第84話 風呂での女子会
ケネト達が城の温泉で酒盛りをしている頃、セシーリア・ヒルデガルド・ヴィオラの3名も同じく女湯で色々な話で盛り上がっていた。
因みに男湯と女湯は薄い板1枚で仕切っているだけなので、声や音は丸聞こえ。
なので3人は男どもに聞こえない程度の音量で話を楽しんでいた。
だが・・・・
男どもの声が聞こえる度にヴィオラの顔が真っ赤になっていく。
「ヴィオラさん、やはりあなたはヘンリク国王が好きなのですね。」
察しのいいセシーリア。因みにセシーリアの方が年上。ただ種族的で言えばセシーリアの方が実質年下だったりする。
「そうなのか?兄貴をいつも罵倒してたのは照れ隠しだったのか?」
兄であるヘンリクの恋愛に関し、全く興味がなかったヒルデガルド。興味があるのはケネトただ一つ。
「・・・・あいつってさ、馬鹿なんだよね、それも徹底的にさ。そしてお人好し過ぎて・・・・笑っちゃうわよね。でもね、何か放っておけないのよ。馬鹿だから。」
そう語るヴィオラだが、男湯から聞こえるヘンリクのうち?を一言も聞き逃すまいと彼女が一番男湯の声が聞き取りやすい場所に陣取っていたりする。
「しかしいいのかしら?もうずいぶん待たされてるわよね。」
セシーリアは知ってか知らずかそんな事を指摘する。
「・・・・あいつさ、ケネトを見つけるまで結婚はしないなんて言うからさ、どこまで本気なのかと思ったら・・・・10年、本気だった。」
「ケネトは見つかった。でも兄貴はまだヴィオラと結婚してない。何故?」
「さあ何でかしらね?きっと私が知らずそうさせまいとしているのかも。独身を拗らせちゃったかなあ?あ、それよりも2人とも、あのケネト君とはもう・・・・?」
「・・・・ケネト様は今自信を喪失しています。もう暫くかかるでしょう・・・・」
「??何かしらそれ?」
「女性の裸を見ても反応しないのよ。心は反応しているのに。」
「うわ・・・・もしかして童貞拗らせちゃってる?」
「・・・・ケネト様は女性が苦手と以前言っていたわ。今は私が触れても問題なさそうだけど。」
「そうか?ケネト成分を補充するのに口づけをするが、その時のケネトの鼻の下は伸び切っているぞ?」
そんな話をしていたら、男湯が突然ざわつき始めた。
「おいヘンリクしっかりしろ!こんな所で倒れても困るぜ!」
どうやらヘンリクが男湯で倒れたようだ。ケネトが開放?をしているのか慌てた声が聞こえる。
「は!へ、ヘンリクが・・・・倒れた!助けなくちゃ!私がいないとこうなるんだから!」
セシーリアとヒルデが止めるる前にヴィオラは男湯の仕切りを蹴り飛ばし、男湯に突入していった。
慌ててヴィオラの後を追う2人。
そこで見たのは・・・・仰向けにひっくり返っているヘンリク国王に声をかけつつ狼狽えているケネトの姿だった。
「ヘンリク!」
ヴィオラはあっという間にケネトからヘンリクを奪い、自ら抱きかかえ介抱する。
ケネトがヴィオラの裸をガン見しているのでセシーリアは背後から目隠しをした。
すると今度はケネトが意識を失った。
「ケ、ケネト!」
・・・・
・・・
・・
・
この日、この後何が起こったかは詳細は分からない。
ただわかる事は翌日、ヘンリク国王とヴィオラの婚約が発表されたという事実。
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