第74話 翌日になって出発しようとしたんだが
俺達3人は宿で一泊した。
「俺の事は気にすんな。流石に夫婦の邪魔はしねえ。」
親方は一人部屋に向かっていった。
「お気遣い感謝いたしますわ親方。ではまいりましょうかケネト様。」
そう言ってさり気なく俺の腕と取ってくるセシーリアちゃん。
そのまま・・・・あれ?
「本日は2部屋しか空いていないという事でしたので、親方は先に一人で向かわれましたから、私とケネト様は残ったこのお部屋という事になりますわ。」
「俺は屋根さえあれば床が土だろうとお構いなしだ。じゃあな。」
俺はまさかセシーリアちゃんと同じ部屋で寝泊まりするわけにもいかず、さっさと退散しようとしたが・・・・
「ケネト様、まさか一人で外で寝ようと思っていませんよね?念のために言っておきますが、まだ色々と教え終わっていませんから、お部屋できっちり勉強しますからそのおつもりで。」
おお、勉強!
俺はホイホイと付いていった。
たっぷり勉強をした。
そして今日も駄目な俺。
いいいんだ何が駄目とか。
・・・・
・・・
・・
・
「ケネト様おはようございます。」
目が覚めたら俺の横でセシーリアちゃんが声をかけてくれる。
「あれ?俺いつの間にか寝てた?」
「それはもうあっという間に。」
念のため俺は確認したが裸だった。
セシーリアちゃんは・・・・
「見ますか?」
「見ねえよ!」
俺は着替えたが・・・・セシーリアちゃんも裸だった。
・・・・裸族か?
親方と合流し食事を3人で済ませ、今後の事を相談・・・・と思ったら誰かがやってきた。
「エイセル親方!今一度お考え直しを!」
朝っぱらからごっついおっさんが土下座を始めたけど誰?
「ああこいつがこの街の鍛冶ギルドのギルマスだな。そうは言っても鍛冶師の親方はこの街に・・・・50人程だっけか?」
意外と少ない?
この街って10万人ぐらい住んでるんだっけな?
だから2000人当たり一人の鍛冶師?
弟子を入れたらもっと・・・・500人に一人?
包丁の研ぎや冒険者どもの得物のメンテとかも入れると少なすぎるぞ?
「聞きましたぞエイセル親方!」
「もうあいつらの面倒は見切れん。元々俺が見つけた弟子じゃねえ。お前らに頼まれ受け入れただけだ。」
「だ、だからと言って親方自らが出て行くのは如何なものかと思うのだが!」
「元々そうしようとは思っていたんだ。あいつらは俺の作業を見ようともしねえ。あれでは駄目だ。だがここにるケネトは違ったぞ!」
「そ、それはあいつ等にも仕事があるわけで・・・・」
「・・・・ケネトは俺の所にやってくると、2週間分の仕事を一気に片付け、その後の時間をずっと俺の作業を見るのに使ってたぞ。」
「・・・・しかし今後どうするつもりだ?」
「その事ですが、エイセル親方を王都にお連れしようと思っておりますの。」
その途端鍛冶のギルマスが慌てだしたぞ?
「いかん!いかんいかんいかんいかん!それだけはいかんのだ!親方!どうか考え直して下さい!どうかこの街に留まって下さい!鍛冶をする場所・・・工房はすぐにでもこちらで手配いたします!最新型の炉もすぐに設置いたしますから!どうか!」
最新型の炉って凄いのか?
希少な素材を溶かすのは、最新型よりも火力がものを言うと思うんだが?
「・・・・オリハルコンやヒヒイロカネを扱えるのか?おおそうだった、アダマンタイトもだぞ?」
「ひいいいいい!!!!いや・・・・少々時間を下さい!まずはミスリルまで扱える炉を用意いたします!その後親方の希望する炉を・・・・1ヶ月下さい!」
「どうしますか親方?先ほどの素材であれば年に数件あるかないかですから、1ヶ月で用意していただけるのであれば悪い話ではなさそうですが?ギルマスさん?因みにお代は?」
「そこは勉強させてくれ!いくらなんでも建物の代金は欲しい・・・・」
「まあ俺も金がねえ訳じゃねえ。費用はこっちで見るさ。だが建物はすぐに手に入るんだろうな?炉もだ。」
「す、直ぐに・・・・おい聞いただろう!急ぎ手配をしろ!あ、親方!3ヶ月にしてもらえませんか?3ヶ月で新規で工房を建てます!」
「・・・・悪くない。いずれケネトも新たな工房が必要になるだろう・・・・ケネト、てめえ金はあるのか?」
そう言えばどうなんだ?
「親方、その辺りはお任せ下さい。私がしっかり管理しておりますし、ケネト様の工房も建てる事ができますわ。」
「・・・・場所や建物の詳細は任すが、俺とケネトの工房は離れて居た方が良いな。街のこっちとあっちとかで。2つ手配を頼む。勿論炉もだ。2件目は俺の工房ができてからでいい。そ2件目ができるまでケネトは俺の所にいればいい。」
鍛冶のギルマスが去って行った。
「よかったですわね親方。そしてケネト様も恐らく1年以内には自分の工房を持てますわ。」
・・・・俺の今後に関わる案件なのに、俺空気だった件。
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