第13話 受付嬢のセシーリア
● 受付嬢 ●
難民支援制度がおかしい!そして目の前の男の子は確かそう、ええと・・・・思い出した!ちょっと前に私の所にやってきた難民だ!冒険者になりたいと言ったから、ロセアン様の方に振ったけれれど、難民支援制度だけなら私が手続したんだけどな。
それにしても1ヶ月!ずっと薬草採取だけをしていたらしい。
らしいっていつも私が清算してるから知ってるんだけどさ、ぶっちゃけ私の所へやってくる冒険者は女性か、お上りさんが私にアタックしにくる時ぐらい。
この街の男の、その中でも独身男性は・・・・時に妻子持ちの不届き者もやってくるが、基本私とよろしくやりたいからと露骨に誘ってくる。
だけど中身のない誘いは全てお断り。
そう、街中の男供は皆撃沈!
私の心を揺らし、動かすほどの魅力ある男性はいなかった。
他の受付嬢はたくましく、色々な男性をとっかえひっかえしている。
そしてそんな状況なので、できちゃった退職も多く、人員の入れ替えが激しい職場。
妊娠したか結婚するかで職場を離れるので、長い嬢でも5年だ。
そう、私だけ取り残されてもう10年以上受付をやっている。
まあ人より遥かに長い生だから気にもしないけれど。
顔がいいというのも善し悪しだ。
種族的に美女美男になりやすく、私も例外に漏れずこう言っては何だがこの街でも一二を争う程の美貌と自覚している。
己惚れていると言われるかもしれないが紛れもない事実。だがこの顔のせいでよからぬ愚か者がひっきりなしに近づいてくる。
ですが残念ながら?私はこう見えて元S級冒険者。
ロセアン様と同じパーティで活躍した。
パーティが解散したのを契機に、ロセアン様と共にこのギルドに就職した。
ロセアン様は密かに私を守ってくれている。
恐らくそう言う依頼があるのだろう。
折角だから知らない振りをして甘えよう。
まあそんななので無法者は今まで全員退けた。
そしてギルドの受付では、独身男性は私に脈なしと見るや二度と私の所で受付をしない。
まあいいんだ。
だがそんなある日彼は来た。
お上りさん?違った難民だった。
ロセアン様に振ったからもうすっかり忘れていたが、この国にやってきて2ヶ月経った彼は難民支援制度の支援を打ち切りたいとやってきたのよね。
まあそれでそれで思い出すのだけれど。
彼は1ヶ月ひたすら採取で身を立てたらしい。
ロセアン様が上手い事説得してくれたおかげだろうけれど、よもや1ヶ月も薬草採取を続けたものだ。
冒険者は殆ど皆地味すぎて敬遠するが、ポーションの原料だから需要は常にある。
だがなかなかやり手がいないので私は初心者に薬草採取をお願いしている。
10人に頼めば10人ともしてくれるが、1ヶ月後には9人はやめてしまう。
そんなあまり儲けのない薬草採取を1ヶ月毎日やってくれるとは!
そう思っていたら難民支援制度に不備があり、私はすぐにロセアン様を呼んだ。
そしてギルドマスターにも確認をしていただかないと!
何やら悪い意味で変化がありそうで怖い。
永遠の平穏を望みたいが、それは無理。
であればできるだけ変化を避けておきたい。
だが今目の前で起こりつつある変化。
どうなってしまうのだろう。
そして後になってどうしてギルドマスターを呼んでしまったのかと自責の念にかられるが、悔やんだからと無かった事にはならない。私は未だ未熟だ。
ああそうそう、私は生まれて80年ほど経ちますが、未だ独身。人の身で80年は永いがエルフの血が入っている私からすれば80年はあっという間。あ、見た目は人族の20代半ばなのよ?そしてこの見た目が後数十年続くの。
それはいいの。そして人は皆生き急ぐ。時間は無限ではない。有限だから。
私は受付嬢。冒険に疲れてしまい、今は冒険者ギルドで受付をしている。
願わくば・・・・今は言うまい。
ああ、今日も愚か者がやってきた。
今日はまさかのギルドで下半身を露出するという暴挙に出た阿呆がいる。
どうやらエルフと交わればその寿命を手にれられると信じる輩が一定数いるようで、時に強引に、時に城が買えるような金額を提示するバカもいるが、エルフと交わっても寿命は変わらないわよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます