第35話 セシーリアちゃんの提案
「ケネト様、先ほど申しました提案なのですが。」
そう言って何故かセシーリアちゃんは俺の隣に座りなおす。
「空間魔法を取得していると思うのですが、こちらは試されましたか?」
そう言って何でお腹をさわさわするの?
「そういやあ何となく取ってたっけ。魔法全コンプとか。あれだけでなんか使い道あんの?」
「全コンプって・・・・ケネト様はその、採取をしていましたので敢えて伝えませんでしたが、ストレージの内部に少しですが物を出し入れできますわ。」
何それ。
「そんな便利なの聞いてないんだけど。」
「ああやはりそうでしたのね。何も質問がなかったので知っていると思っていたのですが、先だってのサイクロプスとの戦闘後、何もストレージに入れようとしていませんでしたので、もしやと思ったのです。」
「じゃああれか、空間魔法を取得していればストレージに物が出し入れできる。これは常識なのか?」
俺は知らなかったぞ?
「普通は知っている事柄なのです。ですので普段魔法を使わない人も空間魔法だけは取得していますわ。あと火魔法と水魔法はほぼ全ての人が取得しますわ。」
まあ火魔法があれば暖がとれるし、水魔法があれば飲み水の確保ができるしな。
「じゃあ何で俺に言わなかったんだ?」
「そ、そのごめんなさい。まさか知らないと思っていなくって。それに薬草をストレージに入れるのは厳禁ですから。」
「何で駄目なんだ?」
「詳しい事はよくわかっていませんが、薬草は生の状態でないと意味がありません。少なくともポーションの材料として使用するにしても切り刻んだりする必要がありますから。そしてストレージに薬草を採取した状態ですと、例え根であっても死んでしまうというのが定説です。事実使い物になりません。ですのでこうした素材を入れるには、別途時間経過の変化がある収納かばんを用いる必要性が出てきますの。」
収納かばん。そう言えばヘンリクが言ってたっけ。
「そんな重要な事を何で言わないんだ?」
あ、俺が知ってるって思ったんだっけ?つうか俺が無知なだけか?
「ごめんなさい・・・・」
「ああ俺が無知なせいか?まあいい。で、どうすりゃあいい?」
「ではこのヘンリク様から頂いたポーション作成キットを収納してみて下さい。ここに手をかざせば入りますわ。」
だからさっきからさわさわと?
「こうか?」
俺は両手でポーション作成キットを持ち、腹に当てる。
すると・・・・おお!消えたぞ?消えた!
すげえ!
「本人以外は出し入れが不可能なので、くれぐれもご注意を。そしてその、まあ自分が死んでしまった後の事はどうでもいいかもしれませんが、ケネト様がお亡くなりになりましたら、その瞬間ストレージ内のアイテムは全て外に飛び出してしまいますので、もし見られると困るようなものがありましたら、事前に対処していただきたいと思います。」
「死んだあとって・・・・見られて困るって言われてもな、死んだらどうでもよくないか?」
「そうですか?それなら宜しいのですが。では次に出してみて下さいね。」
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