第2話 Web上での出会い
俺は早速、通知ボタンをマウスでクリックさせる。
俺が小説投稿サイト『エレガントファイト』を閲覧しているのは、ノートパソコンだからで有る。
「桜坂さくらさんが『心のデッドヒート』をブックマークしてくれたのか…」
「ふーん…」
「こんな過疎作品を
「まぁ、この作品は有志のイベントに参加しているので、多分其処から来た人だろう」
桜坂さんのブックマークだけで終わると思っていたら、その人は直ぐに『心のデッドヒート』に高評価をくれた!
「この人……余程気に入ったのかな?」
「でも、高評価は嬉しいな♪」
ブックマークだけなら確認をしてお仕舞いで有るが、高評価を貰ったのでお礼代わりに、桜坂さくらさんの紹介ページを開く。
ペンネームからして読むのが専門の人では無く、何かの作品を投稿している筈だ。
「桜坂さんは学生なのか……」
「まぁ、学生ですと言えば食い付きが良いしな。本物かどうかは分からんが……」
桜坂さんの紹介ページに一通り目を通した後、お礼の為に桜坂さんの小説を1本読んでみる事にした。
「この人は異世界物やラブコメでは無く、現代文学よりの小説を書く人か……」
「まぁ、そうで無ければ『心のデッドヒート』なんぞ、ブックマークしないわな…」
「アレは半分、愚痴や願望を書いているような物だから」
「おっ、丁度、手頃な1話完結作品が有る。これを読んでみよう」
……
…
・
「う~む」
「学生らしい物語と言うか、純粋な物語と言うか、悪くないね!」
先ほど読んだ小説は、少女と猫をテーマにした短編で有り、少女はとある場所に居る猫に日常生活の悩みを話し、猫はそれを慰めると言う簡潔な内容で有ったが、オチがしっかりしていて、感動で終わるように構成されていた。
「うん! 良い作品だ!!」
「俺の作品(心のデッドヒート)を高評価とブックマークしてくれた人だし、俺からも高評価を付けておこう!」
先ほど読んだ小説に、俺は高評価を付けた。
お世辞では無く、短編ながらでも良い作品だと感じたからだ。
「さてと……明日も、仕事が有るし寝るか…」
俺はこの時、桜坂さんを変わった人だなの目線で見ていた。
(『心のデッドヒート』なんて、学生さんが読んで面白い内容や感激する内容でも無い)
(でも、高評価やブックマークをしてくれたら嬉しい)
「もう、小説止めようかなと思っていたけど、評価を貰えたしもう少し頑張るか…」
「さて、寝よ!」
俺は独り言を言って、その日は眠りについた……
……
しばらく時が過ぎて……
俺は細々と小説投稿を続けているが、相変わらず低空飛行だ。
昼間は仕事(アルバイト)をしているので、積極的な小説投稿はしていない。
けど、2~3日の間隔は開けずに、何かしらの物語は投稿していた。
俺のご自慢作品に当たるラブコメ小説は、ブックマークが僅かに増えつつも、高評価を貰えたり、作品レビューされる事は無い。されたのは1回だけで有る。
作品がブックマークをされている以上、固定PVが入って来てもおかしくは無いのだが、新しい物語を投稿しても、ブックマーク以上のPVが増える日は本当に少ない。
「他の作品に至っては、低空飛行どころか墜落しているよ……」
「俺の中で一番気に入っている、家族をテーマにした小説なんて、誰も読んでくれない…」
需要と供給に見合っていない作品だと途中で理解したが、一応最後まで完結させた。
俺の中では面白いと感じて居たし、続けていれば誰かの目に留まると思っていたからだ。
でも、大きな人気どころか、ひっそりと完結してしまった。
「心のデッドヒートも物語を投稿すれば、応援するの意味で有る、
「それに以前、☆を付けて読んでくれていた人も、途中から読まなく成っているし……」
『心のデッドヒート』に新規物語を投稿してから数日以内読んで、☆を付けてくれれている人は『心のデッドヒート』の新規投稿時からの人と、桜坂さくらさん位で有った。
「この人……今回も読んでくれたよ!」
「読んでくれるのは嬉しいけど、不思議な人だな」
「桜坂さんがブックマークしているから、新着情報も行くしな……」
「この作品を読むと言う事は、桜坂さんも悩み多い人なのだろうか?」
この日は小説を執筆する気は無かったので、俺は再び、桜坂さんの紹介ページを開いた……
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