第85話 まだ半分残っているのか
あれから俺はひたすら剣を打った。
そしてダンジョンで素材を確保。
今の所1日1振り打てるんだが、あくまで鍛冶に専念していた場合。
実際鍛冶をしているよりダンジョンに籠っている方が長いので、平均すると4日で1振りの剣を打っている事になる。
そして年に一度ヘンリクの所へ行く。
で、今回俺は馬鹿らしい出来事に巻き込まれたわけだ。
あのヘンリクが結婚かあ。
俺ももう若くねえ。
この国にやってきた時は18だった。
その後鉱山で10年、そして鍛冶をしながらダンジョンで素材集めの生活が5年。
つまりもう33なわけだな。
俺も結婚したいぞ・・・・
だが妥協はできねえ。
今周囲にいる女は年上だ。
それは許されない。
そんな事を思っていると、幸せそうな面したヘンリクが現れた。
因みにヘンリクが婚約を発表してから1週間ほど経っている。
何故か俺は城に足止めされている、主にヘンリクのせいなんだが。
「ようケネト!お前もいい年だ、そろそろ落ち着けよ!」
「そう言うのなら残りの500振り誰かにやってもらえよ!」
「ふっ!金を稼がねえと結婚できねえんだぞ?安定した稼ぎを自らやめるのか?」
「・・・・金ならもうたっぷりある。後は俺にとって理想の嫁さんをゲットするだけだ!」
言ってやった。だからと言ってヘンリクが俺に嫁さんを用意してもらっても困るんだが。
だがヘンリクの反応は違った。
「何だケネト、お前も大概強欲だな。」
俺が強欲?何の事だ?理想の嫁さんが欲しいと言っただけだぞ?金はもうあるし。
「意味が分からん。男が理想の嫁さんを追い求めて何が悪い!」
「・・・・いや、そうじゃねえぞ?2人も嫁さんいて更に欲しいってのがとんでもない欲張りだと言ったまでさ。」
意味不明な事を言ってヘンリクは去って行った。
2人の嫁?
因みにケネトは認めていないが世間ではケネトにはとんでもなく器量よしの嫁2人がいる事になっていた。
言わずもがな
セシーリアとヒルデである。
ケネトにはそんなつもりはないが、既に周囲にはそういう事と周知されていたりする。
お、セシーリアちゃんがやってきたぞ?
「ケネト様、ようやく工房へ帰る事ができます。行きましょう。」
いやそんなに腕を引っ張るなって。何で慌てる?
今度は反対の腕をヒルデがとる。
「帰ろう
「いや離れろ2人とも。歩きにくい。」
「何を今更。」
「いい加減慣れるんだな。」
結局工房に戻るまでずっとこの調子だった。
馬車に乗る時どうするんだと思ったが、その時だけ手を握るという方法を取っていたようだ。
そしてやっと工房へ着いた。
「ただいま
「セシーリアちゃんなんか言った?」
「いえケネト様。では入りましょう。」
さあ打って打って打ちまくるぜ!
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