第65話 自堕落

「ケネト様、あーん♪」

へひーひあちゃんふへえセシーリアちゃんうめえ!」

「ケネト、これも食するがいい。」

ひふへほほふへえヒルデのもうめえ!」


・・・・俺が救出?されてから2か月が経った。

今ではすっかり自堕落な生活だ。

お腹のお肉が気になる今日この頃、皆さんいかがお過ごしですか?

・・・・とまあ、俺の両隣には常にセシーリアちゃんとヒルデがいるんだよな。

そしてどちらかが離れても、必ず一人は俺の所にいる。

両手に花とはこれいかに?

これ知らねえ奴が見たら、きっと刺されるな。


さて、少し弁明させてくれ。


俺は色々あってしばらく身動きができず、寝たきりだったんだ。

しかも一時的?に視力を失い目が見えねえ。

何せ水を飲もうにもコップすら持てねえほど衰弱してしまっていたらしい。


当然ながら食事もできねえ。

そして・・・・用も一人では足せねえと言う・・・・


最初俺はセシーリアちゃんとヒルデの事がわからなかった。

二人の事を馴染みと認識するまでずいぶん時間がかかってしまった。

俺は当初2人が俺の世話係?と言うか、こうした事を専門に行うプロフェッショナルと思っていた。


だから食事から下の世話まで全て任せていた。

今思うと・・・・


「ご褒美ですわ!」

「ケネト成分が進化した!」


と訳の分からん事を言っている。


「もういい。世話になったな。」


俺はある程度一人でできるようになりつつあるので、2人にもういいと伝えたのだが・・・・


「そうはいきませんわ!たとえケネト様がそう仰っても、かつてのケネト様同様の状態に回復するまで、いえ、できればその一生と言いますか、ずっと尽くしますわ!」

「いやそこまでは必要ない。もうあんたも自分の仕事に戻るべきだ。」


「そうはいきませんわ!と言うよりも・・・・ま、まさか・・・・け、ケネト様は、私を捨てるのですか?い、いや、捨てないで!」

大泣きを始めるセシーリアちゃん。

いや、泣かれても困るんだが。


「では我が世話をしてやろう。光栄に思うがいいケネト。」

「いやヒルデ、お前もだ。お前は王族なんだろう?なあ、今は忙しいんだろう?本来の務めを果たせよ。」

「ケ、ケネトのくせに生意気だ!我が尽くそうと言っているのだ。素直に受け止めるがいい!それとも我に飽きたのか?飽きたから捨てるのか?」


意味不明だ。ヒルデまで大泣きだ。


「・・・・どうしろと?」

「そのまま身を任すのがいいですわ!」

「我に全てを委ねよ!」


・・・・ずっとこの調子だ。

だがまだいい。

問題は風呂だ。


俺はまだ歩けねえ。

すると女2人に抱きかかえられ、そのまま風呂場に連れていかれるんだぜ?

身体に力が入らねえから成すがままだ。


そしてそのままマッパで服が剥ぎ取られ、あろう事か2人も裸になりやがる!せめて前隠せよ!


そのまま抱きかかえられ湯船に突入。

いや待て、湯船に何でそのまま入るんだよ!

身体洗ってからだろ!


そして毎日俺の大事な部分は衆目に晒されるんだ・・・・悲しい・・・・

そして・・・・別の意味でも悲しい・・・・

女の、しかも極上の裸を見てもその何だ、反応しねえんだよ。

どうやら俺の男としての色々は駄目になっちまったらしい。


「時が解決してくれますわ!」

「いずれ薬を用意するから気にするな。」


そして寝る時も3人で川の字だ。


これ事情を知らないやつらが見たら、俺死ぬ。


はあ・・・・どうしてこうなった?

え?羨ましいって?

いや俺は色々な事を自分でやりたいんだよ!こんなの嫌だあ!!!!!


周りからすれば何贅沢言ってるんだ、だろう。


まあこんな感じで・・・・全然弁明になってねえじゃねえか!

くっ!

俺とした事が・・・・


・・・・

・・・

・・


最近ようやく体に力が戻って来た。

もう何でも一人でできる!

そうだ、鍛冶をしたいな。鍛冶をしようそうしよう!


だが俺はふと思った。

此処は何処だ?


セシーリアちゃんとヒルデがいるからモッテセン王国の何処かなんだろうが・・・・


そして最近全くヘンリクを見ねえ。どうしたんだ?

それにおっちゃんだ。


おっちゃんも見ねえなあ。




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