第70話 エイセル工房に来てみたが

 翌日、セシーリアちゃんと乗合馬車で移動をしているが、何故かしおらしい。

 どうやら昨日の事がきっかけで、セシーリアちゃんがこうなったようだ。


 そして俺は絶賛眠い。

 何せやっと寝たと思ったらもう朝。

 当然ながら出発時刻は決まっているわけで、セシーリアちゃんに起こしてもらったのだが・・・・


「色々ごめんなさい。恥ずかしい所を見せてしまったようね。」

 ・・・・マジ天使だった!


「意外な一面が見れた気がするぜ?」


「恥ずかしい・・・・それよりケネト様、あまり寝ていないようですね?よろしかったら私にもたれて寝ててもいいですよ?」


 そういう訳にはいかんだろう?

「いや、そこまで甘えるわけには・・・・」


 その後色々話をしていたんだが・・・・何だかふわふわと気持ちがいい。

 俺はウトウトしていたらしい。

 思いっきりセシーリアちゃんにもたれかかって寝ていたようだ。

 と言うか半ば抱きかかえられていた。


 そして気が付けば・・・・目的地に到着していた。

 あれ?


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 この街から離れて10年経った。

 10年だよな?

 そう聞いてるんだが?


 まあいい。それより親方だ。

「さっそく親方の所へ行くぜ!」


「ケネト様、待って下さい!」


 いつも従順?なセシーリアちゃんにしては珍しい。


「うん?なんか問題が?」


「エイセル工房よりギルドの方が近いので、先にギルドに寄りたいのですわ。」

「お、そうだったか。じゃあ先に・・・・時間かかるのか?」

 もしそうなら別行動も視野に入れないとな。


「いえ!すぐに終わらせますわ!」

 何かの手続きか?


「そ、そうか。少しぐらいなら待つから慌てるなよ?」

「そ、それではお言葉に甘えて・・・・」


 俺は椅子に座って待っていたが、待ちくたびれて寝てた。

 あれ?最近寝てばっかだぞ?


「お待たせしてしまいました・・・・」

 よくわからんが終わったようだ。


「じゃあ行くか。」


 俺とセシーリアちゃんはギルドを出た。


 そういやギルドって、おっちゃんとセシーリアちゃん以外関わってなかったっけな。

 あ、ギルマスとか言うのがいたが、まだ生きてるのか?

 どうでもいいが。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 エイセル親方の工房は・・・・なかった。あれ?


 もしかして、まさかと思うが死んじまったんじゃねえだろうな?


「おかしいですわ。確かにここにあったはずなのですが。」


 セシーリアちゃんも知らないのか。

「一つ聞くが、ここに最後に来たのはいつだ?」

「・・・・ケネト様が行方不明になってすぐですわ。」

「がー!10年経てば親方の工房も栄えるだろう!だからきっと移転したんだよ移転!!」


 探さないとな・・・・


 だが、そう思ったが、呆気なく見つかった。

 少し離れた場所にやたらでっかい鍛冶工房があったからだ。


 というか、鉄を叩く音がしてるからもっと早く気が付くべきだったんだが。

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