第11話 錬金術師

「それより気になる事がある。あんちゃんはいつまで難民支援制度を受けるつもりだ?」

「あ、そうだな。薬草採取もいい感じだし、もうそろそろいいかな?」


「あれは税金から賄っている上に、後から返さねえといけないからなあ。なるべく早く止めとけておけ。そして宿に泊まっとけ。今のあんちゃんの稼ぎなら、食事込みで1日1万とかのいい宿でも問題ないだろう?」


「1万ゴールド?高いよおっちゃん!」


「今はスキルもある。9,000ゴールドに割り引いてくれるんじゃねえか。それにだ、多少高くても稼いでいるならそっちの方が治安もいいから安心だ。ケチって一泊2000ゴールドとかにしてみろ、気がついたら賊に侵入されて、身ぐるみはがされ朝になって通行人に冷たくなったのを発見される、なんて事もあるからな。」


「うわマジかよ。じゃあおっちゃんのお勧めで。」


「そうだな、深緑の木漏れ日亭がいいか。それとも蒼の湖亭がいいか?どっちもこの冒険者ギルドと門の間にあるから便利だし、大通りに面しているから治安もいい。俺が紹介状を書いてやるから、宿に見せれば泊めてくれるだろう。それとな、ある程度金を貯めればいずれは工房がいるんだろう?ならさっさと家を買っておくのも手だ。ただ立地的には不便になる覚悟は必要だがな。」

「何で不便なんだよ!」


「金さえあればこの付近の、少し奥まった場所で売り出しているが、高い。だが少し離れた場所なら安く購入できる。まあ今はまだいいだろう?あと数年は心配するな。それにこの街を拠点と定めるかも決めないといけねえ。」


 そうだ、ここにきて1ヶ月、いや2ヶ月だな。1ヶ月は移動したり何もできなかったが、この1ヶ月





 はこうして稼いだ。俺はもう支援を受けなくてもやっていける。

 それに確かに支援は前借り、借金だ。

 返せるうちに返さないといけない。

「おっちゃん、まだ流石にここにずっと定住するかはわからないぞ。何せ俺達は他所もんだ。この国の方針が変わって、万が一奴隷扱いとかになればまた逃げないといけないからな。」


「それはないとは思うが、まあないとは言い切れんな。国王陛下に万が一の事があった場合、次期国王たる人物がもし現国王陛下のお考えと相反する場合、そういう事も起こりえる。だがあんちゃんに戦闘職はまだ早いんだよな。だからこその錬金術師だ。」


 おっちゃんの勧めに従い錬金術師を選択した。

 本当なら何かあると困るから戦士ぐらいになってレベルを上げた方が良いのかもだが、そもそものレベルが低いからあまり意味を成さないらしい。


 また1万ゴールド減ったが、100万以上あるからまあいいだろう。


 錬金術師を選択したら、

 錬金

 調合

 合成

 精製

 というスキルが増えた。


 その後俺はおっちゃんの勧めに従い・・・・これは冒険者ギルドの受付に手続きをしてもらわないといけないのだが、受付のお姉さんに難民支援制度の打ち切りと、清算をお願いした。



「ケネト様、難民支援制度の打ち切りですか?」

 駄目だ、なんで受付の女性は無駄に綺麗な美人さんなんだ?

 だけど今はスキルがある!


「ええ、いつまでも頼ってっばかりでは駄目でしょうし、いずれは国に返さないといけませんから。」

「それは感心ですね。しばらくお待ち下さい。ええとケネト様は我が国に到着されて本日でちょうど60日ですね。2ヶ月。まずは打ち切りの手続きに入ります・・・・こちらは終了いたしました。あと清算はいかがしますか?半年の猶予期間が設けてあるようです。」


「金額によりますが、手持ちで足りればお願いします。」

「では・・・・え?まさか?そんな事は・・・・何かの間違いでは?こんな高額有り得ませんわ。ええとケネト様は難民支援制度での一日当たりの支援額ご存知でしょうか?」


「ええと、確か一日5000ゴールドと聞いていますし、後各種のサービスが無料というのがあったと思うのですが、違いますか?」


「それがその、大変言いにくいのですが、私も一日5000ゴールドと、それにこの紙にも記載してありますので間違いないはずなのですが、何故か一日当たり2万ゴールド、それに、ええ?各種サービスは後払い?そんな?あの、大変言い難いのですが、何かの・・・・ちょっとお待ちくださいロセアン様!」

 え?どうしたの?


 あ、おっちゃんが駆け付けてくる。

「どうしたセシーリア!」


「こ、これをご覧下さい・・・・わたくし、ギルドマスターを呼んでまいります!」


「おい待て説明しろ!何があった?」


「その、よくわからないのですが難民支援制度の支援金に関して、金額が違いすぎて。この紙には一日5000ゴールドの支援と書いてあるようですが、実際の請求額は一日2万ゴールドになっているみたいで、さらに各種無料扱いのはずの支援にも請求が来てるらしいのですわ。」


「何だと!どれ・・・・何だこれは?これでは難民の殆どが路頭に・・・・いや奴隷落ちしてしまうではないか!ケネト、お前の持ち金は160万?・・・・足りるか。」


 うわ、この1ヶ月順調すぎたからなあ。しかし困ったな。

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