第77話 親方の工房でみっちり修行
3ヶ月で親方の工房が完成した。
鍛冶ギルドの本気、パネェ!
この間俺はどうしてたかって?
親方の下、24時間90日ばっちり修業したぜ!
何せ親方いわく、
「いいかケネト、単に武器を打つだけならスキルさえあればできる。しかも誰の目から見ても強い武器が出来上がる。だがそれだけだ。」
親方の言う事は深い意味がある、俺はそう思っている。
「武器の良しあしはスキルだけでは決して決まらねえ。センスもそうだが当然技術だ。それに心だ!」
技術はスキルである程度何とかなるが、実際細かい部分はそうじゃない。
特に親方程のレベルの武器を打とうと思うとその差は歴然。
心って難しいぞ?
だが親方を見ればわかる。
心と言うか・・・・魂がこもっている、みたいな?
そういえば以前親方から貰った短剣、あれがいい例だ。
当時の親方の全てがあの短剣に込められたと聞いている。
「ケネト様、私の身も心も全てケネト様に捧げていますから。」
「それ違うと思わないか?」
相変わらずブレないセシーリアちゃん。
俺は結婚なんかしないんだから!
とか思っても、彼女は俺ににつきっきり。
そして俺も悪いんだが、生活のほぼすべてを彼女に依存してしまっている。
食事や住居の清掃を含めた維持、まあつまり衣食住を全てセシーリアちゃんがやってくれている。
それに甘えている俺・・・・クズだな。
「なあセシーリアちゃん、俺は・・・・」
「ストップですケネト様!私好きでしているのですから、ケネト様は今まで通りでいいんですよ!」
うわ、セシーリアちゃんが天使だ。
だが俺は・・・・結局甘えてしまった。典型的な駄目人間だな。
だが俺はこの3カ月の間、親方の全てを吸収したつもりだ。
あくまで見てどうしたらいいか分かっただけだ。後は実践あるのみ!
【私も妻として充実した3ヶ月でした!】
俺は一瞬何か嫌な予感がしてセシーリアちゃんを見たが、にこやかな笑顔をして俺を見守ってくれている。気のせいか?
まあ3ヶ月ずっとこんな生活だったわけだが、ついに親方の工房が完成した。
立地は申し分ない。
新たな親方の工房で俺は数打ちをした。
親方の工房を軌道に乗せるためと、数打ちも修行の一つだからとさせられた。
させられたっておかしいんだけどな。
で、終わってから俺は毎日一振り、丹精込めて剣を打つ。
こうした生活が暫く続き・・・・
風の噂では親方の元々やっていたエイセル工房は、名を変えて再起を図ったらしいが見事に失敗。つぶれたらしい。
まあ親方自ら望んで弟子にしたんじゃないから親方も大して気にしていないようだ。
そしてこれらに関するごたごたは・・・・
ヒルデが色々手をまわしていたようだ。
「という訳でケネト成分の補充に来た。」
久しぶりに会ったヒルデは相変わらず謎な言葉を発する。
そしてさらに9ヶ月、つまり親方が新たな工房を立ち上げてから1年が経って、俺の物になる工房が完成した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます