第61話 さくらの心情 その2

 私は助手席のドアを開けながら、母親に声を掛ける。


「迎えに来てくれて、ありがとう!」

「お母さん!!」


「……たっく!」


 私は和やかな表情で母親に挨拶をしたのに、母親はぶっきらぼうに返事をする。

 私は助手席のドアを閉めて、シートベルトを締める。

 私がその動作を終えると、母親は車を発進させながら、私に言って来る。


「……さくら」

「門限は22時だけど、その場所で迎えに来させる時間では無いからね!」


 母親は嫌みを含めて私に言う。


「ごめん、お母さん!//////」

「朱里さんと話していたらつい、遅く成ってしまって!!//////」


 私は母親に素直に謝る。


「……あなたの事を家族以外で、唯一理解してくれる人らしいから、さくらが仲良くしたがるのも分かるけど、門限だけはきちんと守りなさい!」

「あなたの姿形だけは……本当の女の子なのだから…」


 母親は少し心配そうな口調で言う。

 過去には衝突した両親だが、今では私がこの格好をする存在を認め、多少の支援はしてくれている。

 お小遣いだけで言えば、私は兄の倍近く貰っている。


 私の兄妹はそれが気に入らないのか、未だに仲は非常に良くはないけど、両親との関係は悪いとは言い切れない……

 その後、母親は特に小言を言う事は無く、母親が運転する車は私の家に向かって走って行った……


 ……


 家に帰った私は、お風呂が開いていたので、入浴を済ましから自室に戻る。

 お風呂に入る時は、もちろん女性では無く男性の姿形でお風呂に入り、ここからは男性のさくらで過ごす。服装もパジャマ姿だ。

 私が自室の部屋に戻った時。壁に掛けてある時計を見たら、22時45分ぐらいで有った。


(颯太さんは……今頃、家に向けて走っているのだよね!)

(そうすると……メッセージを送っても、直ぐには返信をくれないよな…)


(けど、ずっと運転している訳では無いし、幾ら何でも無休憩で家には帰らないよね?)

(よし! メッセージだけは送っておこう!!)


 私はそう考えを纏め、颯太さんにRailメッセージを送る。

 今日のお礼と、今の私の状況と、颯太さんが無事に帰る事を願うメッセージを入力して送る。


(今日中に連絡が来れば良いな!)


 私はそう思いながら、一度Railアプリを閉じて、雑用と言うほどでは無いが雑用をする。

 ウィッグの手入れをしたり、お肌の手入れなどをする。

 今はロングヘアーのウィッグだが、颯太さんが別の髪型を求めた場合、その辺の事をどうしようかなと考えながら雑用をしていく……


『♪~~』


 雑用も終えて、そろそろ就寝を考え始めた頃。

 Railの通知音が鳴る。

 私は朱里さんか颯太さんの、どちらかなと思いながらスマートフォンを操作する。


「あっ、颯太さんからだ!!」


 颯太さんからの返信で、私は思わず弾んだ声を上げてしまう♪


『さくら、メッセージありがとう(*’-‘*)』

『今は、県境手前のPAで休憩している!』


『遠距離恋愛に成るから気軽には逢えないけど、その分メッセージはたくさんしようね♪』

『愛しているよ。さくら❤』

『自宅に着いたら、また連絡するよ!!』


 颯太さんから、愛を感じるメッセージが表示される!


「県境手前のPAと書いて有るから、今は高速道路の休憩所で休憩しているかな?」

「もぅ、颯太さんたら!//////」

「『愛しているよ。さくら❤』まで、書いてくれちゃって❤」


 私はその言葉で、私の生殖器が思わず反応を示す!!


「もぅ……また、感じて来ちゃった!//////」


 私は先ほど、颯太さんの車内でして貰った事を思い出す……

 私の生殖器を、私以外の人に触らせたのは颯太さんだけだ。


「これは……でも、返信が先だよね!」


 私は本能が求める行為の前に、颯太さんへの返信だけは済ませておこうと思った。

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