第64話 目覚め
何だかふわふわする。
それによくわからんがあたたかい。
そしていい匂いがするぞ。
駄目だ、まだ俺は寝て居たいんだ。
しかし何かが俺を引き付ける。
一体何が俺を引き付けるんだ?
それに意味不明だが、両腕が柔らかい何かに支えられている、そんな感覚があるぞ。
俺は抵抗したが、無駄だった。
パチッと目を開ける。
・・・・見知らぬ天井だ。
そして右を見た。
綺麗な顔をした女が寝ていた。
左を見た。
癒しの顔がみえた。同じく女。
・・・・俺はまだ夢を見ているようだ。
ちょっと手を動かすと何かに触れた気がしたが、まあ気のせいだな。
もう少し寝ておこう。
・・・・
・・・
・・
・
何かが身体の中に入りこんでくる。
嫌じゃない。
暫くすると再び入り込んでくる。
今度は気持ちよかった。
そして何かがみなぎってくる!
おお?これは魔力か?
目をあけるとこの前の顔が2つある。
2人とも美人だ。
一体俺の身に何が?
思い出せねえ。
・・・・
・・・
・・
・
俺は気を失っていたのか?
随分体が弱った感じだ。
何せ自分で起きられねえ。
腕の力が入らねえんだ。
「ケネト様起きられますか?」
「力が入らねえ。どうなってやがる?」
「ずいぶん寝たきりでしたもの、仕方がありませんわ。少しづつ身体を動かし、力を取り戻しましょうね。」
「そうだぞケネト!ケネトは2週間寝たきりだったんだ!筋力が劣っている!今は歩けないだろうが心配するな!食事の世話から下の世話まで全てセシーリアと、このヒルデが責任をもって、いや喜んでしようぞ!」
「よくわからんが喉が渇いた。」
「少々お待ち下さい・・・・飲めますか?」
俺は差し出されたコップを手にしようとしたが無理だった。まさかと思うがコップすら持てねえのか?
「無理そうですわね。ではこれで・・・・んぐ・・・・」
目の前が真っ暗になり、何かが口に・・・・
ごくごく
・・・・潤った。
そう思ったが眠い。
「寝る。」
「今はしっかり休め!」
・・・・
・・・
・・
・
俺は覚えてねえんだが、こうした事を繰り返したようだ。
「ようケネトすっかり美人に骨抜きにされちまってるようじゃねえか!あんな絶世の美女2人に甲斐甲斐しく尽くされ、恨ましいぜ!」
「アントン何の事だ?俺は今起きたばかりだが・・・・此処は何処だ?それに俺は今・・・・どうなっている?」
「あ?ああそうか、ポーションの過剰投与による記憶の混濁だな。そのうち思い出すだろう。だが心配するな。もう安全だ。」
「安全ってなんだ?」
「あの美女2人がケネトの傍にずっといるって事さ!起き上がれるようになったら感謝してやるんだな!そしてあの2人の求める事をしてやるといい・・・・羨ましすぎるぜ!」
アントンは去った。あいつは何しに来たんだ?
暫くして誰かが来た。イケメンだ。死ね!
「ようケネト!やっと喋れるようになったんだってな!」
「喉が渇いた・・・・いや近づくんじゃねえ!」
「あほいえ俺も男の口になんて死んでも嫌だ。ちょっと待っていろ。」
なんだあいつは。
そして・・・・
「喉が渇いたんだってな。ちょっと待つががいい・・・・ごく・・・・」
・・・・ああまたこれか?色んな意味で気持ちがいい・・・・
この後暫くこんな調子だったようだ。
俺の記憶がしっかりと元に戻るのはこれから更に一ヶ月かかったようだ。
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