけは後で教えて貰おう!)

(さくらと何か有った時と……簡単に朱里さんに好意を伝えられる様に!)


 二兎追うつもりは無いが、朱里さんも俺の中では超美人の女性だ!

 さくらと関係が進展出来ても、越えられない壁が有るし、朱里さんだって俺に気が有るなら、親友以上の仲を深めた方が良い!?


「そうですね、朱里さん!」

「余り遅くなりますと、さくらの家族も心配するでしょうし、この辺が潮時ですね!」


 俺は朱里さんに向けてそう言う。


「少し寂しいですが……時間的に、そろそろですね///」


 さくらは名残惜しそうに言う……

 まだ、俺との時間は残っているのに……


「じゃあ、店を出ましょう!」

「約束通り、今日は二人に奢るわ!!」


 朱里さんは陽気な笑顔で言いながら席を立つ。


「ごちそうさまです。朱里さん!!」


「何時もすいません//////」


 俺は『ごちそうさま』と言うが、さくらは『すいません』と言う。

 さくらは朱里さんに、毎回ご馳走して貰っているのかな?


(さくらは学生だから、仕方は無いか……)

(次回からは朱里さんでは無く、俺がさくらの分を持たないと男が立たないな!?)


 俺とさくらもお礼の言葉の後、席を立ち、店の出入り口に向かう。

 店を先に出るのは不味い気がしたので、朱里さんが会計を終るまでは、俺とさくらは店の出入り口付近で待つ。


「また、来てね。朱里ちゃん!!」


「はい。また来ます。おばちゃん!!」


 朱里さんが店のおばちゃんと話しながら、お会計を済ましたので、俺達三人は店を出て、お店の駐車場に向かう。

 朱里さんは生ビール中を二杯飲んだが、酔っている感じはしなかった。

 結構飲める人かも知れない……


「じゃあ、颯太さん!」

「安全運転で、さくらちゃんを送り届けてね♪」


 お店の駐車場で、朱里さんと別れの時間がやって来た。

 和やかな表情で言う朱里さん。

 此処の駐車場は立派なLED照明が付いていて、駐車場の真ん中でもみんなの顔や仕草がはっきりと分かる。


「はい!」

「安全運転でさくらを送り届けます!!」


「……後、その、えっと……朱里さんの、連絡先を教えて貰っても良いですか?///」


「んっ! 私の連絡先知りたいの?」

「颯太さん……」


 和やかな表情で有った、朱里さんの表情が真面目な表情に変わる!

 でも、俺はめげずに言う!


「はい……。出来れば教えて欲しいなと…!///」

「さくらと万が一が有った時、唯一の知り合いは朱里さんだけですから//////」


 俺は恥ずかしながら朱里さんに言う。

 すると朱里さんは『成る程…!』の表情に変わり、何かを考える動作を始める。


「あ~~、確かにね…」

「あなた達が喧嘩をしない保証は無いし、遠距離恋愛だから連絡が付きにくい場合も有る……」

「さくらちゃんが居ない時に言われたら絶対断るけど、さくらちゃんが居る目の前で言った……どうしようね?」


 朱里さんは俺を用心しているのか、独り言を呟いていて、素直に教える気配が見えない!?

 独り言が終ったと思ったら、朱里さんはさくらに話し掛ける。


「さくらちゃん」

「颯太さんに私の連絡先と言っても、Railだけど教えても良い?」

「さくらちゃんがOKなら、颯太さんに教える」


 朱里さんは予防線を張ってから、俺に教える気らしい。

 さくらはどう返事をするのだ?


「そうですね~~」

「颯太さんを信用したいですが……私を当て馬にしている気もします!」

「しかし、私は学生ですから、まだ色々と制約が有ります///」


 悩んだ表情で朱里さんに話しているさくら。

 さくらも俺のことを完全には、信用していないようだ。


「けど、仕方有りませんか…!」

「良いですよ、朱里さん。颯太さんに連絡先を教えても…」


 さくらは『仕方無し』の表情と口調で言う。


「さくらちゃん、許してくれるのね!」

「じゃあ、颯太さんに教えるわ!!」


 さくらと対照的に嬉しそうな声を上げる朱里さん!?

 やっぱり、俺に気が有るのか!?


「颯太さん!」

「さくらちゃんから了解が貰えたから、Railに親友追加をしましょう♪」


「はい///」


 俺と朱里さんはお互い、Railに親友追加をする。

 Railだが、朱里さんの連絡先を知ることが出来た!!

 これで万が一さくらを失っても、俺には朱里さんが居る!?

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