第83話 国王も大変なのだよ(ヘンリク談)

 俺達男3人、温泉に入っている。


 何と城には温泉が!


 そして湯船でヘンリクはひたすら酒を飲んで俺に絡んでくる。

 酒くせえ・・・・めんどくせえ・・・・

 そしておっちゃやんと言えば・・・・

「・・・・だから言ってやったんだぜ?なのによう・・・・おうお前も飲めや!」


 岩に向かって熱く語っていた。

 駄目だあれは。

 色んな意味で終わっている。

 おっちゃんに翌日聞いた事だが、普段は絶対に酒は飲まないらしい。

 何故って?

 どうやら記憶が怪しくなるそうだ。

 怪しくって言うより、記憶が怪しくなるほど飲んだのか、酒に弱いのか、まあそんな感じでずっと岩と語っていたらしい。

「女湯に参上しなかっただけましだろうが!」


 どうやら前科があったようだ。

「しかもだな、その後は恐ろしい事になったんだ。そのまま10人ぐらいだったか?の女どもに色々とな・・・・今思えばあれは罠だった。何で女湯と男湯の仕切りが殆どなかったのか、今思えば最初から・・・・」


 何が起こったのか分からんが、そっとしておこう。


 で、ヘンリクだ。


「ヴィオラがよう、全然相手してくれねえんだよ!俺にはあいつが必要だってのに!」


 ヴィオラ・ピーア・ノシュテット


 かつて俺も一緒にダンジョンでお世話になった女性だ。

 そう言えばヘンリクが嫁とか言いかけて、否定されてたっけ。

 因みに今はヘンリクと呼び捨てにするよう厳命されている。

 どうやら国王として色々ストレスが溜まっているようだ。

「なあヘンリク、あの女とは結婚しなかったのか?」

「あ?ケネトのくせに生意気な!俺はちゃんとケネトを助けた!ケネトを助けたら結婚するとか言いながら、してくれねえんだよ!」

「なあ、きちんと求婚したのか?」

「おう!の一番でしたぜ!」


 駄目だなこいつも酔っぱらっちまっている。


 いの一番が何で胃、何だよ!

 もしかして胃袋を掴まれてるのか?別の女に。


「なあヘンリクよ、あんたは国王だ。国王は・・・・女を何人も娶っていいのか?」

「お、おう、その通りだぜ?だが俺はヴィオラ一筋なんだよ!だが周囲はそれを許しちゃくれねえ!」

「・・・・国王として命令したらいいじゃないか。」

 俺はそんな事をしたら絶対ダメだと思いながら聞いてみる。

「それだけは駄目だ。命令したらあいつは俺の嫁になるだろう。だがそれだけだ。心は離れるだろう。だが俺が求めているのは心の平安だ。も、もちろんアイツの身体に興味がないわけじゃねえ!むしろドストライクだぜ?だが、俺はあいつといるとなあ、何か知らんが落ち着くんだよ。そんな女はあいつだけだ。」


 この後こんな事を1時間ほど延々と繰り返し・・・・突然倒れた。

 そしてその後とんでもない出来事が。


 何故か壁の向こうから全裸の女が数人、こっちにやってきたからだ。


 あ、ヴィオラさんがいるぞ?セシーリアちゃんもいる。

 ここは男湯。

 だが全裸の女が乱入してきた。見ていい?


 俺はセシーリアちゃんに目隠しをされ、そのまま連れ去られた。何で?


 ついでにおっちゃんも別の女に連行されていた。


 その場に残るはヴィオラさんとヘンリク。

 お?

 ?これはもしかして?

 だが俺は1時間ヘンリクの話を湯船で聞いていたんだぞ?

 そしてこの刺激。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・



 気が付けば布団で寝ていた。


 あれ?


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