第47話 ダンジョンの謎
ボスを仕留めて暫し求刑。もとい休憩。
そう、ヘンリクがヴィオラに罰せられたのだ。
何でって?
どうやら俺にダンジョンの事をロクに説明しないまま指名依頼という強引な方法で連れてきた事に関してらしい。
色々変だったからな。
何で俺がダンジョンに行かねえと駄目なのか?
そして指名依頼って俺は何をすればいいんだ?このメンツで。
何しろ俺以外は皆3桁のレベル。
レベルが違いすぎる!
そしていきなりのヘンリクの説明。
あんなの分かる訳ないじゃないか!
俺はまずダンジョンそのものに戸惑った。
どんどん地下に向かう訳だが何で明るいんだ?
だがそこで返ってくる答えは必ずと言っていいほど
「あんちゃん何を言っているんだ?ダンジョンはダンジョンじゃないか?一体ここまでで何が疑問なのかな?」
おっちゃん元S級の冒険者じゃなかったのかよ!
「ケネトさ・・・・ケネト、まさかダンジョンがお分かりにならないと?」
セシーリアちゃん、今ケネト様と言いかけたよな?
そしてヒルデガルド・・・・ヒルデって言わねえと怒るこの女が言いやがった。
「ダンジョンは魔素の濃い場所にある。そして魔素を消費しないと魔物が暴走する。なあケネト、まさかと思うがこんな常識すら知らなかったのではなかろうな?」
常識?
知らんぞそんなの。
そもそも一般ピーポーはダンジョンなんぞ近づかねえ!
「ケネトは鍛冶師希望なんだろ?なら素材を得るのにダンジョンは必須だ。そういう事だ。我に任せればケネトもあっという間にあの親方並みの鍛冶師だ!」
何を任せるというのだ?そう言う事とはどういう事だ?
相変わらず訳の分からん女だ。
「なあいいか、そろそろ進むぞ。」
ヘンリクが声をかけてきたので俺はヘンリクを見て・・・・ギョッとなった。
何せぱっと見ヘンリクの顔を見ても誰か分からないほど顔が腫れていたからだ。
あれはきっとヴィオラってのがやったんだな。
いい女だがあれではヘンリクの身が持たねえぞ?まあ俺には関係ないが。
今度は20層目指し進む。
まあこの辺りの階層は俺だけでも問題ないらしい。
つうかこの親方に貰った剣、この切れ味が異常なんだけどさ。
目の前の魔物に剣を振ると、ほんの少ししか当たってねえのに、当たった場所から魔物が軒並み分断される。
まるで手応えがねえんだよな。
但し疲れる。
どうやら剣先から何かが出て行っているようだ。
きっと魔力?魔素?とやらを消費して剣から何かが出ているようだが俺には仕組みがさっぱりわからん。
そして俺はまだ魔法を殆ど覚えてねえんだが、セシーリアちゃんに言わせれば、
「魔法ですが、基本的にはそうですね、火魔法を例にしましょうか。火魔法を覚えておけば基本的な火魔法はレベルに応じてですが大抵使えます。但し漠然とした使い方は魔力を無駄に消費します。まだケネトには少ししか保有魔法がありませんからね。そして単体の魔法はスキル扱いですので個別に覚えた魔法とは似て非なるものですからお気をつけて下さいね。あ、魔法と言いましたが正確には魔術ですので。」
さっぱり分からん。
ステータスを見ると、なるほど魔法自体はスキルに分類されている。
そして保有魔法の欄には・・・・魔術と記載があるな。だが魔法と魔術ってどう違うんだ?
よくわからんが俺なりに分かった事がある。
スキルとしての魔法は属性魔法というのか?火魔法なら火魔法でしか使えねえ。
だが保有している魔術であれば、複数の属性を活用した魔術が使えるし、燃費もいいらしい。
攻撃魔法もそうだが、補助魔法っていいよな。浄化とか。
俺の今保有している補助系の魔術は浄化・フライ・頑強だけだ。
そのうちどんどん覚えるつもり。
因みに俺の両隣はセシーリアちゃんとヒルデ。
前はヘンリクとおっちゃん。
後ろがヘンリクの嫁?ヴィオラ。
俺何故か完全に囲まれてるんだよな。
魔物が現れたら俺以外の誰かが対処する。
そして俺でも行けそうなら俺が戦う。
こんなのでいいのか?と思うほど俺が楽なこの隊列。
まあいいんだけどさ。
そして俺はここで盛大にドジをやらかした。
俺が戦える魔物だという事で俺は魔物に向かっていったのだが、何と俺はここで豪快にこけた。
どれほど豪快かと言えば、手にしていた剣を魔物に向けて放り投げてしまうほど。
やってまった・・・・
だが俺の意志に反して剣は次々と魔物を仕留めていく。
剣が飛んでいった方向の魔物はあっという間に全滅。
俺はそれを床に惨めに転んだまま顔を上げて呆然と見ているのだった。
そして親方はこういう使い方を想定していたのかどうかわからねえが、俺は何となく剣が手に戻れば取りに行かなくて楽だなあとか思わず頭の中で念じていたら、何と剣がこっちに向かって飛んでくるじゃないか!
いやいやあんなの当たっちまったら怪我じゃ済まねえ。
俺は避けようとしたが、移動した所にその剣は飛んでくる。
「うわ!」
俺は避けようとしたが剣は俺めがけて向かってくる。
いや飛んでくる。
そして俺はもう駄目だ!
そう思った瞬間手に何かがおさまる感覚がある。
恐る恐る目を開けると右手に剣が握られていた。
親方一体あなたは何を仕込んだんですか?
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