第40話 治療の結果は?

「ケ・・・・ケネト!見える!見えるぞ!左眼が見える!それに何か分からねえが 視える・・・!」


 おお!どうやら成功したらしい。

「お、親方、マジっすか?」


「ああマジだ!だが疲れるな。今日は鍛冶をやめて休む。ケネトも休め。俺は暫く左眼を慣らしていく。しかしすげえな。ケネト、明日も来てくれるか?明日は右目を頼む。」

 よかった。


 俺はこの日はこれ以上何もせずひたすら休んだ。


 そして翌日、再び親方の元を訪れ今度は右目に回復魔法を使用した。

 駄目だった。

 で、さらに翌日、やっぱり魔力が枯渇しそうになった時、成功した。

 成功する時、何となくわかった。左眼の時と同じく身体に力が湧く感じだった。だがなんだこれは?こういった感覚が出ないと成功しないのか?

 それとも訓練すれば常にその状態になれる?

 それともレベルを上げねえと駄目か?今度セシーリアちゃんに聞いてみよう。


「ケネト!右目も見えるぞ!はっきりと!今まで霞がかった見え方と違い、はっきり視える・・・!おおおお!!!!!ありがとうケネト!どう感謝していいか分からねえ!」


 親方はこの日も休んだ。どうやら見えすぎて目を慣らしたいらしい。


 そして翌日、最近仕事を休む親方を心配したのか仕事が滞っちまったのを仕事しろと催促しに来たのかわからねえが、とにかくすげえ数の人がやってきた。


「レオ・エイセル親方、どうしましたか?ここ数日全く納品してませんよねえ?そんなのでは困るんですよ。」


 催促だった。


「おおすまねえな。もう一日待てねえか?そうすりゃ以前のような、いやそうじゃねえ、俺の最盛期に劣らねえ品を打ってやるぜ!」

 あ、場が一瞬にして凍り付いた。何でだ?


「親方、こう言っては何ですが貴方の目はもう殆ど見えてないんですよね。今更最盛期の仕事は無理でしょう?一体どうしたというのですか?それに聞けば弟子を取ったとか。まさかそこのもやしっ子が弟子ですか?しかもその弟子に打たせるおつもりですか?」


「いや打つのは俺だ。それに眼は治った。」


「はあ?目が治った?いえいえ有り得ません!いえ、正確には相当な額をつぎ込んだだけですよね?あの嬢に。彼女は職員なのでそう言った治療は行わないと聞いていますし、今の教会にはそのような使い手はいないはず。」


「だが治った。どうやって治ったかは言えねえがな。明日来い。たまった仕事を纏めてやっつけておく。」


 その後はあのエイセル親方が復活したとか何とかでえらい騒ぎになった。

 俺はこっそりと場を後にした。

 話を聞くと俺が治療したとバレたら俺も私も治してくれととんでもない事になりそうだと感じたので。

 だがこんなに成功率が低けりゃあいくら治療してくれって言っても厳しすぎるぞ?

 俺は治療で身を立てるつもりはねえ!あくまで鍛冶師希望だ!

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