第74話 大丈夫なの?

「……さくらが朱里さんのお店でアルバイトをする事が大賛成だよ!」

「でも、この喫茶店(ひなた)はちゃんとた制服が有るのに、どうしてさくらはセーラー服が喫茶店制服に成るの!?」

「これでは……喫茶『ひなた』が、“いかがわし”お店と勘違いされるよ!//////」


 冗談抜き今の時代……

 夜の世界のお店や、18禁サービスをする店を除いて、セーラー服を着用させて接客させる店など、とある喫茶店を除いて無いはずだ!!


「颯太さん!」

「これにも、ちゃんと理由が有るのですよ!!」


 さくらのセーラー服姿に否定的発言をしたが、さくらは微笑みながら言う!?


「理由……?」

「それはどんな理由。さくら?」


「では、颯太さん。説明しますね♪」

「この地域は余り知られていませんが、造船業が盛んな町です!」

「大手企業の造船所も有り、神戸や長崎と比べれば見劣りしますが、造船が盛んな町です!!」


「そして、昔の水兵さん達はセーラー服を着ていました!!」

「元々は男性が着ていましたが、この国では女性でも特に、学生さんが中心に着るように変わって行きました!!」


「私は見た目は女性、中身は男性ですけど、男性がセーラー服を着ても何も問題は有りません!!」

「それにセーラー服を着用して、喫茶店の接客をしては駄目との、ルールは決まっていないはずです!!」


「……」


 さくらは力強い口調で俺を納得、説得させる!?

 こんな勢い有るさくらを初めて見る。これでは、言い返しようが無い。

 だが言葉的に……、さくらが望んで着たようにも聞こえてしまう!?


「……何か、理解出来たような出来ない気もするが……それは、さくらが朱里さんに提案したのか?」

「『私はセーラー服を着て、接客をしたい♪』とでも?」


 俺は尋ねるように、さくらに聞くが……


「いえ、私からは提案していません!」

「私がこの格好をしているのは、颯太さんを驚かす目的も有りましたが、朱里さんが『どうせ、現役高校生に手伝って貰うなら、雰囲気も出した方が良いよね♪』に成りまして!!」


 さくらは自分のセーラー服姿に対して、嫌がる素振りを一つも見せずに、陽気な表情で喋る。


「はぁ~~」

「やっぱり、朱里さん絡みか……」


「けど、さくら!」

「他のアルバイトさん達も、そのセーラー服姿で接客しているの??」


 俺はこの喫茶店の中身(状況)を全く知らない。

 前回初めて来た時。店内で姿を見掛けたのは朱里さんだけだし、今回も雰囲気的に店内に居るのは、朱里さんとさくらだけだろう?

 普段の平日ランチタイム時を、朱里さん一人だけで廻せる訳は無いと思うし、何処の喫茶店でも、二人及び数人のスタッフは必ずいる。


「この喫茶店のスタッフは現在、朱里さんと中年女性のパートさんと私の三人だけです!」

「朱里さんも華が有る方ですけど、朱里さんの中では私に看板娘を求めて、私にこの様な格好をさせました♪」


 それを微笑みながら言う、さくら……


「そりゃあ、さくらは絶対、看板娘には成るけど大丈夫かな…?」


 今の時代は色々とうるさい時代だ。

 セーラー服で接客させるのが絶対駄目では無いが、いやしい人間は良い事でも悪く見る風潮が有る!?

 さくらが幾ら性別上では男性でも、見た目は完全女性だ!


「大事に成らないと良いね……。みんながみんな、善人では無いから……」


 俺が少し真面目な表情をして、さくらに言っていると朱里さんが、トレーに料理を乗せてやって来るが、同時に俺とさくらの会話に割り込む。


「大丈夫よ。颯太さん!!」

「店内が静かだから二人の会話が筒抜けだったけど、その格好は期間限定だから♪」


 朱里さんは悪戯っぽい笑顔で言う!?

 朱里さんは料理が乗ったトレーを、テーブルに一度置いてから再度話し始める。


「さくらちゃんがさっき言っていたと思うけど、さくらちゃんにセーラー服を着させた一番の目的は颯太さんを驚かす事と、さくらちゃんをこのお店の看板娘にしたかったの♪」

「さくらちゃんのお陰でご新規さんも大分増えたし、新たな常連が出来たわ!」


「けど、颯太さんの言う通り、ずっとこの格好でさせるのは不味いと私も思っている!!」


 朱里さんもそう感じ取るなら、俺を驚かすだけで止めとけば良いのに思いながら、俺は朱里さんの話を聞いていた……

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