第28話 サイクロプスとの戦い
2回も聖魔法を使ったからな。
2回と言うか2人だ。
俺は倒れた。ヒルデガルトの上に。
そしてつい柔らかい何かを揉んでしまった。
小ぶりだったが掌にっすっぽり収まるそれは意外と柔らかい。
そしてヒルデガルトは意識が戻ったようだ。
「うう・・・・は!誰じゃ!我の身体に触れるとは万死に・・・・ってケネトとか?お前ならいい。もっと揉むがいい。」
俺は意識がもうろうとしていた。
「あんた問題ないなら俺に魔力をくれ・・・・」
そして気が付けばヒルデガルドの顔が目の前にあり、柔らかい何かで俺は満たされた。
どうやら異性に対しては口移しで魔力を受け渡しするのは常識らしい。
俺は何とか回復した。だがまだ魔力の枯渇状態を脱していない。だからと言ってこのままボーっとしている訳にもいかない。
そして目の前には空を飛んでいくヘンリクの姿が。
あ、サイクロプスがこっちにやってくる。
俺に相手ができるのか?
そもそも攻撃手段は皆無に等しいぞ?
ゴブリン程度ならナイフで何とかなるし、火魔法をぶちかませば何とかなりそうだが、目の前のサイクロプスにそんなのが通用するとは思えねえ。
俺は落ちていた石を投げてみたがまるで効かない。
どどど、どうすれば!
『土魔法でサイクロプスの足元に穴をあけ、すっぽり入ったら埋め戻しなさい。』
あ、例の声が聞こえた気がする!しかもいつもより妙にはっきりとだ。
そうだ!ここは土魔法だそうしよう!
俺はその声が俺のとっさの判断が感じた心の声だと思うようにした。
俺は迫りくるサイクロプスの足元に大きな穴をあけた。
土魔法で周囲の土を一気に掘り、周囲を盛り上げる事でサイクロプスを地面の下に落とす事に成功した。
こいつ結構上位の魔物だろうにこんなに呆気なく罠にかかるのか?
まあもし魔法をレジストするとしても、今回は俺の魔法の対象が地面だったからな。
そして顔だけ出ている状態になったので、急いで土魔法で周囲を戻し、固めた。
隙間があるとあっという間によじ登るだろうとの判断だ。
と言うより細かい事ができない。
明らかな経験不足だ。
『石を拾って火魔法をその石に唱えて目に投げなさい。』
今日は冴えているぞ?
俺は実戦で魔法なんか使った事はないし、間違っても石に火魔法をかけた事なんかそもそも無い。
だが頭の中はそうしろと言う。迷うな、感じろ。俺はきっとあいつの弱点がわかるんだ。
これ以上考えるのを止めた俺は足元に落ちている石を拾い、サイクロプスの目を標的とし石に火魔法をかけた状態で投げた。
そして命中。
言葉に言い表せないような断末魔が響き渡る。
どうやらサイクロプスはその一つだけの目が弱点なようだ。
どうして俺は初見のサイクロプスの弱点を見抜いたんだろう?
『土魔法で可能な限り大きな塊を高く作って、その塊をサイクロプスの頭に当たるよう倒しなさい。』
俺は天才か?何でこんな事を閃かせられるんだ?
もしかして俺の中に何かがいるのか?もしそうなら乱射乱撃雨霰!感謝感激雨霰!
『いえいえどういたしまして。』
は!いかん戦闘中だというのに暴走しちまったぜ!
乱射乱撃雨霰?
?自分で感じといてなんぞそれ?
注:乱射乱撃雨霰は感謝感激雨霰の元ネタ。どうでもいい事ですが。
俺はこのあと土魔法で巨大な塊を作り、それをサイクロプスの頭目掛けて倒した。
何故かこれで大丈夫という謎の確信&安心感があった。
そして俺のその感じた通りに見事に命中し、サイクロプスの頭は潰れた。
どうやら死んだようだ。
なんで俺はこんな事を知っていたのだろう?
まあいい。あんなバケモンを仕留められたんだ、今は考えないでおこう。と言うより思考能力が低下しているぞ?あ、あれ?
そして気が付けばここでさっき貰った魔力も枯渇。
俺はそのまま朦朧となり・・・・
『いつか会えるといいわね。』
何か聞こえた気がしたがもう何も考えられない。
・・・・
・・・
・・
・
気が付けばヒルデガルトの膝枕だった。
こいつのも気持ちがいい。
あれ?俺実はやっぱりモテ期が到来していた?
だが年上の女じゃなあ?
『そっちは自分で何とかなさい。それと彼女は・・・・』
うん?
そしてセシーリアちゃんとはまた違う肌の張り。
そして見上げれば見えちゃいけないはずのぽっちが見えた。
何でこいつ服着てないんだ?
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