第3話 生きるために冒険者になる
モッテンセン王国が俺達を難民として受け入れて1ヶ月、俺は18歳になった。
この間に俺は遊んでいた訳じゃない。
出来れば知識のある鍛冶に関わりたいと思ったが、残念ながら難民のままだとこの国で鍛冶職人の弟子入りをする事は限りなく難しかった。
最初に受け入れてくれた街では誰も話すら碌に聞いてくれず、最終的に割り振られた街でやっと一軒の工房で2週間に1度、少しの間なら見学を許してくれる親方と出会った。
レオ・エイセル。
エイセル工房の親方。
親方と言ってもこの工房、親方1人しかいない。
「親方、おはようございます!」
俺は2週間たったので挨拶をしに向かった。
「早いじゃねえかケネト。もうこの国には慣れたか?」
「ええ親方。俺昨日で18になったんだ。」
色々手続きがあって、まだ実際には落ち着かない。
そしてこの国には難民救済制度なる制度があり、今の所何とか生活できている。だがこのままではどうにもならないし、どうやらまともな就職先はない。
俺はそういった事を親方に説明する。
「仕方がねえ。運が悪かったな。だがてめえはまだ若い。まだまだチャンスはあるはずだ。だがそのチャンスは待っていてもやってこねえ。しかも待っている間に金が尽き、飢え死にする。現状冒険者になるしかねえ。それも鍛冶とは無縁の生活を強いられる。」
親方の助言は尤もで、俺は難民支援制度を利用し、冒険者ギルドで話を聞いてみる事にした。
・・・・
・・・
・・
・
「ようこそ冒険者ギルドへ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
俺は固まった。
受付のお姉さん、信じられないぐらいの美人だったからだ。緊張する。
「難民支援制度を利用したいのと、恐らく冒険者として身を立てないと生きていけないので、冒険者になろうと思っているんです。」
「ああ貴方難民ね。じゃああっちに眼鏡かけたおじさん居るでしょ?あの人の所で話を聞いてね。あ、これ難民支援制度の紙ね。それともし依頼を受けるなら薬草採取にしなさいね。じゃあねえばいばい。」
難民支援制度の概要が書いてある紙?を受け取り眼鏡のおじさんの所へ。しかしなんだったんだ今の受付。
「おうなんだあんちゃん、難民か?」
「ええ、先ほど受付の女性にこちらへ来るようにと言われまして。」
あ、おじさん受付の女性を睨んでる。
「まあいい。で、あんちゃんどうすんだ?冒険者になるか?」
「このままではどうにもなりませんので、できれば冒険者になって活動しようかと。」
「そうか。まあいい。あんちゃん手を出しな。あっちで登録してんだろ?」
因みに手をかざせば個人情報が現れる。
そして触れると目の前に画面が現れる謎仕様だ。
おじさんが俺の情報を見ている。
「ほう、あんちゃん道中結構な数の魔物を仕留めてたようだな。だが価値のある部位はどうした?」
「生き残るので必死でしたから、回収していません。」
「そうか。あ、ちょっと待て。すぐ戻る。」
あいつ俺に丸投げしやがったなとか聞こえるがさっきの受付のお姉さんの所に言って何か聞いてるみたいだが、何かあるのか?あ、戻って来た。
「すまんな。まあそうなるわな。他にやってきた難民連中も皆そう言ってた。あんちゃんレベル6だな。このまま冒険者登録しておく。スキルはまだ取ってねえのか。どうする?レベル10までは薬草の採取で身を立てるのを勧めるが。間違ってもいきなりダンジョンはやめた方がいい。あの受付にも言われただろう?」
「薬草の採取ですか?そんな知識はないです。」
何故か受付の女性、こっち見てるんだが。気になるなら最初から全部やってくれよ。
「ああ、それは心配いらねえ。まあエリクサーのような特殊なの、ああ、エリクサーの原料はエリ草なんだがな、ああいった特殊なの以外は平原や森の付近の何処にでも生えてるからな、幸い難民支援制度で採取の講習はタダだ。受けとくか?ああ、後解体もタダだな。いずれ魔物を狩るだろう?ダンジョンじゃあドロップアイテムになるが、地上じゃそうもいかん。普通は1万ゴールド必要だが、どうする?タダだぞ?」
どうするも受けるしかない。
「ではお願いします。」
「よし、じゃあ早速受けるか?採取は今日、解体は明日の朝できるぞ。」
「ではお願いします。」
俺はまず採取をする事にした。
・・・・
・・・
・・
・
「この薬草は葉が必要。こっちのは根だ。あと湿地に生えてるのは気をつけろ。葉の裏側が赤いのは毒だ。これはこれで採取の依頼があるから欲しいが、別に収納しないといけねえ。」
眼鏡のおじさんが外で実際に採取しながら教えてくれる。
「あんちゃんなかなかいい筋してるじゃねえか。なるべく丁寧にな。そしてその日のうちに冒険者ギルドへ持ち込んでくれ。基本10でワンセットだ。」
結局半日頑張って2万ゴールドほどになった。
結構金になる?
「今日は運が良かったな。普通5000ゴールドほどしか稼げねえぞ。」
幸先は良かったが、翌日は解体を覚えたので採取はせず、さらに次の日から採取を再開したが、どうやら最初の日は本当に運が良かったのか、1万ゴールドを超える事は殆どなかった。
だが1日の生活費は5000ゴールドほどかかるので、この調子なら何とかなるだろう。
そして採取師のレベルを上げてからは稼ぎが良くなったがそれはもう少し後の話だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます