第88話 カラオケデート その2

「颯太さん。注文終りました♪」


 さくらは陽気な声で言いながら、俺の真横に座る。


「えへへ。颯太さんと此処まで来てしまいました~~❤」


 さくらは頬を染めながら嬉しそうに言う!?

 言うまでも無いが……さくら。何かを企んでいるか!?


「……では、早速歌いましょう♪」

「どちらから、先に歌い始めますか!」


「……さくらからで良いよ!」

「俺は本当に、持ち歌が少ないから……///」


「分かりました。颯太さん!///」

「では、私から歌わせて貰います♪」


 さくらは笑顔で言い終えると、テーブルに置いて有る入力機械を手に持って、慣れた手つきで歌う曲を入力をしていく。

 俺の学生時代と比べて、カラオケは衰退したと思っていたが、まだ高校生の中ではカラオケな人気なんだろうか?


 しばらくすると、リズムが良いテンポのメロディーが、室内のスピーカー流れ始める。

 今流れている曲が、これからさくらが歌う曲なんだろう……

 さくらはマイクを持って立ち上がり、さくらが歌いやすい場所に向かう。


「♪~~~」


 俺はさくらの歌う曲を聴いている。この曲は俺でも知っている曲だ。

 俺も歌を聴くことは嫌いでは無いので、時々だが、テレビの音楽情報番組を見ている。

 この曲は女性ボーカルが歌っている曲だが、さくらもそれに負けないぐらいの声量で歌っている……


(未だに納得出来んが……さくらの彼処には“ぞうさん”が付いているからな!)


 女性の姿をして、女性と良く似ている声帯や口調で話し、礼儀も有ると言う、男の娘さくら。

 本当に男性にしておくのは、もったいない……


『コン、コン♪』


「失礼しま~す!」


 さくらが一曲歌い終えたタイミングで、カラオケ店の男性スタッフが料理を運んでくる。

 男性スタッフの目には、俺達がデートを楽しんでいると、感じているに違いないだろう。実際は同性デートだが。


 さくらは連続で曲を入れていたので、俺は男性スタッフから料理を受け取り、ついでながらテーブルに配膳する。

 配膳を終えた後は、再びさくらの歌う曲を聴く……


 ……


「さくら。フルーツパフェ置いておいたよ!」


「はい。ありがとうございます!♪」


 さくらは曲を歌い終えてソファーに着席した時、俺がそう声を掛けると、和やかな表情で返事をするさくら。

 さくらは早速、笑顔でフルーツパフェを食べ始めている。


「俺も少し摘まむか!」


 さくらがパフェを食べている中、俺も出来たての鶏唐揚げを食べる。


(感じ的に……冷凍食品の気がするが、まぁこんなもんか!)


 しばらく軽食を楽しんだ後、俺にも歌ってと、さくらから勧められたので俺も一曲歌って、さくらとのカラオケデートの時間は進んでいく……


 俺は音痴の部類に入る筈だが、さくらは『低音』が上手ですねと褒めてくれた!?

 今まで何回かカラオケを親友達として来たが、笑顔で褒めてくれたのはさくらが初めてで有った!?


 ☆


 歌い始めてから、1時間位経過した頃だろうか。

 俺とさくらの二人カラオケだし、さくらが中心に歌っているから、さくらも喉が疲れ始める頃だ。

 さくらが五曲歌うのに対して、俺が一曲歌う感じで有るから、さくらも疲れて来るのは当然で有った。


「ふぅ~~。少し歌いすぎました……///」

「休憩しましょう~♪」


 疲れた言葉を言うさくらで有るが、表情は元気そうで有った。


(二人なら、二時間位のカラオケが丁度良いよな!)


 ……俺もこの時間に成ってきて、今までの疲れが出て来たのか、お疲れモードに入り掛けていた。


「ねぇ……颯太さん!//////」

「さっきの続きをして、よろしいですか?//////」


 さくらはようを含めた、性を求める表情をしながら言って来た!?

 それを少し戸惑いながら言う俺……


「えっ……さっきの続きとは!?」


 俺がそう、さくらに聞くと、さくらは『また、またご冗談を♪』の表情をしながら言う。

 やっぱり、さくらは何かを企んでいたか!?

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