第29話 更なる戦いの幕開け
流石にこの状況下で裸の女に膝枕はどうかと思い起き上がる。
何せ治療が終わった途端俺は魔力の枯渇状態になったので、女に何か掛けるという事ができなかったのだ。
そしてその後に追い打ちをかけるように現れるサイクロプス。
現れたんじゃなく足止めを食らっていたが、その足止めの奴らが力尽き、こっちに向かってきた為俺が戦う羽目になり、しかもそのせいで少しだけ回復していた魔力がまた枯渇してしまった。
で、俺はまたしても女の膝枕なのだ。
それはいい。すごくいい。
だが本当にこれでいいのか?
「気にするな。」
「俺が気にする!!と言うか早く服を着ろ!」
「チッ
今チッて舌打ちした!
よくわからんが確信犯かよ!
注:何度も触れていますが、残念ながらケネトの祖国では、年上の女性を娶るという風習がなく、ケネト自身も年上の女性は結婚相手としては見ていないのだ。
残念な年上女性・・・・
注2:ケネトの祖国とこの国の年齢の数え方が違います。なので実際は?
あ、ヘンリクが戻って来た。
「おいおい、まさかケネトがヤッたのか?」
「俺は何もヤッてないない!」
「そうか、残念だ。こいつはこう見えて尽くすぞ?」
「だが俺の国では年上の女は結婚相手として見ない!」
「だがここはモッテンセン王国だ!受け入れろ!」
「そうだぞ!我を受け入れれば明るい家族計画が待っているぞ!」
「だが断る!」
何だこれ?
確かに美人だがこいつは年上だ!しかも家族計画ってどういう事だ?
「くっ!誰か姉さん女房はいいもんだとこいつに教えてやってくれよ!」
ヘンリクの叫びは虚しく虚空を響き渡った。
「なあもういいか?」
俺はこの茶番を終わりにしたかった。
「くっ!まあいい。それよりケネトがサイクロプスを仕留めたのか?」
「ああ。俺にはきつかったが何とか。」
「いやしかし、ケネトってレベル2桁だろ?」
「レベルは59だったな。」
「そ、そうか。59で仕留めるか。ケネト、お前は将来俺らを遥かに超える冒険者になるかもしれんな。」
どういう事だ?
因みに俺のレベルが低すぎるのか、サイクロプスは名前しかわからない。
それに目の前の2人も、そして周囲にいる冒険者も名前しか分からん。
どうでもいいがいつの間にやらヒルデガルドは身だしなみを整えていた。
「お前、サイクロプスをソロで仕留める適正レベル知っているか?」
「適正も何も、冒険者になってから初めての魔物だったんだが。それにサイクロプスはA級と聞いているから俺には縁のない魔物だとしか認識がない。だからレベルは知らん。」
「300だ。」
「は?」
「300無いときつい。」
300て。無理ですやん。
「何でこんな街の近くにあんな凶悪な魔物が?」
「知らぬ。我らは鉱物採掘の護衛でダンジョンのある山のさらに奥に居た。そうしたら何処かのパーティがしくじったのか大量の魔物を引き連れ逃げてきた。当然戦ったが相手が悪かった。護衛の対象を逃がしつつ、我らも何とかここまで来たのだが、見晴らしがよくなり遮るものが無くなったのでな、サイクロプスの攻撃を受けてしまったのだ。」
ヒルデガルトの説明を信じるならダンジョンの奥に鉱山があるのか?で、そこで採掘スキル持ちの人が採掘をし、その護衛として一緒に居たようだ。で、そこに別のパーティがどこからか魔物を連れてきたのか、依頼をしくじったのか、とにかく自分達の手に負えないような魔物を引き連れて逃げてきて、そのあおりを食らったようだ。
「因みに他の魔物はどうしたんだ?」
「分からん。一応仕留めたつもりだが、何せ戦闘能力皆無の鉱夫を守りながらだったからな。結果的に俺らは護衛の対象を無事逃がす事に成功はしたが、ごらんの通り森を抜けてヒルデが真っ先にサイクロプスに追いつかれ吹き飛ばされてな。俺もその後吹き飛ばされた。俺らのパーティではヒルデが一番の回復の担い手だったからな。正直もう駄目だと思っていた。だが信じられんな。俺らは皆レベル300を超えているが、全員あいつにはかなわなかったんだが。」
運が良かったのか?
そう思ったのもつかの間、再びサイクロプスが現れた。群れでだ。
「おい、あれなんだ?」
「げ!なんであんなに居るんだよ!」
そこには10体ほどのサイクロプスがいた。そしてヘンリクも驚く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます