第82話 鍛冶と冒険と
1000振りの剣と、素材集めのためのダンジョン攻略。
二足の草鞋を履く事となった。
人によっては何で鍛冶の素材集めにダンジョン?
と思うかもしれない。
何せ俺達が10年間捕らわれ奴隷として強制労働させられた鉱山と言う存在がある事からも分かるように、鉱物は山から採掘するもんだ。
だがこれはある意味正解なのだが、ある意味では効率が悪い。
何せ基本ひとつの鉱山から算出される鉱物は、採算がとれるのは一つだけ。
つまり種類が豊富であっても、その埋蔵量には偏りがあるわけだ。
そしてその埋蔵量が一番豊富、若しくは一番採算性の取れそうな鉱物を集中的に採掘する事で利益を得る。
だが今回俺の素材集めは、単に鉱物を採掘すればいいという問題ではない。
必要な素材は多岐にわたり・・・・メインはミスリルだが、アダマンタイトもそれなりに、そして問題なのはオリハルコンだ。
総オリハルコンを含め10振り打てるだけのオリハルコンを確保となると、どれほど厳しいか。
実際何度もダンジョンでオリハルコンを採掘したが、一度にひと振り分の確保はできなかった。
何せ重量が半端ないからな、収納しようにも、直ぐに容量制限になっちまう。
なので今の所はミスリルをメインに採掘し、最後にオリハルコンを採掘。
こうして戻ってはセシーリアちゃんに後を任せ、俺はひたすら鍛冶に専念。
こんな日々を過ごすが効率が悪い。
誰か素材を集めてくれねかな?
だがそう甘くはない。
単に鍛冶をするだけならそれも可能だが、資金も集める必要があるとなると自分で資金を得るための素材も集めないといけない。
「お疲れ様ですケネト様。やっと目標の半分ですわ。」
そう言うセシーリアちゃんだが、目標の半分・・・・つまり資金なんだが。
「うわ、これだけやっても半分かよ。それにまだ剣も半分しか打ってねえ。」
あれから5年。
俺はひたすらこの生活を繰り返している。
流石にヒルデは公務があるとダンジョンの時だけ協力する流れになったが、2人の助けはありがたい。
1年で100振り打てなかった。
尤も鍛冶をしている時間よりダンジョンに籠っている時間の方がはるかに長いから、実質鍛冶をしている時は一日一振りしか完成できなかった事になる。
で、今俺は城に来ている。
いつの間にか1年に一度、出来上がった剣をヘンリクの所に持っていく決まりになっていた。
「おうケネト!ずいぶん鍛冶師らしくなったじゃねえか!」
随分と玉座が似合うようになったヘンリク。
「そう言うヘンリク陛下もすっかり王様が板についたんじゃないか?」
「お、そう思うか、嬉しいじゃねえか!よし、久しぶりにロセアンと3人で風呂に入ろうぜ!」
そう言えばそんな事もあったっけな。
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