第71話 またまた、びっくり仰天!!

 朱里さんが店に戻って、10分位経った頃だろうか?

 喫茶店の出入り口が開き、一組のお客さんが店を出て行く。


「……後、一組か」


 俺は車内でエアコンを起動させながら、その様子を眺めていた。

 もちろん、エンジンは掛けて有る。


「しかし朱里さんと言い、さくらと言い、何を企んでいるのだろうな?」

「けど、朱里さんの言葉的に……さくらは、店内にいる口ぶりだったな!!」


「そうなると……喫茶店の厨房でさくらが、俺の為に料理を作っているのか?」

「それしか、考えられないよな。さくらの手料理だから、当然喫茶店のメニューには無い!」

「その関係で、お客さんが居る間は特別メニューを出せないから、待機の流れに成ると……」


 俺はそう予測をして、朱里さんからの連絡が来るのを待った……


 ☆


 最後の一組のお客さんはかなり粘ってくれて、そのお客さんが出て来た時刻は14時25分で有った!!


「粘りすぎだろ……あの客!!」


 喫茶店出入り口から出て来た、お客さんを俺は見ている。


「比較的若い男性か……」

「朱里さんが美人だから、朱里さん目当てか!?」

「もしかして閉店間近を幸いに、朱里さんにナンパでも、していたのでは無いだろうな!?」


「けど……朱里さんは可愛い顔の割に、言うことはさくら以上に“はっきり”と言うからな!!」

「朱里さんだって、俺に気が有る筈(?)だから、ぽっと出の男に心が揺さぶられる事は無いだろう!?」


 俺はそんな事を車内で一人喋りしながら、さっきの男が乗った車が、喫茶店駐車場から出て行くのを見送る。


 ……


 最後のお客さんが出て行ってから、約5分後……


『♪~~』


 スマートフォンにRailの通知音が鳴る!


「やっと、来たか!!」


 俺はそう呟きながら、スマートフォンを操作して、朱里さんからだと思われるメッセージを開く。


「お待たせ、颯太さん!!」

「普通に表のドアから店内に入ってきてね♪」


「普通に店内か……」

「店内に入ったら……さくらと朱里さんから、クラッカーでの歓迎が待っているか!!」


 これだけ待たされたのだし、朱里さんは雰囲気的に、サプライズ系が好きな女性と俺は見た!!

 何処かのゲームのようにドアを開けたら、人食い化け猫と出くわす設定では無いはずだ!?

 俺は車のエンジンを切って、車外に出る。


「うっ、暑いな……」


 この時間帯は、日差しが一番厳しい時間帯。

 俺はそう呟きながら、車の施錠をして、朱里さんが経営する喫茶店『ひなた』の出入り口に向かう。


『チリーン、チリーン♪』


 俺は“ひなた”のドアを開くと、ドアに付いている呼び鈴が鳴りながら開くが……


「……あれ?」


 俺はてっきり、朱里さんやさくらに依る、クラッカー歓迎を受けるばかりだと思っていたが、出入り口ドア付近には誰も居ないし、店内にも朱里さんやさくらの姿も見えない!?


「……厨房で二人共、作業でもしているのかな?」


 俺はドアを閉めて、しばらく待ちぼうけをするが……誰も出て来る気配は無い!?


「朱里さん~~。颯太で~す!」


 俺は二人が、何かの作業に夢中に成っていると思い、厨房の方に声を掛けると、厨房の方からセーラー服姿と、頭部にバンダナを巻いた女性が厨房から姿を見せる!?

 セーラー服の上には、可愛らしいデザインエプロンを着けていた!!


「あっ、やっと、気付いてくれたか…!」

「……んっ、何故。この店でセーラー服を来た女性が出て来る!?」

「まさか……朱里さんの妹!?」


 頭部にバンダナを巻いた、白地の黒襟二本白線入り、夏服セーラー姿の上にエプロンを付けた女性がこちらに近付いて来た時、俺は大仰天した!!

 そしてセーラー服の胸元は、赤色の紐でリボン形が作られている!!


「えっ……うそ!!」

「どうして……そんな姿をしているの!?」


 朱里さん……サプライズ過ぎるよ!!

 二人揃って……お茶目すぎるよ!!//////

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