男の娘を好き成っても良いですか?
小春かぜね
第1話 物語の始まり
この物語はフィクションです。
設定、登場する人物、団体及び名称は一切関係有りません。
……
俺は芽が出ない小説家だ……
別に子どもの頃から、小説家を目指していた訳では無い。
作文を書くのも、どちらかと言うと苦手だった。
俺が小説と言うか、文章に興味を持ち始めたのは、俗言うラノベゲームからだ。
イラストと文章を組み合わせながら、物語が進展していく。
恋愛ノベルやサスペンスノベルなど、本を読むよりテレビを見る感覚で読む事が出来て、見せ場のシーンは画面全体にイラストが表示されて、見所や進展を楽しめる。
難しいコントローラ操作も無く、有る一定のボタンだけを押していけば、物語は進み結末を迎える。
飽きた時はスキップボタンを押せば、一気に結末が知る事が出来るから、コンプリートも簡単だ。
俺が好んでやっていたラノベゲームは恋愛物が中心で有り、可愛い女の子が出て来るゲームが中心だった。
架空の学園世界や日常世界で、自分がその主人公目線でゲームを進めていく。
気に成った女の子のグラフィック(イラスト)を見る為に良くやった物だ。
1本当たりの値段も決して安くは無かったが、あの頃が懐かしい……
その影響を受けてか、俺も何時かはオリジナル物語(小説)を作りたいと思う様に成って行き、頭の中で『もし、あの時……』を考える様に成った。
そして、ついに構想が纏まった時、俺は思い切って小説家デビューを果たすが……結果は惨敗で有る。
俺は日常をテーマにした、恋愛・ラブコメ小説を執筆してと言うか、キーボードで打ち込んで投稿してみた物の……、晴れ晴れしい功績を飾る事は無かった。
現実は非常に厳しくて、世の中は甘くなかった……
……
「この新作も駄目か……」
「この伸びでは、これ以上の展開は止めた方が良いな」
俺は自室で、小説投稿サイト『エレガントファイト』のマイページを見ながら俺は呟く。
俺がこの小説投稿サイトに投稿をし始めてから、1年以上の時が経つが……
「動画投稿サイトで人気の有る題材を、俺なりにアレンジしたのにな…」
今居る場所は俺1人だが、1人喋りをしている。
元々、1人喋りをする体質だったが、小説を書く様に成ってから更に酷くなった。
「みんなが求めているのは異世界物や少女を主人公にした物語。悪徳令嬢などのレディースコミック向けの内容ばかりだからな」
「少女物は俺も好きだが、俺が書くのと求められて居るのは違うのだよな…」
俺はそのシリーズを書きたいとは思わないし、積極的に読みたいとも思わなかった。(少女物は除く)
食わず嫌いでは無く、馬が合わないと言った方が良いかな。
実際、数ページ読んでも、それ以上読みたいとは感じない。
「もう、小説やめようかな…」
「初めの頃は収益や印税で、夢の生活とは思っていたけど、現実は1話投稿しても、0~5円のレベルだし、酷い時は0円だからな……」
小説投稿サイトで大人気を得て、運営者のお眼鏡にかかった、その小説が出版化されて、良い思いをしている作家さんは実際居るだろうが、みんながみんな、そうなれる訳では無い。俺の様なド底辺の作家も多いだろう……
「頑張ってと言うか、閃きに任せに書いているラブコメが、唯一俺の中でのヒット作品に成るが、それでもやっと3万PV(アクセス)だし、最近は特に伸びが悪いからな……」
ラノベゲームらしい小説をと考えて、執筆している小説が有るが、複雑な設定にしてしまった為、ラブコメらしさはもはや無く、日常物語と言うより経過物語に成っていた。
けど、唯一の稼ぎ頭(!?)なので、それを止める訳には行かない。
更新を止めると読者(PV)も一緒に止まるからだ!
俺の作品を探して、態々読んでくれる人は居ないのだ。
俺が執筆している小説は、実質ボランティア状態だ。
頭を使い、時間を使い、目と腕を疲れさせながら小説を執筆しているが、今までその努力が殆ど報われた事が無い。
「心に思ったや感じた事を書いて、それを短編集に纏めているが、それも一定の人しか読んで貰えてないしな……」
『心のデッドヒート』と言うタイトルで、感じた事や思った事を書いている短編集が有るが、そんな短編集を読む人は当然少ない……
小説投稿サイトに来る人のメインは、中高生などの学生が中心で有り、家族物や心の訴えを読む人は当然少ない。
「これも、何だかんだで60話まで書いたけど、よう、此処まで書けたな!」
俺はそう思いながら『心のデッドヒート』のPV(アクセス)数を確認する為、詳細を見る。
普段は0~2位のPV数だが、今日は一気に増えていた!!
「……誰かが、この駄文を読んでくれたのか…」
「嬉しい事だが、このPVは一過性だからな!」
「ランキングに入っても、PVは全く伸びないからな」
「んっ…」
そう思いながら『心のデッドヒート』の詳細を眺めていると、マイページ上部に有る、通知アイコンに通知マークが付いたのに気付く!
「誰かさんが、俺の作品に評価やブックマークでも付けてくれたのかな?」
それが、俺の今後の人生を変える始まりだった……
良い意味でも、悪い意味でも……
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