第100話 こうして俺は旅に出る
俺は60年ほど生きてきて、初めて自分の意志で旅に出る事となった。
今までのは自分の意思とは関係なく・・・・例えば祖国を追われた時だ。
あれは生きるために仕方なく避難したので会って旅とは言えない。
逃避行?
そして冒険者になってからも近場しか行ってなかった。
ダンジョンに籠ったのも旅とは違うしな。
そして奴隷落ちした時だ。
あれは・・・・違うな。
そして新婚旅行・・・・
あれは俺の意志ではない、断じてない!
まあ後悔はしていない。
で、俺は旅に出た。
一人で旅に出たのだが、最初の宿泊先で妻に出迎えてもらった。
何で?
「もう20年連れ添ったのですからこれぐらい当然ですわ。」
「ケネトの考えぐらいお見通しだ。」
まあいいか。
だが子供はどうしたんだ?
【もう皆成人しているから自立させる時。】
さよですか。いや待てちょっとおかしい。まだ下の子は成人を迎えてないはず。
まあ子育てに関しては俺は殆ど関わらなかったからな。もしかしたら下の子は俺の知らない間に成人していたのだろうか?
俺は父親としては全くダメな奴だった。
子供とどう接すればいいのかわからなかったからな。それに仕事ばかりしていた気がする。
だからという訳ではないが2人に任すさ。それに精霊達がいいようにしてくれるんだろ。
・・・・
・・・
・・
・
こんな調子で旅に出たわけだが、いつの間にか主導権を妻達に奪われ・・・・あれ?俺何しに旅に出たんだ?
そして俺は何故かダンジョンらしき入り口の前に立っていた。だがここは・・・・ダンジョンではないな?
【さあ入るのです!】
一体何があるんだ?
奥に進むと部屋があった。
入るよう促され、入るとそこには色々な武具が置いてあった。
・・・・あれ?何か見た事があるような気がするんだが。
【それはそうですよ!何せあんたが作ったんじゃないのよ。】
はあ?どういう事だ?
「あなた、これは20年ほど前に消えた武具ですよ。」
「何故ここに置いてあるのかは知らぬがな。」
おお!そうだ思い出したぞ?
何だか億分からん子供2人が突然やってきて、その前後だったよな?そう、あのタイミングで武具が色々消えたんだっけな。
だが何故ここに?
「それはパパ、私がここに運んだからよ。」
「まあ僕の能力でできたんだけどね。」
そう言えばそんな事もあったっけ?
じゃあ何だ?あの時の子供は正真正銘俺の子供だったって事か?
この2人、時を移動できるって事か?恐ろしい能力だ。
「パパ、ごめんなさいね。もうこの武具の役目を終えたからパパに返そうと思って。」
「流石はパパの作った武具だ。完ぺきだったよ。」
何が完ぺきだったのか知らんが、まあ俺の打った武器なら当たり前だろう。
防具は気にした事はないな。
「それよりパパ、ママたちと来てほしい所があるからここに連れてきてもらったのよ。」
「そうだぞパパ。今から一緒に来てくれ。」
どういうこった?
セシーリアちゃんもヒルデも訳が分からんようだ。
「過去か未来の私達に何かあるのね?」
「そうなの。今なら間に合うわ。」
「どうしても行かないと駄目なのか?」
「行かなかったら後悔する結果になる。」
さっぱり理解できん。俺はこれからどうなるんだ?
「さあパパとママ達、時空の旅に行きましょ!」
「時空間移動・・・・開始!」
うわ!問答無用で何か起動しやがった!
こうして俺のこの時間での流れは此処で一旦終わる事になる。
何せこの後何度も時を移動する事になったからな。
なあ・・・・俺は鍛冶師を目指してたんだが鍛冶師って時を移動しないといけねえのか?
さてこの先に俺達を待ち受けているのは一体何なのか?
あまりワクワクしねえがやるだけやってやろうじゃねえか!
冒険者生活20年 おっさんの底辺脱出記
完
冒険者生活20年 おっさんの底辺脱出記 よっしぃ @egu-tyann
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