第59話 あ、ま、まさか・・・・
悩んでも仕方がない!そして悩んでいる時間がない!!
相手が魔法を使おうとしている。
それも結構長めの詠唱・・・・あれ?あいつ何であんなに長い詠唱をしているんだ?
そもそも詠唱って必要?
俺は今更だが詠唱なんて知らん!
セシーリアちゃんも詠唱なんか教えてくれなかったが、普通に使えたぞ?
それより剣を!
俺は握っていた剣を看守のボス?役職は知らん!たぶんあいつが一番偉いさんなんだろう!この鉱山を任されていると思われる奴に剣を投げた。
あ、やべ!
どうやら詠唱が終わったようで、俺?俺に魔法を放つのか?
で、やっぱり俺に向けて魔法を発動させたようだが、もう遅い。
俺の投げた剣に魔法が当たる。
すると一瞬だが剣の周りに何かもやっとしたのが見えた。
剣が床に落ちる。
魔法はその時に・・・・消えた。
「ば・・・・馬鹿な!何故消える?」
そんなの知らんがな!
で、床に落ちた剣が震えだして・・・・うわ!
また飛んでった。
「ぐほ!」
あー何か知らんが剣が刺さってるよ。
おっとそれより他の奴らだ。
ここは鉱山。土が豊富にある。
以前のように土魔法でやってしまうか?
【足元に穴をあけなさい。】
よっしゃあああ!やってやろうじゃねえか!
いつぞやのサイクロプスだっけ?あれの時みたいに土魔法で穴をあけてやる。
すると、
「うわあ!」
「ぎゃああ!!!」
敵は全て穴に落ちた。
顔だけ出しているがサクッと埋め戻す。
そして顔だけ出した状態で固める。
そう言えば顔だけ出た状態で魔法って唱えられるんか?
「な、何が起こったのだ!」
「魔法か?何で魔法が効くんだ!」
「う、動けぬ・・・・」
そして剣が刺さったボスさんと言えば、まだ生きていた。
「い、痛い・・・・抜けん!おいそこの!いったい何をしたのかわかっているのか!」
「何言ってやがるんだ?俺達は今まで不当に奴隷として連れられ、今までひどい扱いを受けてきた。だが今やっと解放されたんだ。あんたらは俺達を散々こき使ってきたんだ。その報いを受ける時が来たんだよ!」
俺はこののたうち回っているボスさんに刺さっている剣を抜いた。
そして仕舞う。
「は、早く治療を・・・・」
「あばよ!」
俺は他の看守と同じく土魔法で埋めてやった。
こいつらにかける情けはない。
「なあアントン、今更だがどうするんだ?このまま放置?それとも連れてくのか?」
人質として意味を成すのか分からんが、こいつらを連れて脱出するか、俺達だけで脱出するか。
「いや、このまま放置しておこう。と言うか多分他に脱出してきた仲間がこいつらを放ってはおかないだろう。」
俺達と合流できなかった連中もいるはず。
何せ鉱山は広い。
出口は此処だけとしても、中は複雑に入り組んでいるんだ。
俺達より奥にいた連中もいるだろうが、そいつらを助ける余裕はない。
だがこうして看守等を無力化しているだけでも助けになるだろう。
それより俺は気になる事があった。
謎の声に働きかけてみるか?できるか分からんがやってみた。
【さっきの大丈夫か?】
多分剣が意味不明な飛び方をするのはこの謎の声も関わりがあるはずだ。そう思った俺は聞いてみた。
【大丈夫よ。あの子何とかレジストできたから。それより早く脱出しなさい。】
あの子ってなんだ?
レジストとか意味不明だ。
「ケネト、急ごう。お前らも急ぐぞ!」
ああ!目の前の首だけ看守の装備を奪っておけばよかった!まあ今更だ。時間もないしな。
いざとなれば俺の魔法で何とかなるだろう。
さあ、久しぶりの外だ。
「これで・・・・自由なのか?」
俺達は外に出た。だがそこで見たのは・・・・
鉱山の入り口を出ると、そこは深い森の中だった。
そして背後を振り返ると、山だった。
おいおい、一体何処に居たんだよ俺達って。
それにこのまま脱出できるのか?
せめて人の住んでいる場所まで行きたいが、もし近くに街があったとして、そこは俺達を受け入れられるのか?その前に街じゃなく、鉱山を管理している場所だったらどうなる?
不当に奴隷にされ、鉱山で強制労働をさせられていた訳だが、相手がそれを理解できるかどうかは分からんしな。
一難去ってまた一難か。
それに今は仲間が沢山いる。いい意味でも悪い意味でもだ。
水は?食料は?
あ、ヤバイ、緊張してきた。何だか腹の調子が・・・・
『ブリュ・・・・』
あ、ま、まさか・・・・
「おい、なんだか臭わないか?」
鋭いなアントン。
「鉱山でとっくに鼻がやられて臭いなんか分からんぞ?」
とごまかしておく。
一応・・・・浄化って使えるよな?確かスキル取ってたし。
俺はこっそり浄化を使い、ごまかしておいた。
28になって・・・・とてもじゃないが人には言えんからな。
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