第98話 2人の妻

「な、なあ、一応確認したいんだが、俺は感謝の気持ちを込めて2人に指輪を渡したんだつもりなんだが、どういう事だ?」


こういう事ははっきりさせておかないとな。


「それに関しては私から説明いたしますわ、旦那様♡」

今までケネト様だった俺の呼称が旦那様になっていた件。


しかも目が♡♡だ。


「色々確認したいが説明してくれ。」


「はい。私とヒルデガルト様は事実婚として周囲に既に夫婦として認識されていましたのはご存知ですわよね?」


ああ、知っている。なんか勝手にそうなってた。

「返事がありませんので肯定と受け止めますわ。で、今回のこの指輪ですが、精霊様の加護を得ましたの。具体的にはとして夫婦の絆を得る素敵な指輪ですわ。しかもその効力はお互いに指輪とはめる事により発揮しますのよ。実に素晴らしいですわ!」


・・・・作った本人も驚愕の事実!

と言うか精霊さんよお!!!何してくれたんだよおおお!!!!!


【だってあんたいい加減見てられないのよ!可哀想な2人の女の子!いつまで女を待たすのよこのヘタレ!!!】


俺は精霊に盛大に叱られた。

俺が悪いのか?

「そんな機能があるって作った俺知らないんだけど。」

「旦那様は精霊様に確認してたのか?」


ヒルデが割って入ってきた。こいつまで俺の事旦那様とか・・・・


「そもそも俺が作ったから確認とかしてないぞ。」


「そこはきちんと確認すべきだったな。精霊が関わっているのだ。」


う・・・・ぐうの音もでねえ。

確かに俺はどんな付与がなされていたとかいちいち確認しなかったぞ。

何せ2人への感謝の気持ちを込めて作ったからな。

【2人への感謝の気持ち?たんに指輪を渡されても2人への感謝には到底及ばないわ!せっかくの美女2人と結ばれるのだから感謝しなさいよね!】


感謝て・・・・

精霊の倫理観を知りたい!

てどうすんの?】


いや今絶対おかしかったぞ。しかも何だか危険なにおいがプンプンしやがる。


【さあ、2人が待ってるわよ。】


くっ!こうなったら一度出直して・・・・と思ったら、両腕を2人にとられ、そのまま俺は引きずられてしまう。

何て完璧な連携なんだ!

そして俺は非力そうに見える女2人から脱出する事かなわず、そのまま何処かへと連れ去られたのさ。

くそう!精霊覚えてやがれ!

【ざーんねん!私って物覚えが悪くってさ。明日にはきれいさっぱり忘れちゃってるかも?】


なんてひどい精霊なんだ。


そして、どうしてこうなった?


・・・・

・・・

・・



この日、俺は男になった。



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