第4話 解体

 翌日。


 昨日は採取の講習を受けた。

 採取に関しては採取師という職業が存在しているようで、カードを見るといつの間にか採取師というジョブになっていた。


 何で?


 まあ肩書なんかは今はどうでもいいのだが少し腑に落ちない。俺は鍛冶師希望なんだよ!


 で、再び冒険者ギルドへ。


「おおあんちゃん来たな!」


「今日は解体を教えてくれるんですよね。」


「そうだ解体だ。昨日の採取と違い解体スキルには大本の職業はない。何せ解体師なんぞあってないような職業だからな。冒険者として活動してりゃあ嫌でもレベルマックスまで行く。それにだ、そもそも解体専門なんざ、ギルド職員が受け持ってるからな、職業として成り立たねえ。それとだ、あんちゃんジョブなかったからな、こっちで採取師にしといた。間違っても1年はダンジョンに行くな。1年経てば無料でジョブチェンジできる。それまで採取師として活動したほうが後々生き残る確率は上がる。それにだ、若いもんはせっかちでな、大きく稼ぐチャンスの大きいダンジョンに行きたがるが、あれは危険すぎる。何せ低階層、いわゆる上層だがな、出てくる魔物は弱い。恐らく10階ぐらいでならあんちゃん一人でも楽勝だ。だが、それはあくまで魔物に関してだ。怖いのはな、人間だ。PKつってな、プレイヤーキラーが一定数いるらしい。ある程度稼いだ奴らの後をつけ、人目のつかない場所で仕留める。ダンジョンで死ねば、死体はいずれ消える。証拠はない。」


 このおじさんよく喋るな。まあ役立つ情報なんだろうけど。


「では僕は薬草の採取を1年頑張ったほうがいいのでしょうか?」


「ああ、俺はそう勧めてる。だが大抵の奴は1ヶ月以内にやめるな。」

「やめてどうするんですか?」


「ダンジョンだ。そして100人居て生き残るのは一ヶ月以内に半分まで減る。3か月で3割だ。そして半年で1割ほどしか生き残らん。」



 え?このおじさんが100人僕みたいなのをこうして面倒を見ても、90人は半年以内に死ぬのか?ダンジョンってそこまで危険な場所?


「もしダンジョンにどうしても行くっつうなら信用できるパーティに入れ。間違っても似たもの同士でパーティは組むな。」


「何故ですか?」


「ダンジョンに長く生き残っているパーティから学ぶ事だ。そう言ったパーティのリーダーは生き残る術を持っている。だが素人が集まってもリーダーシップを取れる経験豊富な奴がいないとな、引き際がわからねえ。そして身の丈に合わねえ階層まで行っちまって、あっけなく死ぬ。」


「そうですか。気を付けます。そもそも僕は争いが嫌いです。それに鍛冶師が希望なんですよ。」


「鍛冶師だ?やめとけ。この国じゃあ鍛冶師では食っていけねえ。」


「親方もそう言ってました。」


「あ、親方だ?あんちゃんどっかの工房に当たりがあったのか?」


「レオ・エイセル親方です。エイセル工房です。」


「ああ、あそこか。あそこはレオが一人でやってるだろ?」


「よくご存じですね。」


「腕は確かだ。というかこの国でも5本の指に入る腕前だろうが・・・・あいつはもう長くねえ。」


「え?そうなんですか?」


「ああ、長くねえと言ってもあと10年ぐれえは生きるだろうが、あいつは病にかかっている。それも治らねえ奴だ。ただ今の所は大した症状じゃねえからな、ああして仕事しているが、いずれそれも無理になるだろう。」


「病って何ですか?」


「眼だ。あいつの眼はだんだん視野が狭くなっている。眼は高位の回復魔法でも治らねえ。いずれ失明する。そうすれば一人もんのレオは生きていけねえ。だがあんちゃん弟子入りできたのか?」


「よくわかりません。2週間に一度、短時間だけ見学をしてもいいとの事ですからこれを弟子と呼べるのかどうかは分かりませんが。」



「うーん、いや、それはそれでれっきとした弟子だろう。2週間か。まあ今はいい。それより解体だ。」


 この日このおじさんに解体を教えてもらいました。そして冒険者ギルドで講習を受ければ、何とそのスキルが手に入るというおまけつき。

 おじさんいわく、おまけは実地の方らしいです。


 こうして俺は2日間で採取と解体スキルを手に入れた。そうは言ってもレベル1。

 解体はとにかく採取は早めにレベルを上げておいた方がいいだろう。


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