第44話 ダンジョンと親方の剣
親方の目の治療が終わり、次の日はひたすら休んだ。
枯渇した魔力を回復させる為だ。
セシーリアちゃんに言わせれば、何日も枯渇させるなど正気の沙汰ではないらしい。
そのせいもあって回復は手間取っている。
だが考えてほしい。
俺は今宿にいる。それもまあいい宿にいるからいいのだが、何故か両隣にセシーリアちゃんと、ヒルデガルトというヘンリクの妹がいる。
くう!美女2人にサンドされるとか俺様・・・・
いやちょっと待て、この2人よく考えたら年上だったな。
危ない危ない。
危うく道を外す所だったぜ!
注:何度も言いますが彼の出身国での結婚観。常識として年上の女性は結婚対象ではありません。
代々そういうものだと教えられており、この考えは一生修正できないでしょう。
で、なんでこうなっているかと言えば・・・・
指名依頼のダンジョン攻略、これの誘いにヒルデガルドが宿に押しかけてきやがったんだ。
俺はくたばってたんだが、早く行くぞの一点張りでな。
「ケネト、早く行くぞ!約束しただろう!!」
「いやちょっと待て。俺は魔力が枯渇してくたばってるんだ。」
「だから何だ!我とのでえとに行くのではなかったか?約束しただろう?」
・・・・でえと?そんな約束してねえぞ?
「いや、そんな約束していないな。」
「なん・・・・だと!それより魔力が枯渇したのだな?よし我が一肌脱いでやろう。サイクロプスとの戦いでも言ったであろうが、密着すれば早く回復するのだ。」
「やめろ!離れろ!やめ・・・・あ、ちょ、ちょっとたんま!ヒルデガルド離れて?」
「ヒルデというのだ。そう言ったであろう?」
「・・・・ヒルデサンハナレテクダサイ。」
「何故片言なのじゃ?仕方ない。どうした?」
「トイレに行かせてくれ・・・・」
「わかった。手伝おうか?」
「一人でできるわ!」
俺はこの時油断していた。
すっきりした後気が付けば目の前にセシーリアちゃんがいたからだ。
「ケ・・・・ケネト様?これはどういう事かしら?魔力が枯渇しているはずなので様子を見に来たら、こ、こんな女と二人っきりで・・・・ケネト様は年上は駄目なんですよね?なのに何故?」
「セシーリア嬢、それは我から説明しよう。」
「ヒルデガルト様には聞いておりませんわ。」
「何か誤解しているのであろう。誤解させておきたいがそうもいかんのでな。ケネトを早くダンジョンに連れていこうとこうして迎えに来たのだ。」
「あら、本日でした?」
「ああそうだ。それよりケネトは魔力の枯渇からまだ回復していないようだ。早く回復させたいと思っているのだが、どうだ、2人で・・・・」
「流石はヒルデガルド様、早速しましょうそうしましょう!ではケネト様、早速回復しましょう。そこのお布団で寝て下さいませ。そして衣類は全て脱ぎ脱ぎしましょうね。」
俺は言われた通りに布団に潜り込み、服を脱いだ。そして脱いだ後になって気が付いた。何で脱がないといけないんだ。
そして・・・・
「失礼します。」
「では我はこちら側を。」
この布団無駄にでかいから3人で潜り込んでも体が隠れる。
だが何だか2人がもぞもぞしているぞ。
「これで密着できますから、ケネト様の魔力もあっという間に回復いたしますわ。」
「早く回復してダンジョンに向かうのだ!」
・・・・なんだか妙に肌のぬくもりを感じる。何故だ?それに・・・・妙に気持ちがいい?
そして目についたのは2人がさっきまで着ていたはずの服だ。
何で別の場所にあるんだ?
俺は両手を動かした。
「あん♡」
「そ、そこは・・・・だめえ♡かいのがすっぽりと収まっているわけで。
俺は恐る恐る布団をまくると・・・・
そこには裸で俺にくっついている女2人がいた。
いかに相手が年上だろうと、裸の美女2人を目の前にして俺は平常心でいられるはずもなく・・・・
「あ、見られました・・・・ケネト様、駄目じゃないですか。責任取って下さいね。」
「何故めくるのじゃ。我の肌を見たのじゃ。きっちり責任を取るがよい。」
「うがああ!!!!」
その後俺は目の前が真っ暗になり・・・・
・・・・
・・・
・・
・
目の前にはヘンリクがいた。
そして土下座をしている女2人の姿が。
俺はどうやら裸の女を、しかも2人の美女の裸を見てしまったせいで興奮しすぎて鼻血を出し、気を失っていたらしい。
そしてヘンリクだが、妹の戻りが遅すぎるのでここに様子を見に来たらしい。
そしてこの惨状。
即座にヘンリクは2人に雷を落としたそうだ。
だが俺の魔力は回復したらしく、しっかり立てる。
「すまんなケネト。妹が粗相をしたらしいな。」
あれを粗相というのか?
「き、気にするな。童貞の俺には刺激が強すぎたようだ。それよりダンジョンに向かうのだろう?今日からなのか?」
「ケネトに問題がなければ今から向かいたい。」
あ、ダンジョンに行くなら装備を考えないと。
「俺ダンジョンに行った事ないし、装備とか何もねえぞ。」
「ああ、それなら心配いらない。防具はこちらで用意をするし、剣はほら、エイセル親方から預かってきた。」
ヘンリクが差し出したのは、素晴らしいの一言に尽きる2振りの剣だった。
今まで見たどの剣より神々しく、そして
親方が俺のために打ってくれたらしい。
しかも今後俺が鍛冶師を目指す上での目標にしろとのお達しが。
親方の本気の剣。
これは当面無理だな。だが・・・・面白そうじゃないか!これを目指す?
やってやろうじゃないか!
そんな感じで俺は剣を受け取り、ヘンリクが持ってきていた鎧を装着し、宿を後にしたのだった。
「さてダンジョンに向かおう。」
ヘンリクがそう言うけれど、あれ?今ここにいるのはヘンリク、ヒルデ、セシーリアちゃん、おっちゃん(ビリエル・ロセアン)、俺。
何で?そう、何でおっちゃんがここにいるのか俺には理解ができなかったのだ。
「なあ、一応確認だが、ダンジョンはこのメンバーで挑むのか?」
「言ってなかったか?」
「まったくもって聞いてねえ。指名依頼とだけ聞いてた。ヘンリクと・・・・ヒルデはそうだろうとは思っていたが、何で残りはギルドの職員なんだ?」
「あんちゃん、それはな、あんちゃんの実力を確認しろとのお達しがあったからだよ。そしてそんなお達しは大抵ろくでもねえからな、俺とこいつで受けといたってこった。」
よくわからん。何の事だ。
よくわからんまま俺はダンジョンに連れていかれた。
そして俺はまた勘違いをしていた。
今回ダンジョンには6人で挑むって事を。
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