第86話 ミスリルの剣の打ち納め
品質にこだわり、数にこだわる。
早く仕上げると品質がおざなりになりやすいし、時間をかけて高品質の剣を仕上げようとすれば数が打てねえ。
この両立が難しかった。
尤も鍛冶スキルのレベルを上げてからは品質を維持しながらのスピードアップができるようになり、ある意味このジレンマからは解放された。
俺はミスリル製の剣を全て納め終わった。
もうどれ程の月日が流れたか、わからない。
そして今俺は次の注文、アダマンタイトを芯材に、ミスリルで覆う剣を打っている。
この頃には俺の鍛冶スキルは金の暴力でレベル13になっている。
もう既に親方と同等レベルだ。
だが経験が圧倒的に足りていない。
900振りのミスリル製の剣を打ったのはいい経験になったって事だ。
そして残念?な事に、900振りの剣を納めた後、ヒルデが公務で暫く俺の所に来られなくなるらしい。
「ケネト、王族の務めだ。行きたくはないが今まで王族として色々恩恵を受けている以上、務めを果たさねばならぬ。」
そう言って何故かこいつは全裸で俺に抱き着いてきて、俺の口をしばらく塞いできやがった。
俺は窒息しそうになった頃ヒルデは俺から離れた。
「暫くケネト成分ともお別れか。しかし・・・・相変わらず反応しないのだな。」
すまん。見た目はドストライクなんだが、鉱山での強制労働から・・・・その後解放されたが、その時から一度も反応がない。
いくらヒルデが年上だからって、身体が反応しないのはいくらなんでも異常だ。だが俺はどうやら悟りの境地に達したようだ。仙人なのか賢者なのか。
ずっと賢者モード。
「身体には気を付けろよ。全裸で外をうろうろすれば腰を冷やす。女が腰を冷やしちゃいかん。」
「ちょっと待て。我がこの肌を見せるのはケネトだけだ。全裸でうろうろはしない。」
そう言って去って行った。
さてこれで俺とセシーリアちゃんの2人になったわけだが、セシーリアちゃんは鍛冶には口出しをしてこない。
基本鍛冶場には来ないんだな。
まあ食事の時とか、用があれば呼びに来る、そんな程度だ。
そして遂にある意味、来た。
「ケネト様、鍛冶のレベルを14にあげる事ができます。」
ぶっちゃけアダマンタイトやヒヒイロカネを扱うのにレベル13では厳しいんだよな。
いや、一振りだけなら時間をかければできなくはない。
実際エイセル親方もレベル13だが俺の知る限り素材で剣を打てないなんて事は聞いた事がない。
つまりどの素材でも剣を打てるって事だ。
だが、レベル14・・・・
「わかった。レベルを上げよう。」
俺は鍛冶のレベルが14になった。
気が付けば38歳だった。
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