第95話 ここまで尽くされたら、何かお返しをしなくては!

 セシーリアちゃんの俺に尽くす姿勢は見事としか言いようがなかった。


 そこには一切の見返りを考えない、俺にはあまりにももったいない崇高な心。


 いったい彼女の何がそうさせているのか。


 そしてヒルデガルド。


 彼女は持って生まれた王族としての何かがあるようだ。


 それが何なのか俺にはうまく言い表せることが出来ないが。

 そんな彼女はぶっちゃけ口下手だ。


 王族として育ったからなのかそれとも性格なのか、ヒルデの言い方はぶっきらぼうな事が多い。

 だからと言って本当にぶっきらぼうではない。


 うーん、俺は何故ヒルデをかばっているのだろう。


 そんなヒルデはセシーリアちゃんとは違う尽くし方をしてくれている。


 セシーリアちゃんは俺の目の届く範囲で尽くしてくれるが、ヒルデの場合分かりにくい。


 何せ俺の目の届かない範囲を色々してくれるからだ。

 俺にとって最善の結果となる。

 何でと思ったらヒルデがしてくれていた。


 これは何か2人にしてあげないと。


 だが俺が何かしようとしても、

「私がするからケネト様はゆっくりしていてね。」

「我に任すがいい。」


 まあこんな感じで、しかも俺はそんな厚意に甘えまくって。


 こういう時どうすれば?

 そうだ、精霊に聞いてみよう!

【指輪を用意するのよ!お揃いのがいいわね。】


 つまりあれか?セシーリアちゃんとヒルデと俺。

 3人同じデザインの指輪を用意すれば?


 そうと決まれば善は急げ。


 俺は2人に無理を言って工房に1人で籠った。


 精霊に頼んでばれない様にしてもらった。

   ・

   ・

   ・

   ・

 と思っていた。



 ●  ●  ●  ●


【どうかしら?やっぱり気が引けるわ。】

【騙すような真似をするのはどうなのだ?】


 セシーリアとヒルデガルドである。

【そんな甘い事言ってるからいつまでたっても進展がないのよ!】


 おかんむりな精霊である。


【あいつは私の言いなりよ!ちゃっちゃと完成させるから、あんたたちのその指にはめてもらいなさい!】


【け、ケネト様に指輪をはめてもらう・・・・】

【そ、それは・・・・恥ずかしいぞ!】

【何今更かまととぶって!もうあんたたちいい年なんだから、いい加減勝負なさい!】


【年の事は言わないで・・・・】

【我は本当に年下なんだぞ!】

【はいはい、言わないで上がるし年下とか言ってももう40前じゃない?】

【エルフの血が入っているからな。成長が遅く老いるのも遅いのだ!】

【ええ、しかもこの姿が後数十年続くので、ケネト様が死ぬまでこの姿に近い、若い姿のままで・・・・】

 ●   ●   ●   ●


 女性陣の目論見を知らないまま、ケネトは精霊の言われるがまま指輪を3つ完成させた。


 この指輪を2人に着け、自身にも着けるとどうなるかケネトは知らない。









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