第80話 ランチタイム後 その3

(今日のさくらの姿は……この前とは同じでは無い…!)

(この辺は流石、女性を演じているな!!)


 今日のさくら私服姿は、ネイビー色系のサマーニットに、チュールスカートと言う半透明に近いロングスカートを穿いていた。

 頭部は前回と同じようにカチューシャを付けている。

 クリーム色系のカチューシャだ。


 そして、前回は付けていなかった、控えめなデザインペンダントを今日は首に下げていた。

 前回が少女をイメージした服装だとしたら、今回は大人の女性をイメージさせつつも、幼さを残していると言えば良いのだろうか?


 ちなみに俺の格好は、普通の綿パンにTシャツで有る。

 真夏の時期だからジャケットを羽織る気には起きなかったし、さくらも俺の格好に文句を全く付けなかったので、今回は前回よりオシャレ度は低い……


「……うん!」

「今日の姿も可愛いと言うよりかは、大人っぽい感じがするね!!」


 俺は素直に思ったことをさくらに言う。

 その言葉に対し、さくらは嬉しそうに言う。


「はい!」

「今回は颯太さんの言うように、少し大人の女性に近付けて見ました♪」

「颯太さんは私より、年上の男性ですからね!♪」


「……ちなみに、セーラー服は除きまして、前回と今回。どちらが颯太さん好みですか❤」


 さくらは恥ずかしがる素振りを一切見せずに、和やかな表情で聞いてくる。

 普通はこの手の質問をする時は、恥ずかしがる者だと俺は思うが……


「先月有った時と、今の姿か……」


 俺はさくらに呟きながら、先月逢ったさくらの姿を思い出す……


(先月は確か……ピンク系のワンピースに、黒色のシャツでは無く、長袖Tシャツ見たいのを着ていたよな……)


 俺が今求めている女性は……美人の大人では無く、可愛い女性で有る。

 俺が朱里さんが良いと感じているのは、朱里さんは年齢上では完全な大人だが、幼い仕草や表情を俺が求めているから、朱里さんが良いので有る!


 同じ人でも、外見が変わるだけで全くの別人に成る!!

 俺がさくらに求めているのは、大人の雰囲気を醸し出すさくらでは無く、まだ少女の面影が残っている、さくらを自然と求めるのだろうと俺は考えた……


「今日の姿も良いけど……俺の好みは、先月の方かな?///」


 少し悩んだ末、俺は正直に感じたことをさくら言う。

 さくらの反応はどうだろうか?


「……」


 すると……さくらは、何かを考える素振りを始める。

 腕組みをして、頭を上に上げて考え始める!

 もしかして、俺の言葉が気に入らなかったですか。さくらさん!?


 でも少しの時間で、さくらの考えが纏まったらしく、笑顔で俺に話し掛ける。


「……そうですか!」

「颯太さんは、先月の格好の方が好みでしたか!!」

「では来月は、先月と同じ格好にしますね♪」


 さくらは嫌みや愚痴を一言もこぼすこと無く、俺の意見を素直に受け入れたで良いのだろうか?


「颯太さんは……思った以上に、幼さを求めてますね……!」

「セーラー服も凄く求めていましたし、この感じだと子ども系の服装も求めそうですね!///」


 さくらは何かボソボソと独り言を言っているようだが、上手く聞き取れない……

 俺がさくらと会話をしている間、その会話には入らなかった朱里さんだが、俺とさくらとの会話が終ったと判断したらしく、俺に穏やかな表情で話し掛けてくる。


「颯太さんは大人の女性より、まだ子どもらしさが残っている、女性を求めているのかな?」


「……そうですね!///」

「少女を決して求めている訳では無いですが、さくらの場合は大人の女性を演じるより、子どもらしさを強調させた方が、“さくら”らしいかなと感じまして…!///」


 人の理想や姿形は、人それぞれだ!

 DQN系人間を好む人間だって現に居るし、ロリータ系ファッションを好んだり、それを好む人だって居る!?


 俺の中では、さくらが無理をして大人振おとなぶるより、まだ10代後半なのだから、その年齢に相応しい格好や姿をするべきだと感じたまでだ!


「う~ん……。まぁ人それぞれ、求める姿形が有るから、私は特に言わないけど、私は今日のさくらちゃん姿の方が好きだな!」


 朱里さんは苦笑いをしながら言う!

 朱里さんは俺の言葉を完全に否定する訳では無いが、俺が少女を求めるのはよろしくないと判断したようだ。


「……」


 俺の言葉と朱里さんの言葉を聞いていたさくらは、俺と朱里さんの顔をそれぞれ見て、何かを考えて居るようで有った。

 実際さくらも自身も、少女の姿より大人らしい姿を求めているのだろう。


 一旦は俺の希望を受け入れたさくらで有るが、朱里さんの言葉で再度悩み始めたのだろう……

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